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イスラエルのネゲブ砂漠のなかにある町、ベエルシェバから車で10分アル・アラキブというベドウィン(アラブ系の遊牧民、政府に無理やり定住政策をとらされてきた歴史がある)の村で、イスラエル政府による家屋破壊と立ち退き命令が執行され、三百人の住民が家を失った。このうち二百人ほどは子どもたちである。
イスラエルという国に、無理やり「国民」として組み込まれてきたアラブ系住民は「民主主義国家イスラエル」という建前のもと「対等な権利」を保証されているが、実態はそれとは程遠い差別国家だ。
イスラエルのユダヤ系国民には徴兵制がしかれるが、アラブ系住民には徴兵はない。イスラエルの本音で言えば「信用できないアラブ人を軍隊に入れてたまるか」という訳だ。もちろん、アラブ系住民だってイスラエル軍に入って、「占領地」パレスチナ自治区で自分の同胞に銃を向けるなんてまっぴらごめんだろうけど。
しかし、軍隊のなかでの人脈が、イスラエル国民としてその後の人生を決定づける…とまで言われている、その兵役の経験がないことは、イスラエル社会で生きていくことにおいては、有利にははたらかない。だから、わざわざ「志願兵」としてイスラエル軍に入るベドウィンや、シャバクなどイスラエルの情報部に入り、軍事行動などを助けるアラブ系住民も存在する。カネ、脅迫、甘言…もちろん、動機はひとによって様々だろうが。
イスラエルに組み込まれた「アラブ系住民」には、このような巧妙に分断されてきた歴史もある。グリーンラインのどちら側(イスラエルORパレスチナ)で生まれたかによって、同じアラブ人、同じパレスチナ人でも随分と生き方が違うように仕向けられてきたし、同じイスラエル国内の「アラブ系住民」であっても、ドルーズには兵役があり、ベドウィンは志願兵になることは可能で、それ以外のアラブ人(イスラエル国籍を持つパレスチナ人)には兵役も志願兵制もない…というふうに、分断政策をとられている。
「分断して統治せよ」帝国主義時代の常套句。
話を戻そう。イスラエルに押し付けられた「国籍」により、人びとは様々な反応をした。イスラエル社会のなかで出来るだけ同化して生きていくことを選ぶ人、逆にアラブ人、パレスチナ人としてのアイデンティティを強くして生きることを選ぶ人、様々だ。
でも、共通して言えるのは、どちらを選んでも、彼らは決して「イスラエルの守られるべき国民」とは成りえないこと。ここがユダヤ系住民が暮らす村であったなら、決してこんな風に、他に住む場所も用意されず、家ごと根こそぎブルドーザーで壊される、そして村ごと破壊されるなんて、あり得ないのだから。
これを「民族浄化」と呼ばずして、何と呼ぶ?これでもまだ、イスラエルを「民主主義国家」だと信じる?「国」が「国民」をホームレスにするようなこの国が「民主主義国家」なんてチャンチャラオカシイ。
写真は、東エルサレムで同じように家を奪われた人々

