
宮古に行く前、マエカワさんは煎餅を送ってくれていた。たった数枚の写真のお礼にと。(そのときの記事→http://blogs.yahoo.co.jp/mikairvmest/37003875.html)
お礼に東京から電話をかけると、「宮古に来たら電話してけろ」と言われたので、さっそく作業の合間に電話をかけた。
マエカワさんは、驚きながらも「ミカちゃんがいる教会のすぐそばさいるよ」と意外な一言。よくよく聞いてみると、現在は大通地区近辺で作業が続いているそうだ。早速訪ねてみると、わざわざ作業の手を止めて、「よく来たなあ」と迎えてくれた。
ものすごい暑さの日で、マエカワさんも一緒にお仕事をされている皆さんも、そしてワタシも汗だくだった。朝から夕方まで作業を続けると、もうヨレヨレな見た目(笑)「宮古はあんまりこんなに暑いことはないんだが…」と、皆さん、日陰で休憩を取っていらした。
若手とび職の硬派なお兄さん方には、なんでこんなオンナが解体工事現場にニコニコ飛び込んでくるのか、あっけにとられた様子。でも、みんないい人たちで、ボランティアに来たと言うと、はにかみながら「本当に遠くからわざわざありがとうございます」と。
時間ができるたびに、マエカワさんの現場を訪ねた。最初、血相を変えて現場に近づかせないようにしていた(それが仕事だから当たり前だ、すみませんでした)警備員さんも、トビのお兄さん方も、おじさん方も、みんなが笑って(あきれて?)迎えてくれるようになった。
マエカワさんは、奥さんとワンちゃんとの家族写真を撮ってほしい…と。ワタシは是非とも!と、お互いにスケジュールを調整したが、祭りが入っていたり、マエカワさんには研修が入っていたり、奥さんがお仕事だったり、今回はうまく調整がつかなかった。
いよいよ帰りの日、マエカワさんから電話があり、三日間の研修を終えて帰ってきたばかりなのに「教会まで行くから。でも恥ずかしくて中には入れないから、外に出ておいて」と。すると、マエカワさんは、イカせんべいやいろんなせんべいが入った箱をふたつも、「また今度な」と言いながら、車のなかから渡してくれた。「また会えるのを楽しみにしてっから」と、それだけ言うと「じゃあ」と窓からずっと手だけ出して振りながら、車をスタートさせた。
しばらく離れたところの交差点で止まったマエカワさんの車からは、まだ黄色いシャツからのびた手が、ずっとずっと振られていた。
ずっと宮古で見守り続けたかったけど、次の旅に出てきます。





