世界の笑顔に出会いたい

写真家・高橋美香のブログ。 公園にいたノラ猫のシロと暮らす。 カメラを片手に世界を歩き、人びとの「いとなみ」を撮影。 著作に『パレスチナ・そこにある日常』『それでもパレスチナに木を植える』(未來社)『パレスチナのちいさないとなみ』(共著、かもがわ出版) 写真集に『Bokra 明日、パレスチナで』(ビーナイス)

2012年04月

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札幌において「パレスチナ・そこにある日常」と題したスライド・トークとパネル展をおこないます。

日時:5月12日(土) 15:30~17:30

場所:紀伊国屋書店札幌本店 1階インナーガーデン

※入場無料

多くの皆様のお越しをお待ちしております

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写真展が終わってから、再び、某出版社での「バイト」にいそしむ毎日。ある本づくりのために、世界中の政府観光局などとやりとりをして、写真を収集する作業。条件は、無料で提供してもらえて、なおかつクオリティーにも妥協しない(と、勝手に意気込んではいるが…)というもの。

写真と英語メールと、英語で書かれた「利用規約」とのにらめっこ。帰宅すると、もうPCを触りたくもないし、自分の写真といえども写真を見たくもない…という状態。必然的に、ブログの更新も、つぶやきも、フェイスブックを開くのも、激減。

出版社の仕事って、華やかに見えるけど、九割九分はコツコツとした、なかなか過酷な仕事だと思う。

さて、そんな訳で、パレスチナのことを考える余裕もない日々。起きて、働いて、寝て…その繰り返し。

でも、今日、パレスチナに冬休みを使って4日間訪ねて来てくれたナオコさんに会って、ワタシたちが滞在したジェニン難民キャンプのアワード家の話になり、ふたりして「帰りたいねえ」と遠い目になる。

ああ、帰りたいよ、パレスチナ。もちろん宮古も気になるし、読谷の金城実さんとこにも行きたい。アフガニスタンにも行きたいし、新たなテーマを背負っての旅にも出たい。いまは、ぐっと我慢の時。

アワード家の長男のカマールは、なぜか小さな小屋でうさぎを飼っていた。そんなにちゃんと世話しているようには見えなかったので、何週間も一家に世話になりながら、帰国まぎわまで、その存在に気付かなかったのだが。

「うさぎ、食べるために飼ってんの?」と、エジプトのモロヘイヤスープを連想しながら聞くと、カマールは、すっげーイヤそうな顔をして「こんなカワイイのに食えるかよ」と、うさぎを抱きかかえた。

正直に言おう、この一家は、朝起きて食べるパン代にもこと欠いてた日もあった。それでもうさぎを飼ってるなんて、ビックリした。

「こいつはライオンって名前。たてがみがあるから」とカマールが満面の笑みで抱きかかえたのは、彼が一番かわいがっている「アサド(ライオン)」。

この家で過ごす、こういうどーでもいー時間が、大好きだった。

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今後の写真展、スライド・トークなど。

【札幌】
5月12日(土)15時から17時
紀伊国屋書店札幌本店 1階インナーガーデン
スライド・トーク「パレスチナ・そこにある日常」
当日、同会場においてパネル展実施
※入場無料
主催:北海道パレスチナ医療奉仕団
011-780-2730

【小金井】
写真展「パレスチナで生きる」
6月2日(土)10時から19時
6月3日(日)10時から17時
サーハ日乾煉瓦 (武蔵小金井駅南口より徒歩5分、小金井街道沿い)

3日(日)
14時から16時までスライド・トーク「パレスチナで生きる」とドキュメンタリー映画
Life On Wheels上映

※1ドリンクのオーダーをお願いします

皆さまのお越しをお待ちしております

ワタシがパレスチナに行っている間、隣で懸命に編集作業をしていたハイサムの映画も完成。
 
ダイジェスト版です。


Bil'in Weekly Demo 20.04.2012 By haithmkatib@gmail.com

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この古い町並みの、ナーブルス急市街の商店街には、毎年のように会っていて顔見知りだけれど、名前を知らないひとがたくさんいる。

一回会っただけで仲良くなって、家に招かれたり、一緒に遊びに行ったりするひともいれば、何度会っても、挨拶と世間話を交わして、またすぐに別れるというひともいる。

ワタシのように、行き当たりばったりの旅を繰り返していれば、その両者を分けるのは、それはもう運とタイミングの違いでしかない。

とくに、お店で働いている人は、ゆっくり会話を交わすだろか、「じゃあ、これから遊びに行こうか」なんてことには、なかなかならない。

この青果屋の兄ちゃんもそう。何度も会っているけど、名前も知らない。でも、顔を見せるたびに「わー、久しぶりだなあ!」と喜んでくれる。そんなひとが、ナーブルスには、たくさんいる。

活気があって、ひとがたくさんいて、元気なナーブルスの町中が大好きだ。

でも、それは、ワタシがこの町のそんな側面しか見たことがないからだろう。

ここは、闘いの地でもある。ナーブルスの郊外の水源地には、多くの入植地がつくられている。多くの難民が暮らす巨大な難民キャンプもある。何度も、軍事侵攻を受けた町でもある。そのたびに、町には外出禁止令が敷かれ、商人たちは、商売も出来ずに、息をひそめながら、再開の日を待っていたのだろう。

パレスチナの元気も、明るさも、とても壊れやすいものだと感じる。もちろん、みんな芯は強いし、明るくて、元気なひと達だけれど、それでも、そう感じる。

この地では、気軽に「また今度ね」が通用しないということも、痛感させられる。

奇跡に近いような再会に、いつも、しみじみと喜びをかみしめる。

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