世界の笑顔に出会いたい

写真家・高橋美香のブログ。 公園にいたノラ猫のシロと暮らす。 カメラを片手に世界を歩き、人びとの「いとなみ」を撮影。 著作に『パレスチナ・そこにある日常』『それでもパレスチナに木を植える』(未來社)『パレスチナのちいさないとなみ』(共著、かもがわ出版) 写真集に『Bokra 明日、パレスチナで』(ビーナイス)

2007年10月

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井の頭自然文化園のゾウのハナコさんが、最近私の一番お気に入りの被写体です。たくさんお気に入りの写真があるので、たくさんアップしたいのですが、ハナコさんの生きてきた過酷な運命を書かなければ、何も描いたことにならないとずっと考えていました。

ハナコさんはタイ生まれの象です。戦後復興の兆しに沸く日本に2歳半でやってきました。その前に、ハナコさんがやってきた経緯について少しばかり話をさせてください。

戦時中、空襲のどさくさに逃げ出すことを怖れられた動物達が殺されていった「猛獣処分」のことをご存知でしょうか?多くは餌に毒を混ぜられて処分されました。象は勘や嗅覚に優れているため、毒入りのえさをかぎ分け決して食べようとしませんでした。こうして、餓死させられました。戦後、動物園は再開されましたが、象の居ない動物園に子供たちはがっかりしていました。

こうしてハナコさんが平和の使者としてやってくることになりました。しかし、ハナコさんにはつらい運命が待ち受けていました。

夜中に酔っ払って侵入してきた人をパニックで殺してしまいました。さらに数年後、担当の飼育員も踏み殺されてしまいました。ハナコさんに殺意はありません。ただ、体が大きく、並はずれて体が重く力が強いのです。

二人をあやめてしまったことで、「そんな象は殺してしまえ」という議論が沸き起こりました。ハナコさんは鎖につながれ、暗い部屋に閉じ込められました。そして餌も食べず、心を病んでいきました。

そんなハナコさんの元に、新しい飼育員がやって来ました。この方が最初に行ったことは、ハナコさんの鎖を解くことでした。心を病んでしまった象に、全身全霊で愛情を注がれました。久しぶりに運動場へ出たハナコさんを待っていたのは、心ない人の罵声と投石でした。飼育員は体を張って、ハナコさんを守りました。ただ隣に一緒に立つことで。

それから長い年月がたちました。再びハナコさんは人間に心を開いてくれるようになりました。ハナコさんは現在60歳。象の年の取り方は人間とほぼ同じだそうです。還暦を迎えたおばあちゃん。
いつまでも、穏やかに過ごして下さい。

1)飼育員のお兄さんに草団子をもらいます
2)お兄さんとは大の仲良し。ハナコさんも笑顔です。
3)ふとした表情に、過酷だった年月が浮かびます。

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残念ながら学校では音楽の授業を担当できる先生がいないのと、併せて楽器の購入なども後回しになっていることから音楽の授業がありません。では、みんなが音楽に興味がないかと言うと全然そんなことはありません。さすがに電気のない(あっても微量)村なので、テレビやラジカセなどで音楽を楽しんでいる家庭はありませんが、人が集まると伝統的な楽器を取り出して、歌ったり演奏したりします。

カブールや山の下の町ではインド音楽や、インドやアラブ音楽をベースに採り込んだ影響を感じるアフガンポップスが流れていました。音楽テープ屋もあちこちにありました。タリバーン時代、クルアーンの厳しい解釈により一切の音楽を禁じられていた日々が思い出されます。

さて、いずれは音楽の教師を月に一度でも呼び寄せたり、何かしらのカタチで音楽の授業も導入していきたいとは考えていますが、差し当たり安い小型のCDラジカセを購入しました。韓国製のラジカセです。(日本の会社はアフガニスタンを市場と見做していないのか、街中にあふれる電化製品は韓国製、中国製が多いです。)一緒にクラシック音楽のCDと、クルアーンの朗誦CDも購入しました。

CDラジカセをお披露目するため、休憩時間中庭に集まった子供たちの前で大きな音で日本の子供たちが歌った合唱をかけました。不思議そうな顔で聞き入る子、笑顔で手拍子を打つ子、反応はそれぞれでしたが楽しんでいた様子でした。

今後も日本から世界の子供が歌ったそれぞれのお国の童謡や、クラシックなどを贈り、先生方に活用していただくようお願いをしてラジカセを渡しました。

1)突然流れ始めた音楽に戸惑い気味の子と手拍子をたたく子
2)その子供たちの様子を優しい笑顔で眺める先生方

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校長先生宅の下から二番目の男の子です。
あまり活動的でもないし、あまり喋ったりもしないけれど、何か独特の雰囲気を持つ子でした。
静かに、自分の周りを観察しているような子でした。

窓辺に座って外をを眺めていました。ここから眺められるのは、険しい山の連なりと、風にそよぐは木々の葉っぱと、轟々と音を立てて流れる下の川の流れです。外を歩く近所の人や、家畜の群れが時々通り過ぎます。なんとも穏やかな時間が流れます。

この子が持ち合わせているペースと、穏やかな山の時間のペースが絶妙に重なり合っていました。

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サルって、やはり人間と似ていますよね。何を唐突にそんな当たり前のことを、と言われそうですが、サル山を長時間眺めていると、それを実感します。

自然文化園に居るのは「アカゲザル」なるサルです。
仕草が、隣の子供でも見ているような気分にさせられます。

1)絶対家族会議中だよ、これ。
「お父さん、またジロー(長男)が零点取ったらしいの。先生から連絡あって…」
「お前がしっかり見てないからだろう。おいジロー、本当か」
「今回は出来たと思ったんだけど…」
はあ、深くため息をつく父・母・長男を尻目に一人無邪気な二男。

2)愛情たっぷり。すべてを委ねてる感じ。

3)無邪気に遊んでます。

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以前、図画の授業の様子をお話ししました。
(詳しくはこちらをご覧ください「図画の授業」http://blogs.yahoo.co.jp/mikairvmest/927068.html
さて、その絵はみんな完成できたのでしょうか?

学校訪問最後の日に、4年生のクラスが「今日までに仕上げて、日本の友人(支援者のことです)たちに見てもらおう!」と色鉛筆を、クレヨンを一生懸命走らせてくれました。そして、その日に子供たちが描いてくれた宝物を受け取りました。「みんなによろしくね」一枚の絵が、一枚の紙が大きな大きな心や気持ちを、日本に届けます。

描いた絵とともに子供たちを写真に収めながら、一人一人に「ありがとう」。
君たちの絵は、心は確かに受け取ったよ。ちゃんと日本に持ち帰ったよ。

11月、この絵や写真を報告会で日本の友人たちに届けます。

日本の友人たち、描いた子供たちの笑顔が見えますか?
山の子供たち、日本の友人たちが君たちの絵を見て微笑むのが見えますか?

1)みんなで描いた絵を高く掲げて
2)色塗り前の作品

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