世界の笑顔に出会いたい

写真家・高橋美香のブログ。 公園にいたノラ猫のシロと暮らす。 カメラを片手に世界を歩き、人びとの「いとなみ」を撮影。 著作に『パレスチナ・そこにある日常』『それでもパレスチナに木を植える』(未來社)『パレスチナのちいさないとなみ』(共著)『パレスチナに生きるふたり ママとマハ』(かもがわ出版) 写真集に『Bokra 明日、パレスチナで』(ビーナイス)

2010年08月

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ビリン村のハイサムの弟のアシュラフは、ワタシが再訪問した冬、五か月ぶりにイスラエル軍の刑務所から解放されて村に帰って来ていた。

生まれたばかりの最愛の娘アダ―リと何カ月も離れて暮らすことは辛かったと。でも、そのアダ―リがビリンで安心して暮らしていけるように…と、アシュラフは毎週体を張って分離壁と占領に立ち向かっている。

何度も撃たれ、拘置所では暴力をふるわれ、アシュラフは片足を引きずりながら歩いている。持ち前のガッツとパワーで、そんなハンディは普段は感じさせないけれど、それでも冬には足が痛むのか、いっそう足を引きずっていた姿が忘れられない。

そして先日のデモで、また左足をイスラエル軍に撃たれていた。

明るくて、ひょうきんで、優しくて強いアシュラフから、彼の祖父の話を聞いた日のことが忘れられない。彼が話してくれた家族のルーツは、ハイサムからも聞いたことがない話だった。

いま、アシュラフは「自分の故郷」と愛する家族を守るために、自分の身を削ってまで闘っている。そんな友の闘いをひとりでも多くの人に知ってほしいと、ワタシも自分なりに真剣に本づくりに向き合っている。

その本は、10月下旬に発売予定。

写真は、前線をみつめるアシュラフ。飛んできた催涙弾をイスラエル軍に投げ返す炎のファイター。でも、それゆえにイスラエル軍には目ざわりで、頻繁に標的にされている。

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一日だけカメラを持って帰ってもらって、家族の様子や家の周りの様子を撮影してきてもらう「一日カメラマン」シリーズ、カメラを最初に渡して、最初に扱い方をマスターしたのは、おなじみヤシン先生でした。

何度もこのブログに登場のヤシン先生。亡くなった校長のサフダルを一番そばで支え、副校長のような役割を担っていました。ただ、今後ヤシン先生のその地位も含めて、どうなっていくのかはまだ不明。屋台骨として懸命に学校を支えていた校長の早すぎる死は、学校のみんなの胸を痛めていることだろうと思う。

どんなに気合を入れて撮っても、家族が撮るポートレイトにはかなわないと思わされることが多々ある。家族の誰かにしか見せない表情、その心の垣根のなさ…信頼感ゆえに見せる、撮れる表情。ヤシン先生が写した弟アクバルと息子たちの写真は、その良さがあらわれている素敵な写真だ。

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今年の「アフガニスタン山の学校支援の会」総会&報告会では、この一日カメラマンたちの作品も出来るだけたくさん展示します!

乞うご期待!!!

東京@三鷹 2010年9月25日(土)、大阪@高槻 2010年10月2日(土)

詳細はhttp://www.h-nagakura.net/yamanogakko

ゴム弾で足を撃たれたのはハイサムの弟のアシュラフと思われる。
 
あの傷は、きっと、そう遠くない距離から狙い撃ちされたもの。
 
何度撃たれても、不自由な足を引きずってでも、前線に立ち続けるアシュラフ。
 
すべては最愛の娘、アダーリのため。
 
 

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いまちょっと色々なことでアタマがゴチャゴチャなので、シンプルに、ただ写真を撮ることの幸せや、写真を見返すことの幸せを、自分自身が感じたくて、アフガニスタンの写真を久しぶりに引っぱり出してみた。

パレスチナ、ビリンからから入った最新のメールでは、ハイサムの弟のアシュラフがゴム弾(何度も言うがゴムの弾ではない。鉛の弾に薄くゴムがコーティングされているだけで、距離や当たり所によっては、十分殺傷能力をもつ)に撃たれて病院に運ばれた。

パレスチナの本を出版する大体の時期が決まった。そして、それに合わせて那覇での写真展も。いろいろ考え過ぎても仕方がない。できることを、ガンガンとやりながら進んでいくしかない。

ああ、マリナ、ちょっとだけそっちに遊びに行きたいよ。

ただマリナと手をつないで、あの山を数日駆け巡りたい。

ブリュッセルのEU本部において、ビリン村の違法な分離壁と闘うアブダッラーのイスラエル軍裁判所の判決について、EU議員のCatherine Ashton氏によりステイトメントが発表された。

Ashton氏は外交、安全保障問題のrepresentativeである。

このステイトメントは委員会の副議長の名において出されたもの。

The High Representative (スミマセン…EUの組織図に詳しくないので、これはなんと訳すべきなのでしょう?上院?高等評議会?)はイスラエル軍裁判所で裁かれている、違法なデモを組織し参加していたとの容疑のかけられている、39歳のアブダッラー・アブーラハマ氏について大きな関心を寄せている。

EUは、アブダッラー氏はビリン村を通る、国際法の正当性を欠いた違法な分離壁に対する非暴力の抗議をおこない、自らの人権を守ろうとしていたと考える。

EUは、パレスチナの地の上に築かれた分離壁のルートは違法であると考え、また、アブダッラー氏の収監は、彼や他のパレスチナ人たちの、違法な分離壁に対する、合法的な非暴力の抗議の権利を脅かすものと、深く憂慮している。

追記:EUは、2009年12月以来勾留されているアブダッラー氏のすべての審問に出席している。

どうか、EUだけじゃなく、全世界の勇気ある、また影響力のある政治家や外交官の方々が、違法な分離壁に対するプロテストや、イスラエルの非道な「占領統治」の実態を暴き、パレスチナの人々のために闘ってくれますように。

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