世界の笑顔に出会いたい

写真家・高橋美香のブログ。 公園にいたノラ猫のシロと暮らす。 カメラを片手に世界を歩き、人びとの「いとなみ」を撮影。 著作に『パレスチナ・そこにある日常』『それでもパレスチナに木を植える』(未來社)『パレスチナのちいさないとなみ』(共著、かもがわ出版) 写真集に『Bokra 明日、パレスチナで』(ビーナイス)

2017年05月

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ロンドンの話を語りきらないうちにもう話はパリへ。ロンドンのセントパンクラス駅からユーロスターに乗ってパリへ。イースター休暇の真っ只中だったせいなのか、普段からそうなのかわからないものの車内は満席。大きな荷物を抱えた旅人でいっぱい。二時間半ほどであっという間にパリの北駅に到着。途中海底トンネルを長いあいだ通っていたが、そこがドーバー海峡だったみたい。とにかくあっという間。

パリ北駅には3年ぶりの再会となるアフガン人の友が迎えに来てくれているはずだったし、実際に彼は迎えに来てくれてはいたのだが…会えなかった。無謀だと思ったんだよ、ちゃんと待ち合わせ場所も決めずに会うなんて。でも友は「大丈夫。降りる場所を探して迎えに行くから」と前日まで言い張るので、まあいいか、「会えなかったらホテルで待ってるね」とメッセージを返してはいたが、案の定。降りたホームの出口の前で待つが、いっこうに会えず。半ばイライラしながらメトロに乗ってホテルへ。

ホテルがあるのは18区。ガイドブックには「18区は治安に注意」「18区を夕方以降は歩かないように」などと書いてある。ワタシは大学生のころから、パリ(というかヨーロッパというか先進国というか)にはほとんど興味がなかったのだが、パリ18区はずっと憧れの地だった。アラブ人を含む移民街、ライをはじめとする北アフリカの音楽が奏でられる街、大学生の頃シェブ・ハレドなどライにはまったワタシにとっては「18区」「バルベス」という響きは、「パリ」「シャンゼリゼ」以上に憧れの響きだった。そのバルベスがこの旅の宿泊地!

ホテルに着いてようやくWifiがつながり、友から「パリ北駅にいるけどどこ?」とメッセージが入る。「悪いけどもうホテルに移動したよ。ホテルで待ってる」と返すと20分も経たずに友は現れた。友との3年ぶりの再会は、これ自体が大きな大きな主題なので、今日は割愛。難民申請をするために欧州を横断し、ようやく1年以上かけて辿り着いたパリで、友は意外と元気そうだった。

さっそく友と街歩きを開始した。どこへ行く?なにをする?そう聞いても友は「さあ」と答えるばかり。「とりあえず昼食を食べたい」と訴えると「お腹はすいていない」と友。一番初めに目についたサンドウィッチ屋をのぞいた。「おお、ショワルマだー」といきなりテンションが上がるワタシ。そりゃそうだ、ここはバルベスだった。

フランス語はほとんどできないので英語で「ショワルマサンドウィッチくださーい」というと「はいよ!」と威勢のいい返事。ふと気づくと狭い店内に座ってオーダーを待つお兄さんはアラブ人風な外見。よく見ると店のお兄さんも思いっきりアラブ人風な外見。英語はあまり得意ではないようで(フランス語ができないワタシが悪いのだが)サンドウィッチに入れる具の中身を確かめたり、味付けを確認したり…なんだかスムーズにはいかない。

思い切って「アラビア語を話しますか?」とアラビア語で聞く。お兄さんは目をまん丸くして「もちろんだよ。俺アラブ人だもん。チュニジア出身」と答える。入れてほしい具としてほしい味付けをアラビア語で頼み、フランス語ができない外国人観光客のお会計の通訳をアラビア語でこなし「そうだったよね。ミカはアラビア語ができたんだった」と横にいる友が半ばあきれ、半ば感心し、サンドウィッチ屋の兄さんが調理そっちのけでワタシを質問攻めにし(どこから来たんだ?日本?なんでアラビア語ができるんだ?カイロに住んでた?パレスチナに通ってる?横にいる友達はナニ人だ?アフガン人?なんでおまえら友達なんだ?アフガンで会った?etc)調理が終わるとまだまだ話したそうにしていたが、友が無言で突っ立っている姿をみると「ああ、そうだよな。友とはこんな簡単な会話、他愛もない話をするのにも恐ろしく時間がかかり、難しいんだよな。これは疎外感を感じてるだろうな」と思い、お礼を言って店を出る。

結論からいうと、バルベスはもちろんのこと、パリのあちこちでアラビア語が聞こえてきたり、アラビア語で鼻唄を唄っているひとがいたり、クスクスやタッブーレが当たり前に食べられていたり…やっぱりパリでもアラブの風を感じるたびに自然と笑みがこぼれた。

我ながら、ロンドンに行ってもパリに行っても、やっぱりアラブに吸い寄せられるんだなあとしみじみ。写真はチュニジア出身のサンドウィッチ屋のお兄さん。

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次の取材旅の資金集めのため、久しぶりにプリントセールをしております。

拙著『パレスチナ・そこにある日常』『それでもパレスチナに木を植える』と写真集『ボクラ・明日、パレスチナで』に収められた写真などです。そのほかの写真(ブログの記事のものも何月何日の写真とご指定いただければ可能です)も、可能な限り、ご希望に応じます。

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●『それでもパレスチナに木を植える』(未來社)
店頭にない場合は、書店でご注文いただければ幸いです。
http://www.miraisha.co.jp/np/isbn/9784624411022

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●『パレスチナ・そこにある日常』(未来社) 
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●写真集『ボクラ・明日、パレスチナで』(ビーナイス)
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●写真集『ボクラ・明日、パレスチナで』に収められた写真のカード、Tシャツ、トートバッグをこちらからお求めになれます。
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いままでオヤのアクセサリーをご購入いただき、一家の支援をしてくださっているみなさま、先日、学校から帰ってきたムスメ(友人宅一家の次女)が「みてみて、これが制服だよ」と高校の制服姿をみせてくれました。無事に夏服も買えたし、通学に必要な自転車も買ってもらえたとのこと。本当によかった。頑張れよー、とエールを送り続けています。

三女も小学生になりました。学校から持ち帰るプリントには「(夏を前に)水泳の授業が始まるので保護者は水着を買ってください」とのお達し。その金額をみて、またため息が出る。

そんなこともありまして、また新たにオヤのストラップ、ネックレス、ピアスを預かってきました。今週末20日(土)の在日本韓国YMCAでの「オリーブ平和映画祭」(今年はアラブアイドルを勝ち抜いたガザ出身の歌手ムハンマド・アッサーフの話を映画化した『歌声にのった少年』)必見です!ワタシも映画館で大泣きしながら観ましたが、またもう一度観たいので会場にお邪魔します。そこで、例年どおりこちらのオヤのアクセサリーを置かせていただくので、実物をご覧になりたい方は是非ともオリーブ平和映画祭へ。

★★★
第9回オリーブ平和映画祭
■ パレスチナ映画『歌声にのった少年』上映
日時:2017年5月20日(土)
  1回目 午前11時~、2回目 午後4時30分~
  (上映時間98分)
料金:一般1200円(前売1000円)、学生600円(前売500円)
会場:在日本韓国YMCA地下スペースYホール
  101-0064 東京都千代田区猿楽町2-5-5
  (JR水道橋駅徒歩5分、地下鉄神保町駅徒歩7分)
  電話 03-3233-0611
問合せ先:ayc@ymcajapan.org(担当:たづけ)

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●『それでもパレスチナに木を植える』(未來社)
店頭にない場合は、書店でご注文いただければ幸いです。
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●『パレスチナ・そこにある日常』(未来社) 
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ロンドンにいるあいだ、午後二時に仕事を終えてから毎日アフガン人の旧友ラフィがあちこち案内してくれた。彼の仕事は早朝の六時からなので、毎日四時起きだというのに。「疲れてないよー、大丈夫だよー。せっかく12年ぶりにミカちゃんに会えたんだから」と連日あちこちへ。本当にありがとう。

一日目の夜、「ミカちゃん、なにが食べたい?」と聞かれたので「アラブ飯」と即答してしまった。ロンドンにはアラブ系の移民も多い。「ロンドンまで来て初日からアラブ飯かよ」と自分に突っ込みを入れるも、ロンドンのアラブな空気も吸ってみたい誘惑に勝てなかった。ラフィは「やっぱり好きだね、アラブが」と笑いながら、地下鉄の駅でいうとマーブルアーチの近くにあるアラブレストランに連れて行ってくれた。

店員さん同士はときおりアラビア語で喋っている。お客さんに対しては、もちろん英語だけれど。ワタシたちの席を担当してくれたお兄さんに「お味はいかが?」と聞かれ、アラブ人の顔をみるとアラビア語が口から出てしまうという長年の癖で、思わず「タマーム(完璧)」とアラビア語で返してしまい、お兄さんは破顔一笑「なに?アラビア語ができるの?」と急にアラビア語でなんやかんやと話しかけてくる。「なにじん?旅行?一緒にいるひと(ラフィ)はアラブ人?」と。

結論からいうと、オリーブとラムのショワルマは美味しかったけれど、ホブズ(パン)とホンモス(ひよこ豆のペースト)はそんなでもなかった。多分、オリーブオイルがイマイチだったんだと思う。ラフィも同様の感想。ミントティーのミントもあんまりガツンとしてなかったし。でも庭から採ってきたものを調理して食べるような贅沢と異国の都会のレストランを比較するのも酷な話だ。

支払いをする段階になって、ラフィはワタシに払わせてくれなかった。「僕が日本でどれだけミカちゃんにご馳走になったと思ってんの?今日くらい僕にも遠方から来た友にお返しをさせてよ」と言われ、ありがたく「ごちそうさまでした」。

帰り道「僕は日本でミカちゃんと出会ったこと、たくさんお世話になったこと、日本で唯一心から友達と思えるひとだったこと、一緒に過ごしたあの最高に楽しかった日々のことを、ずっとずっとロンドンでも忘れられずに生きてきた。ミカちゃんとの友情は僕の心をとても豊かにしてくれた。そのことを一生忘れないし、本当に感謝しているし、またこうやって再会できたことにも感謝しているよ」とラフィに言われた。「再会するきっかけをつくってくれたテクノロジーの進化、フェイス〇ックにも感謝だけど!」といたずらっぽく笑う友の笑顔が心にしみた。

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ゴールデンウィークも含めた5月初旬に東京都稲城市の城山体験学習館(中央図書館併設)において写真展と講演「パレスチナに木を植える」を開催いたします。

50点くらいの展示を考えております。

写真展:5月2日(火)~11日(木)
 館の開館時間は9時から20時(写真展最終日は17時まで展示)

講演:5月7日(日)13時半~16時半

場所:稲城市城山体験学習館 視聴覚室(講演)
 稲城市向陽台4-6-18 城山公園内
 JR南武線南多摩駅より徒歩10分

主催:高橋美香写真展実行委員会 

問い合わせ:090-4969-0794(稲田さん)

写真展、講演とも入場無料

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「え?おまえがロンドン、パリへ行くって?どうしたんだ」とロンドン、パリ行きを告げた相手は一様に絶句するばかり。ワタシだって、まさか自分がロンドンやパリの地を踏むとは思っていなかった。カイロ、カサブランカ、カブール、ハバナ…の地は踏んでも。

きっかけのひとつは、この3月21日に久しぶりにロンドン在住のアフガン人の友から送られてきた新年(ナウローズ)のお祝いのあいさつメッセージだった。たまたまオンラインになった友と久しぶりにそのままチャットをつづけた。「今度中東のどこかへ行くついででもいいからロンドンに寄ってよ。案内するから。めちゃくちゃ会いたい」と。ワタシたちは2005年に別れて以来会っていない。まったく音信不通な疎遠な時期もあった。

でも、数年前、友がフェイスブックでメッセージをくれた。「パレスチナの本を出版して、あちこち飛び回って写真を撮っているタカハシミカさんは、僕が昔日本に留学しているときにとても仲良くしてくれたあのミカちゃんでしょうか?」と。

彼は昔、日本に留学していた。ワタシが運営委員を務めるアフガニスタン山の学校支援の会の二回目の報告会にゲストとして来て「アフガン人留学生からひとこと」と、会場の皆さんに話をしてくれたのが彼だった。ワタシにとっては、初めて触れる「リアルな」アフガン人の姿だった。当時会社勤めをしていたワタシの勤務には「早番」があり、四日に一度は必ず午後から時間が空く。友とワタシは、四日に一度くらいのペースで会うようになり、友からアフガニスタンのことをたくさん聞いた。友のチャリンコに二人乗りして、あちこち大笑いしながら駆け回ったものだ。本当に楽しい日々だった。

しかし、彼の留学生活は突然終わりを迎えた。大学院で学び続けるための担当教授がうまくみつけられなかった。そうすると奨学金もなくなり、ビザも切れる。失意の彼に、ロンドン在住の彼のお兄さんから声がかかった。「日本で勉強を続ける道を探るにしろ、とりあえずいったんロンドンに来てから、出直せ。航空券とお金を送るから」と。

そして、お兄さんによって、その後の彼のロンドンでの生活はすべてお膳立てされていた。なにもかもが、彼の知らないうちに周囲によって決められていた。彼はすぐに抗うこともできないまま、その敷かれたレールの上を歩きはじめた。「ロンドンが嫌い。つらい。日本に帰りたい」と繰り返すばかりの友にかける言葉を失っていった。

友は、ようやくそのお膳立てされたレールの上の人生を振り切る決意をした。お金もなく、不安定な立場のまま、暮らしを楽しむ余裕もなく、辛い日々を過ごしたという。

12年ぶりに再会した友は、すべてを自力で乗り越え、仕事も市民権も得て、ささやかな毎日の暮らしを楽しむロンドンっ子になっていた。「なにもかもがごちゃ混ぜのこのロンドンに、ようやく自分の居場所をみつけられた。12年たって、ようやくここが自分の家、自分の街だと思えるようになった」と話す友の姿に出会えたことが本当に嬉しかった。

今回のロンドン、パリ行きはいくつかの目的が複合的に重なった結果決めたものだったが、友からのナウローズのあいさつがなければ、いま、このタイミングでは実現しなかったような気がする。「ヨーロッパは年をとってからでいーや」が口癖だったワタシが、こんなに早く?ロンドン、パリへ赴くとは。

ただ、ロンドンっ子としての人生を歩むことを決め、それを軌道に乗せた友の姿が嬉しくはあれども、かつて「いつか平和になった故郷アフガニスタンで自分の専門性を活かして次世代のため、国のために役立ちたい」と語った友の夢が故郷で叶えられることなく、彼の専門とは全然違う分野の仕事に就いていることは残念だなと思う。友も「平和であれば帰りたいとは思うけれど」と言うが、友が故郷で人生を再スタートさせることは、それはまたそれで難しいことだろうと思う。

アフガニスタンが平和であれば…何度そう思ったことだろう。戦争に人生を狂わされ、翻弄されるのは、いつも「名もなき」人々。

今度は何年後かわからないけれど、いつかきっとまた友と再会を果たしたいと願いつつ、強く抱きしめあって別れた。


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講演:5月7日(日)13時半~16時半

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