昨日、こちらのブログでも都教委への「公開質問状」送付に際しての「賛同者」を募りましたが、多くの方にご賛同者として参加していただき、ありがとうございました。賛同者のお名前を添付した質問状は、本日内容証明郵便で送付される(された)と聞いております。
昨日、「慌てて取ってつけたように」当該ページ「首都エルサレム」と記された横に、唐突に「註2」という追加の表記があらわれました。これは、おそらくページを作成するそもそも始めの段階から、「大した考えもなく(個人的な推測です)」適当に外務省のページをコピペしただけで、その際に注を付けるのを「忘れた」のだろうと推測されますが、こんな杜撰な仕事が一国の首都の、「平和の祭典(個人的にはその意義を信じていません)」開催地の、「教育」に携わる機関の「責任ある(嫌味です)」仕事なのだろうかと、疑問を呈します。あまりにも子どもたちに対して、また教育に対して無責任だと思います。
「註をつければ逃げられるというものではない」と、今朝、岡先生とも話し(メールですが)ました。訂正に際しても、いままでずっと間違ったことを堂々と表記して、子どもたちの「教育」コンテンツとしていたことについての謝罪や改変への断りの一文もなく(私が知る限り、ですが。もし、そのようなものが散見されましたらご教示ください)、「自分でものを考えずに」仕事を進めた結果、「註1よりも註2が先にある」という「とりあえず慌てて直しました」感あふれる当該ページに、ますます暗澹たる思いが募ります。
イスラエル国|ヨーロッパ|大会参加予定国・地域情報|児童・生徒向けコンテンツ|東京都オリンピック・パラリンピック教育 (metro.tokyo.jp)
「賛同者」の募集は終わりましたが、当該ページには最下部に「お問い合わせ」先も掲載されており、メール、電話等、直接抗議や叱咤激励?の声を届けることも可能です。友人から「ハガキを送った」と聞いて、「それは、より気持ちが伝わりそうだ」と、友人の粋な試みに感動した次第です。
つまり、ひとりでも多くの方に、この問題の根本的な部分に関心をお寄せいただき、今後の都教委の対応や回答について、ご注視いただき、一緒に考えてもらえれば幸いです。特に、東京都在住の方、東京都の学校にお子さんが通っていらっしゃる保護者の方、教育に携わる方、ぜひとも「他人ごと」ではなく、「自分のこと」として考えてもらえますように。
それでは、あらためて、本日28日に送付された「公開質問状」を転載します。細部までうまく転載できていない部分はお許しください。
昨日写真ナシで投稿したところ、大意なくテキトーに選んでこのブログのホーム画面になっている「ナザレの猫」の写真が、この真剣でシリアスな内容の投稿の「記事の見出し画像」としてあらわれてしまって、昨日一日中「しまったー」と思っていたので、今日は、なにかパレスチナの写真を選びます。難民キャンプの壁画の写真にしました。
(ここまでの文章は高橋が書きました。線以下は「公開質問状」最終版です)
「東京都オリンピック・パラリンピック教育」で提示されている
イスラエルとパレスチナの資料の問題について
~問題点の指摘と質問~
2021年7月28日
東京都教育委員会 教育長 藤田 裕司 殿
教育委員 遠藤 勝裕 殿
山口 香 殿
秋山 千枝子 殿
北村 友人 殿
新井 紀子 殿
東京都教育庁 指導部 指導企画課 オリンピック・パラリンピック教育担当者殿
鵜飼 哲(一橋大学名誉教授)
臼杵 陽(日本女子大学教授)
岡 真理(京都大学教授)
栗田 禎子(千葉大学教授)
黒木 英充(東京外国語大学教授)
小寺 隆幸(元東京都教員、元京都橘大学教授)
酒井 啓子(千葉大学教授)
高橋 美香(写真家)
長澤 栄治(東京大学名誉教授)
奈良本 英佑(法政大学名誉教授)
嶺崎 寛子(成蹊大学准教授)
様々な意見がある中でオリンピックが始まりました。これに向けて東京都教育委員会(以下、都教委とします)は、「東京都オリンピック・パラリンピック教育」実施方針(平成28年1月)を策定し、都教委傘下のすべての学校に「オリンピック・パラリンピック教育」の実施を指示し、各校で取り組んできました。
https://www.o.p.edu.metro.tokyo.jp/opedu/static/page/admin-school/pdf/20q1e202.pdf
都教委の「オリンピック・パラリンピック教育」についても様々な意見がありますが、この取り組みの目標の(4)として、「多様性を尊重し、共生社会の実現や国際社会の平和と発展に貢献できる人間」の育成が掲げられています。
ところが、東京都教育委員会のホームページに設けられている「オリンピック・パラリンピック教育」のサイトの「児童・生徒向けコンテンツ~大会予定参加国・地域情報」では、「ヨーロッパ|イスラエル国」という表題の下に「首都 エルサレム」と何の注釈もなく記されています。
https://www.o.p.edu.metro.tokyo.jp/children-student/watch-learn/europe/israel
なお資料1に示すように、「注2」が最後に付されていますが、何に対する注なのかどこにも書かれていません。外務省のホームページの記述(資料3)と対応させると首都エルサレムに(注2)をつけ忘れたと考えられますが、ミスで済む話ではありません。この数年間、「オリンピック・パラリンピック教育」でこのサイトを見た子どもたちは、エルサレムがイスラエルの首都であるという国際的には認められておらず、日本政府・外務省も認めていない虚偽の事実を教えられていることになります。 ★ 追記
イスラエル政府は1980年にエルサレムを恒久首都と定める「基本法」(憲法に匹敵)を制定しました。しかしこれは1967年の第三次中東戦争で東エルサレムを占領し、さらに併合したうえで首都としたものであり、占領地の併合は明確な国際法違反です。1947年の国連総会決議は、エルサレムを「国際管理地区」に指定しました。その後1967年の第三次中東戦争に際し、国連は、停戦後、イスラエルに占領地からの撤退を要求する安保理決議242号を採択し、それを今日もなお維持しており、それに基づいて日本政府もエルサレムを首都と認めておりません。また1993年の「オスロ合意」は、エルサレムの地位をイスラエルとPLOの交渉事項としています。
現在、イスラエルと国交のある国のほとんどはテルアビブに大使館を置いており、エルサレムに大使館があるのは、アメリカ合衆国(トランプ政権の2018年5月以来)、グアテマラ、コソボ、ホンジュラスの4か国に限られます。パラグアイはいったんエルサレムに移したものの、新大統領の選出後直ちにテルアビブに戻しました。エルサレムをイスラエルの首都と認めることは、国際法と国連安保理決議、さらにはそれらを支える国際社会の圧倒的な合意に反する行為なのです。
イスラエルの一方的主張をそのまま教えることは、戦争による占領地の武力併合を容認することになり、国際法、そして日本国憲法の精神にも反するものです。
一方上記の「児童・生徒向けコンテンツ~大会予定参加国・地域情報」では「アジア|パレスチナ」という表題の下に「首都 ラマッラ(西岸地区)」とやはり注釈なく記されています。
https://www.o.p.edu.metro.tokyo.jp/children-student/watch-learn/asian/palestine
しかし、パレスチナ自治政府は基本法でエルサレムを首都と定めていますが、現在はイスラエルが東エルサレムを占領しているため、パレスチナ自治政府はラマッラにおかれています。日本政府は「エルサレムの最終的地位については,将来の二国家の首都となることを前提に,交渉により決定されるべきである」としています。
(外務省「中東和平についての日本の立場」令和2年3月17日
https://www.mofa.go.jp/mofaj/area/middleeast/tachiba.html)
国際法で認められていないイスラエル政府の主張はそのまま認めてエルサレムを首都と教え、一方、パレスチナ自治政府の主張は認めず、日本政府・外務省の立場とも異なってラマッラを首都と教えるということは、公正性と論理的整合性に欠けています。「注2」をつけ忘れた単純ミスである、また、本来「自治政府所在地」とすべきところを「首都」と教えるのも単純ミスである、あるいは子どもにわかるように教育的配慮をしたものである、として済む問題ではありません。子どもたちが間違った事実を教えられたという厳然たる結果に都教委は責任を持たねばなりません。
コロナ禍でのオリンピックの在り方に世界の目が注がれ、とりわけ東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会自体の人権意識が厳しく問われている今、この問題についても、開催都市の教育委員会として早急に見解を明らかにし、必要な措置を取る必要があると私たちは考えます。「共生社会の実現と国際社会の平和と発展に貢献する」人間を育てる教育委員会として、誠実な対応を取ることで、国際社会の信頼に応えていただきたいと思います。
★7月27日に「首都 エルサレム(注2)」と、注2が突然書き加えられているのを確認しました。
《都教委への質問》
外務省見解に反し、都教委がエルサレムを注釈抜きにイスラエルの首都と数年間明記してきた事実について都教委の見解を明らかにしてください。たとえ「注」の付け忘れという単純ミスであったとしても、外務省見解とも国際社会の圧倒的多数の合意とも反する内容が長期にわたって掲げられていたわけですから、その原因を究明し、誤りを是正する措置(とりわけすべての学校・全教職員への告知)をどのように行うのか、お示しください。
パレスチナの首都をラマッラと書くことも、パレスチナ自治政府の考えとも日本外務省の見解(資料3)とも反しています。①と同様、早急に是正することを求めます。どのような是正措置をとるのかお知らせください。
イスラエルを代表する風景として、イスラエルが併合した東エルサレムにある「岩のドーム」の写真を掲げています。(資料1)この空間にたいしてイスラエル政府が警察権を行使し、軍事的に支配していることは現実ですが、しかしこれを東京都が公式に「イスラエルである」と認めるならば、エルサレムをメッカ、メディナに次ぐ第3の聖地とする全世界のイスラム教徒16億人から強烈な抗議が寄せられるでしょう。イスラエルの風景としては適切ではなく削除すべきだと思いますが、見解をお聞かせください。
オリンピック・パラリンピックは国際的行事であり、それに関連する東京都のオリンピック・パラリンピック教育にも国内外の関心が集まっています。私たちは上述した問題について、都教委は、オリンピック・パラリンピック開催都市の責任において、訂正あるいは見解を社会的・国際的に公表する責任があると思いますが、いかがお考えでしょうか。
オリンピック期間中、しかもなるべく早い時期に都教委が誠意ある姿勢を示すことを求めます。回答を8月3日までに 下記へメールあるいはFAXで送っていただくようお願いします。なおこの質問と回答については、国内外のメディア、及び関係諸機関に公表させていただくことを申し添えます。
回答送付先
賛同者 (2021年7月27日現在)別紙
資料1 東京都教育委員会「オリンピック・パラリンピック教育~児童・生徒向けコンテンツ」の中の「大会予定参加国・地域情報」から「イスラエル」のページの一部
(2021年7月25日まで掲載されていたもの)
最下段に記されている注2は、何に対する注か示されていない。
(7月27日にエルサレム(注2)と変わっていた)
https://www.o.p.edu.metro.tokyo.jp/children-student/watch-learn/europe/israel
資料2東京都教育委員会 「大会予定参加国・地域情報」から「パレスチナ」のページの一部
資料3 外務省ホームページより一部
イスラエルの記述より https://www.mofa.go.jp/mofaj/area/israel/data.html#section1
パレスチナの記述より https://www.mofa.go.jp/mofaj/area/plo/data.html#section1
4~6 略 4~7 略
イスラエル 7 略史の最後に注が付記されている。