世界の笑顔に出会いたい

写真家・高橋美香のブログ。 公園にいたノラ猫のシロと暮らす。 カメラを片手に世界を歩き、人びとの「いとなみ」を撮影。 著作に『パレスチナ・そこにある日常』『それでもパレスチナに木を植える』(未來社)『パレスチナのちいさないとなみ』(共著)『パレスチナに生きるふたり ママとマハ』(かもがわ出版) 写真集に『Bokra 明日、パレスチナで』(ビーナイス)

2010年12月

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なんとも言葉にしがたい一年だったなあ。

写真家と名乗って、それなりに物事が動き始めて、一冊の本を世に送り出すことが出来て、とても充実した年だったようにも思う反面、それで満足では決してない…気持ちもあり。

写真は、ちょうど去年の12月31日にラマッラーで開かれた「ガザへの連帯デモ」で撮影したもの。偶然にもデモでバッタリ再会したマンゴーとハイサムと、ライオン像の土台の上で何度も何度も抱きしめあって、再会を喜んだあのときの記憶は、近いようで遠い記憶になりつつある。でも、いまでもマンゴーとハイサムを抱きしめたときの感触は、なんとなく残っている。肌に当たったそのときの空気の感触も。

あれから一年、彼らの「闘い」のこと、パレスチナの人々が「普通に生きる」ために必要を強いられる「闘い」のことを、ひとりでも多くの人に伝えたいと願い続けた一年…を顧みると、成し遂げられたこと、成し遂げられなかったことが、それぞれたくさん浮かんでくる。

新たに、彼らの闘いを知ってくれて、応援してくれる人との出会いも嬉しい。でもそれ以上に、ずっとずっと変わらず応援し続けてくれている人たちからのエールが一番嬉しい。

今年もどうもありがとう。

来年早々、パレスチナへ行ってきます。

☆追記☆
このライオン像に乗っているのが、1日に亡くなったジャワーハルさん、そして一昨年に亡くなったバーセムの弟のアシュラフです。(1/3)

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今年一年間、写真展や講演などの機会にビリン村の白血病と闘う三歳のカルミーへのカンパを呼び掛けてきた。

先日、地元の医師会の先生方にパレスチナのお話をした際、白血病について訊ねてみたが「多分リンパ性の白血病だろう」という以上のことは特に聞けず、そして残念ながら、先生方にはそれ以上の関心をお持ちいただくにも至らなかったようだ…。

それはさておき、この一年間で、そのカルミーに対して多くの方々がカンパをお寄せくださった。まだ各地にお預けしてあるカンパ箱の回収が済んでいないので、総額は分からないけれど…いや、額じゃなくて、多くの方々がカルミーのこと、そのカルミーを支える父親ハイサムのこと、そして村の現状、パレスチナのことを考えたり、心を寄せたりしてくださったことこそが、大きな大きな宝物。

京都、亀岡の子育て中のお母さんが中心となったサークル「アミーゴ亀岡」の皆様が連絡をくださり、勉強会やハイサムの映画の上映会をして、さらにハイサムとカルミーが置かれた状況、ビリン村のことを書いた説明パネルを準備して、カルミーとハイサムへの応援メッセージを募り、募金を呼び掛けてくださったと連絡をいただいた。

この日本の足元にもたくさんの問題があることは、他の誰かに言われるまでもなくよく分かっている。非正規雇用という不安定な働き方しか選択できずに、その職さえも失って、死までをも選ぶこの日本が豊かで幸せな国だと思っている訳ではない。それどころか、明日は我が身とさえ…感じる。

でも、少なくともワタシには雨露をしのげる家があり、今日食べるものがあり、支えてくれる家族もいる。だからこそ、ほんの僅かなことでも、出会った大切な友と、彼の最愛の息子を支えるために、出来るといいなと思う。

人間は、誰かの役に立つことが出来たり、誰かの支えになることが出来たり、そういうことが、きっと一番の幸せなんじゃないかと思う。少なくともワタシは…。そして、同じことを感じてくれている多くの友から寄せられたカンパを、届ける役目を与えられていることもまた幸せなこと。

カルミーを、頑張ろうね…と抱きしめたい。ハイサムと、頑張ろうね…と笑いたい。

まったくもってお恥ずかしながら、読売新聞大阪本社、福山支局の河部記者に、このような記事を書いていただいたのでご紹介。
 
読売新聞備後版 12月25日
 
自分自身が載るのは…いつまで経っても慣れません。でも、拙著の紹介のため、ぐっと我慢(笑)

今年もガスまみれのクリスマス
 
新年1月1日からデモで始まった2010年、なんと来週の大晦日もデモだねえ!

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そういえば、去年もビリン村のクリスマスは催涙ガスにまみれていた。

一年経って、何も変わっていないんだなあと気づかされる。

いよいよ新年明けたら、またパレスチナへ向かおうと思っている。

今回は、初めて行く前にちょっとした仕事をいただいていたり、行く前からすでに、京都、東京と二か所での写真展が決まっていたりする。

なにはともあれ、自分がやらなきゃいけないことを、忘れないように、地に足をつけて頑張ろう。

写真は、ビリン村のハムディより。

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