世界の笑顔に出会いたい

写真家・高橋美香のブログ。 公園にいたノラ猫のシロと暮らす。 カメラを片手に世界を歩き、人びとの「いとなみ」を撮影。 著作に『パレスチナ・そこにある日常』『それでもパレスチナに木を植える』(未來社)『パレスチナのちいさないとなみ』(共著)『パレスチナに生きるふたり ママとマハ』(かもがわ出版) 写真集に『Bokra 明日、パレスチナで』(ビーナイス)

2009年10月

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パレスチナにも、ビリン村にも冬が近づいてきた。冬になると一転冷たい雨が降る日もある。思いのほか寒いのがこの地域。そして、暖房のための燃料はおろか、食料や医薬品にすらこと欠いているガザの状況はもっと辛いだろう。パレスチナに寒い冬がやってくる。

昨日(一部で)お話ししたように、どうやら本当にガザに行けるかもしれない。今朝も確認の電話がかかってきて、かかる費用の総額や日程などのお話をした。どうやらご一行とカイロで合流する日までは、自分の自由に日程を組んでもいいらしい。そうなると俄然ビリンを含めた西岸地区行きの可能性も出てくる。もう本気で腹をくくって、棄てるものは棄てて、このチャンスを半年ぶりの取材旅行と急遽敢行してしまうか。ないのはお金だけ(笑)でも、お金なんて死ぬ気で働けばどうにでもなることだ。

昨日もビリン村で毎週の分離壁反対デモがあった。7月10日以来「暴力誘発罪」なる罪をでっちあげて、非暴力を貫いていた活動家のアディーブさんを逮捕、拘束(誘拐ともいう)したままのイスラエル軍。勿論弁護士も必死に戦ってはいるが、軍事法廷の壁はとにかく厚い。デモの参加者がアディーブさんの顔写真を掲げて「私たちみんながアディーブである。アディーブの釈放を!」と訴えた。勿論それに対する返答は膨大な数の催涙弾の嵐。この催涙弾製造元は儲かって仕方がないな。ますます椀飯振舞のごとく投げ込み、撃ち込むようになっている。

ワタシも彼らの闘いをまた傍で記録したい。それだけがワタシに出来る彼らとの共闘の方法。

普通の人が、小さな声を上げ続けることの大切さは、彼らに教わったから。

ハイサムが撮ったデモの様子↓↓↓
http://www.youtube.com/watch?v=7HSggiGh3zg&feature=player_embedded

写真は、7月のデモの最中に撃たれて穴の開いたズボンを見せてくれたアディーブさん。どうか元気で。

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先日アフガニスタンの学校支援のスタッフ会議の後に、ボスと食事をしていて「写真家はフィルムやデータの管理をきちんとして、いつでもすぐに取り出せるようにしてないと…」という話が妙に心に残った。当たり前のことなんだけど、几帳面さのかけらもないワタシには、きちんと出来ていないこと。「それじゃあダメだ」とお叱りをいただいた。まったくだ。

2008年にデジカメを買う以前の写真の大量のネガとポジの整理、分類にもう何年も途方に暮れている。ボスのお言葉に焦ったワタシ、フィルムをスキャンできるスキャナーを購入した。うちには複合機があるので、二台目のスキャナーを買うことには相当抵抗があったが。

ネガ、ポジ箱(大量に入っていた箱、パンドラの箱ともいう)から取り出して驚いた。全然記憶から消えていたシリア・レバノンの旅の大量のポジが出てきたのだ。

この旅に出たときの自分は空っぽだった。でも自分に打ち克つための一人旅を自分に課して、ヨルダン→シリア→レバノンと周った。そんな当時の心境では、せっかく出会った笑顔を向けてくれた人と、心からは触れ合えていなかったのかもしれない。ビックリするほどキレイに記憶から抜け落ちていた。

ポジのヒトコマずつを一日かけて眺めて、そんな自分の未熟さを悔い、もう一度シリア、レバノンを巡りたくなった。

こんなに素敵な笑顔を向けてくれている人たちに出会っていたのに、どうしてタップリとその尊さを感じ取れないで帰って行ったのだろう。

写真は海沿いの古い町、サイダで出会った人々。

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パートナーと彼の実家に行ってきた。パレスチナに行く前にご挨拶に行って以来なので(汗が出るほど)久しぶり。カワイイ甥っ子と姪っ子の成長が著しい。一風変わった「嫁」であるワタシを、いつも少し戸惑いながらも、あたたかく見守って下さる。いつも嵐のように襲撃して(笑)嵐のように帰っていく。「今度はもっとゆっくりして行きなさい」といつも帰り際に声をかけられる。ありがたさと、申し訳なさと入り混じりながらも、あたたかい気持ちになる。

彼の実家の近くにシマリスのいる公園があるので、のんびりチャリンコを漕いで行ってきた。新しく買ったレンズの試し撮りを兼ねて。もう8年も前、まだ付き合ってもいなかったころ、彼の実家にお邪魔して、バーベキューをして、その公園にも行った。その頃はリスの違いも分からないし、多分園内を一周して終わりだったけれど、今回は様々な表情を見せるリスの姿に夢中になった。望遠レンズを持ってこなかったことを後悔しながらも、出来るだけそーっと近づいて撮影。

しかし、どうもパレスチナ、エジプトの旅の最後から気になっていたのが、画面左の上に現われる黒いドット。このカメラをどのレンズとあわせて使っても発生するので、きっと内部にゴミが付着してしまっているのだろう(T_T)キャノンに持っていかなきゃ。でも、パレスチナでじゃなくて良かった…。

さて、これから某誌の編集者の方とお目にかかって「世界のはたらく女性」についての何点かの写真を見ていただくことになっている。少し遠いけど、天気もいいのでメスト君でサイクリング。最近激太りも甚だしいので(笑)

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ご担当の編集者Mさんのおかげで、ようやくワタシの拙いパレスチナのルポが活字となって印刷され、世に出ることになった。普段何気なく目にしている本や雑誌も、カタチとして出来上がるまでには文字通りものすごい苦労があることを、しみじみと学ばせていただいた。月刊PR誌「未来」11月号、入手方法は
下記の通り。

以下未来社HPより

本誌「未来」は原則として直接購読をお願いしております。1年(全12号)ご予約いただきますと、送料・税込みで1200円です。
ご希望の方には見本誌をお送りいたしますので、小社までご連絡ください。
(tel:03-3814-5521/info@miraisha.co.jp)

詳細はhttp://www.miraisha.co.jp/

その他大手書店、またはお近くの書店での取り寄せも可能だそうです。

そして、早速この記事をご覧になった、御自身も未来社から本を出版されているジャーナリストSさんより「是非会ってパレスチナの現状をお聞かせいただきたい」と電話をいただいた。

聞けばSさんはジャーナリストでいらっしゃると同時に、平和運動を精力的になさっているご様子。各地で講演なども頻繁におこなっていらっしゃる。そしてあの酷いガザへの攻撃と虐殺から1年がたつ12月にはガザへ出向き、平和のための行進を世界各地の仲間たちと一緒に行われるそうだ。

「ワタシなんかでお役に立てますでしょうか?」と尋ねると「まさにメストさんにしか出来ないことです。現地でご覧になってきたことをどうか直接教えてください」とのお返事。数日後にお目にかかることになった。

社会の闇を探れるわけでもない、パレスチナの苦悩を和らげることも出来ない、こんなヘッポコフォトグラファーのワタシが、Sさん達の活動を通して、パレスチナのために何がしかのお手伝いが出来るのなら、本当にありがたいことだと思う。そしてワタシの拙いルポや体験談が、こうやって広がりをもっていくことは本当にありがたいことだと思う。

ガザのみんなは元気かな?ガザに入れるSさんが正直羨ましくもある。ご報告が楽しみだ。

そんなわけで、今日は9年前のガザの写真。

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ワタシがエジプトの中でも一、二を争うほど好きな街、タンタ。カイロから電車で一時間半くらいのこの街はガーミア・アハマド・バダウィの門前町。アハマド・バダウィの廟に参る参拝者で街はにぎわっていて、一種の聖者信仰(厳密に言うとアッラーのみが信仰の対象なので、この言葉はおかしいのだが、エジプトではサイイダ・ゼイナブやフセインなどを奉るモスクがある)に近いかんじ。このガーミアの中ではズィクルをする人々もいて、静かに座ってここに参る人々の姿をみつめる時間が大好きだ。

この街には、そんな全国各地から、もしくは近隣からの参拝客をあてこんだ、人懐っこい商人が溢れている。街全体の雰囲気が「遠方からのお客さん、ようこそ!!!」という雰囲気に満ちている。だからワタシはこの街に何度も何度も通い続けているし、カイロの安宿で出会う「普通の旅では飽き足らない」旅人にはタンタを強く勧める。外国人観光客には一度も会ったことがないので、普通の観光地と違ってシツコイ客引きなんかもいない。カイロから日帰り小旅行にして、エジプトに一歩深く踏みいれられる街。

去年の今ごろは旅に次ぐ旅で、その後にはドップリと現実が待っていたので、せっかくのエジプト写真もずいぶんお蔵入りしたままだと、今更気付いた。少しずつ、紹介していこう。

説明の要らない街の風景と人の写真ばかり。3枚目は、100円ショップならぬエジプトでも大流行の2.5ポンド(50円くらい)ショップ。若い女性がヘアアクセサリーやちょっとした雑貨を買うために、キャーキャー友達と言いながら品定めをしている…そんな姿は、日本と変わらないなあと思う。

エジプトの旅の楽しさは、やっぱり人である。

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