世界の笑顔に出会いたい

写真家・高橋美香のブログ。 公園にいたノラ猫のシロと暮らす。 カメラを片手に世界を歩き、人びとの「いとなみ」を撮影。 著作に『パレスチナ・そこにある日常』『それでもパレスチナに木を植える』(未來社)『パレスチナのちいさないとなみ』(共著、かもがわ出版) 写真集に『Bokra 明日、パレスチナで』(ビーナイス)

2013年02月

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下記の通り西東京市谷戸公民館において「パレスチナの家族の風景から」「被災地・宮古の2年をみつめて」というスライドトークによる公民館講座をいたします。

日時:3月9日(土)と16日(土)14時から16時
場所:西東京市谷戸公民館(西武新宿線田無駅、西武池袋線ひばりが丘駅からバス、
谷戸小学校下車)
電話:042-421-3855(予約申し込み先)
   
入場無料ですが事前予約が必要です。

対象者は西東京市在住、在勤、在学となっておりますが、
空きがあればどなたでも参加可能です。

なお、3月1日~16日まで、谷戸公民館ロビーにおいて、パレスチナと
宮古の写真展も開催しております。

お近くの方は、是非お越しください。

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ハバナの旧市街が好きで、13年ぶりの旅でも毎日のように旧市街をひたすら歩いた。

暑さの種類が日本とは違うとはいえ、ハバナの夏も暑い。強烈な日差しが照りつける。水分補給のために、店を見つけては飲み物を買う。

印象深いご夫妻がいる。とても明るくて饒舌な奥さんと、無口ではにかみやな旦那さん。毎日このご夫妻はキャピトリオ(国会議事堂)の前で、飲み物を売っている。

ある日、奥さんの方に「一緒にいる人旦那さん?」と聞いてみると「そうよ」と返事。「よかったら二人一緒の写真を撮らせてよ」というとOKの返事。

そのときの写真がこの写真。すごく印象に残っているひと。

汗を拭きながら懸命に働らくひとの笑顔が好きだ。そんな笑顔に出会うために旅をしてるんだなあと思う。いつかまた、もう一度会えるといいな。

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また今月も月命日の11日が過ぎた。そのたびに、親しくしているおばあちゃんのたったひとりの家族だった娘さんのことを思いながらその冥福を祈る。来月でもうあの日から二年がたつ。

その3月11日に、宮古でお世話になっているおばあちゃんのそばに居たいと思う。何ができるわけでもなく、ただ一緒にときを過ごすだけ。ただ語らうだけ。ひとときでも、寂しさがまぎれるといいなと、その一心でその人のもとへと通う。

先日の宮古行では、ある仮設住宅でお餅つきをした。仮設住宅に暮らす皆さんは、ワタシたちよりもよほど餅つきのプロ。いろんなことをお任せしながら一緒に餅をついて、丸めていく。集会所に集まってみんなで食べる餅は美味しい。

「冬は寒いからみんななかなか外に出なくなるし、ひとと話さなくなるのよ。だからこういう機会があるといい」と住民の方々。

ここの仮設住宅に暮らす多くの方は、鍬ケ崎周辺の方が多い。鍬ケ崎では防潮堤を完成させ、土地の嵩上げが済まなければ戻ることができない。「生きてる間に戻れるのかな」と冗談交じりの言葉が胸に突き刺さる。

ひととおり餅つきが終わると、お礼にと、皆さんがくるみもちや鮭汁をふるまってくださった。ワタシたちが喜ぶ顔を見て喜んでくださる。

それだけのことなんだけど、それだけのことを、ずっと続けていきたい。いつか、そんなことが必要なくなる日まで。そんな日が来れば、ただ宮古に遊びに行きたいと思う。みんなの顔をみるために。

写真は餅つきをするナカジマさんとオノデラさん。

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約四か月ぶりに宮古再訪。会うひと会うひと「あれー、久しぶりだねえ。また海外行ってたのか?ずいぶん黒く焼けてー」と出会いがしらの一言。海外には行ってないし(海外どころか二~三連休すら久々だよ)、黒く焼けてるのは屋外の仕事だからだよーと、言って回る。

柔道もやっていてとても元気だったおじいちゃんが、仮設住宅に入ってすっかり弱ってしまって、いまでは入院していることや、平成28年に防潮堤が完成するまでは自宅再建もできないことで「生きている間に戻れるのかねー」とため息をつくおばあちゃんや、寒さのせいで外に出ることもかなわず、仮設住宅でじーっとしているしかないおばあちゃんの話や…いろんないまの声を聞く。

宮古でいちばん仲良くしているNさんと、毎晩飲み屋さんに行く。この飲み屋さんも津波で半壊。津波でご家族も亡くされ、もう店をたたもうと考えていたママさんに再起を促したのは、店の常連さんだったという。一か月後には、このままじゃいけないと、無我夢中でお店を再建されたそうだ。港町として栄えてきた宮古だけど、客足は以前のようにはないそうだ。ママさんとNさんとしっとりと熱燗を飲む。「もうすぐ三回忌が始まるね」とNさんとママさんは、あの日亡くされた大切な家族に思いをはせる。

久しぶりに浄土ヶ浜へ行ってみた。震災から二か月、初めて行った浄土ヶ浜は悲しいくらいきれいだった。連れて行ってくれたシュウジは「宮古のきれいなところも見て帰ってほしい」と言っていた。あれからもうすぐ二年になろうとしている。津波で壊滅していたレストハウスがきれいになって、営業を再開していた。なんだかめちゃくちゃ嬉しかった。

ときは確実に流れているんだなあと思った。

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