世界の笑顔に出会いたい

写真家・高橋美香のブログ。 公園にいたノラ猫のシロと暮らす。 カメラを片手に世界を歩き、人びとの「いとなみ」を撮影。 著作に『パレスチナ・そこにある日常』『それでもパレスチナに木を植える』(未來社)『パレスチナのちいさないとなみ』(共著)『パレスチナに生きるふたり ママとマハ』(かもがわ出版) 写真集に『Bokra 明日、パレスチナで』(ビーナイス)

2013年03月

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今日は、「壊された5つのカメラ」を上映するために、配給元の浦安ドキュメンタリーオフィスのナカヤマさんに会ってきた。金城実さんのアトリエで出会ってから何かとお世話になっている映画作家の西山正啓監督の映画や「壊された…」などを上映する6月下旬の「喜多見と狛江の小さな映画祭+α」のために。

そもそも、数年前、西山監督に「今度狛江で昔の作品を上映するグループがあるから訪ねてみて」と言われ「ゆんたんざ沖縄」を狛江の上映会で観た。実さんや実さんの盟友知花昌一さんが主人公のこの映画。その上映会を企画されたのが、M.A.Pのタカヤマさんとウブカタさんだった。

そして、それから数年、昨年「壊された5つのカメラ」の新百合ヶ丘の上映&トークにタカヤマさんが来てくださった。「近々、西山さんの新作上映会を予定している」と。その上映会の飲み会の席で、誰からともなく「壊された5つのカメラの上映と西山さんの映画の上映とミカちゃんの写真展と琉球舞踊や三線やろう」との話に。

早速、なにはともあれ、その場所にいたタカヤマさんウブカタさん西山監督などをメンバーにした「映画祭」のページをフェイスブック上につくった。そこから運営委員を募って、プログラムを募って…というと立派に聞こえるが、実態は、あの飲み会にいたメンバーが引くに引けず(笑)かかわることになった。みんな、初めての経験。おまけにそれぞれ仕事を抱えている。でも、熱意だけはある。

そして今日、企画書を持って「壊された5つのカメラ」の上映実現するため、ナカヤマさんに話を聞いてもらった。即答でいいお返事をいただいた。他の候補作品をナカヤマさんに話すと、「ビリンとも非暴力抵抗運動でつながりますね」と。沖縄や福島をテーマにしたいくつかの作品を上映すべく交渉中。

「いかに、その辺のフツーの人々に観に来てもらい、知ってもらうかにかかってますよね。わざわざ興味を持って遠くから来る方もありがたいけど、普段あまりそういうことに興味のない人にこそ観てもらえるように…」と話す。ホント、それこそが永遠のテーマ。

新たに旅に出るために、トルコの地図を買って、旅の指さし会話を買って、タブレットに直接撮った写真を入れるためのカードリーダーを買って、そうこうしてるうちに雨が止んだので、水滴の付いた花びらがきれいなサクラを撮る。

春はいろいろなことのスタート。ワタシも新しいことを始めよう。

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カルミーが天国へと旅立ってから四カ月。もう四カ月なのか、まだ四カ月なのか…。ワタシにとっては、ずいぶん前のことのような気がしてくる。

カルミーが危篤のとき、家族の事情でパレスチナへは向かえなかった。「ミカはいつ来るの?」と病床からワタシを待ち続けてくれていた。そのことに、胸がえぐられるようだった。どんなに願っても、どうにもならないことがある。その事実を突き付けられたのは、テロに遭ったアクバルのときから二度目だった。

ようやく、家族の事情は解決した。以前のように、やりたいことをやれるような環境に戻りつつある。そのことに感謝しながら。

でも、なんだかパレスチナへは向かえないままでいる。ハムディもドイツからビリンに戻った。また「家族全員」そろったアブーラハマ家に帰りたい。でも、なかなか向かえないでいる。いま行けるのなら、どうしてあのとき行けなかったのか…と、考えても仕方がない思いにさいなまれる。カルミーの不在を思い知らされるのが怖い。喪失と懸命に向き合いながら生きているハイサムやハウラに会うのが怖い。うんざりするような入国審査も。

ああ、なんて自分は意気地無しなんだろう。ほとほとイヤになる。

これが、ワタシが撮ったカルミーの最後の写真。これから11か月後、カルミーは食べ物を体に受け入れられなくなり、点滴に繋がれ、笑顔も消えた。

誰の命にも限りがあるし、長けりゃいいってものじゃないし、そんなことは重々分かっているのに、この深い喪失に、まだまだうまく向き合えない。

時間だけが、そのことを解決してくれるのかもしれないけれど。

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久しぶりにキューバのはなし。

フィデルが共産党大会で何時間、時には何十時間にも及ぶ演説をおこなってきた革命広場。そこには、チェ・ゲバラの肖像が内務省の壁に描かれている。「永遠の勝利まで」という彼の言葉とともに。

そして、大学生のときにはなかったものが、十数年のあいだに登場していた。それは、ゲバラとともにキューバ革命を闘った英雄カミーロ・シエンフエゴスの肖像。内務省と隣り合う情報通信省に「いいだろ、フィデル」という言葉とともに描かれている。

このふたつを上から眺めようと、ホセ・マルティ記念博物館にある展望台にのぼってみた。

印象的だったのは、燃料不足か高級ホテル以外はほとんどどこもクーラーなど効いていないハバナ市内。それが、ホセ・マルティ記念博物館は冷えていたということ。キューバ国民には、こういう施設は無料もしくは激安の入場料なので、多くの子どもたちが見学に来ている。

展望台には、日本のそれのようにゆったりしたくつろぎスペースやベンチなどが置いてあるわけではないので、長時間は過ごしにくい。東西南北それぞれのスペースに、ひと一人か二人がようやく眺められるような曇ったガラス越しに、階下の景色を見渡す。

とはいえ、このタワーはハバナっこの誇り。独立戦争の英雄ホセ・マルティが、じっとハバナっこをみつめている。

ここから夕焼けとか眺めたらキレイだっただろうなあ。

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明日、谷戸公民館で「宮古のこの二年をみつめて」という話をするので、改めてこのブログに書いてきた宮古に関することを読み返してみた。ずいぶんいろんな人に出会って、いろんなことを考えてきたんだなあと。

ミキさんとは、重茂半島にある、とある仮設住宅で出会った。もともと赤前に暮らしていたというミキさんは、津波でご自宅を失い、自宅近くの仮設住宅には入れず、少し離れた場所に建てられた仮設住宅で暮らしていらっしゃる。ミキとミカ、一文字違いの名前で、あっという間に仲良くなった。

幸い、ご家族も無事で、お子さんたちは一緒には住めないので、同じ仮設住宅の別の部屋に暮らしていらっしゃる。

ミキさんに出会った日、この仮設住宅に焼きそば&かき氷食べよう会を開催するために行った。この仮設住宅は、すぐご近所に暮らす方の私有地で、快く土地を提供し、その家の方は自分の畑で採れた野菜などを、仮設住宅の方々に持ってきてくださるそうだ。

そういう、仮設住宅とご近所の方の交流もかねて、こういう催しが開かれている。

「近所の方には、ずいぶんお世話になっているのよ。だから、ご近所の皆さんにも、声をかけて回りたいから一緒に行こう」とミキさんが先導して、ご近所まわりを手伝ってくださった。

ワタシは、ミキさんの語り口や笑顔にひかれて、ずーっと一緒にしゃべっていた。ミキさんも家には戻らず、ずっと急ごしらえの「野外集会所」に腰を下ろしていろんな話を聞かせてくださった。

午後遅い時間に、もう間もなく片づけて帰ろうとしていると、ミキさんが「少しだけうちに寄って行って」と声をかけてくださった。

家に上がらせてもらうと、被災して以来、何かすることを…と作り始めたというふくろうのマスコットをワタシに握らせ「持って帰って」とおっしゃるミキさん。ひとつを選ぼうとすると、「全部持っていきな祭」とみっつ持たせてくださった。

ずっと働いていたというミキさん、何もしないでいる時間は耐えられないそうだ。ミキさんのマスコットは好評で、ときどき支援団体に買い取られていくそうだ。

「また会いに来るね」
「うん、また会いに来てね」

このささやかな約束をつないできた、まあ、ただそれだけの二年間だったと思う。またミキさんに会いに行こう。

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下記の通り西東京市谷戸公民館において「被災地・宮古の2年をみつめて」というスライドトークによる公民館講座をいたします。

日時:3月16日(土)14時から16時
場所:西東京市谷戸公民館(西武新宿線田無駅、西武池袋線ひばりが丘駅からバス、
谷戸小学校下車)
電話:042-421-3855(予約申し込み先)
   
入場無料ですが事前予約が必要です。

対象者は西東京市在住、在勤、在学となっておりますが、
空きがあればどなたでも参加可能です。

なお、3月1日~16日まで、谷戸公民館ロビーにおいて、パレスチナと
宮古の写真展も開催しております。

お近くの方は、是非お越しください。

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3月11日、一日中宮古で出会ったひとや被災地を思いながらも、今年はなにも行動できなかった。現地に行くことも、その日になにかアクションを起こすことも。今月は沖縄も宮古も行くぞと意気込んでいたけれど、現実は甘くなかったー。

ところで、二月に宮古に行ったとき、思わぬ再会があった。というのも、ある中学校のグランドにある仮設住宅でお餅つきをしたときのこと、その中学の野球部の子たちが部活帰りにおもちを食べに来た。この仮設住宅に暮らす方々は「グランドに仮設住宅が建って、思うように練習できなくてかわいそうに。申し訳ない」とおっしゃる。

でも、野球部のみんなは元気いっぱい。この子たちの写真を2011年の夏に撮って、そのあと先生に託してそれぞれに渡してもらった。なんと、その子たちとの再会だった。

「あ、写真撮ってくれたひとじゃないですか?写真ありがとうございました」「うちにはあの写真飾ってありますよ」と、口々にお礼を言ってくれる野球少年たち。あの夏も、部活帰りに、近くにある仮設住宅でのイベントに顔を出してくれたんだったね。そのとき「僕たちが、この仮設住宅の方々を見守ります」と、大人びた口調で話してくれたことが、ずっと心に残っていた。

その言葉通り、野球少年たちは、仮設住宅に暮らすお年寄りたちと仲良くしゃべっていた。そうやって、地域のひと同士のつながりが生まれ、育まれることが、これからの復興には一番大切なことだと思う。

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下記の通り西東京市谷戸公民館において「被災地・宮古の2年をみつめて」というスライドトークによる公民館講座をいたします。

日時:3月16日(土)14時から16時
場所:西東京市谷戸公民館(西武新宿線田無駅、西武池袋線ひばりが丘駅からバス、
谷戸小学校下車)
電話:042-421-3855(予約申し込み先)
   
入場無料ですが事前予約が必要です。

対象者は西東京市在住、在勤、在学となっておりますが、
空きがあればどなたでも参加可能です。

なお、3月1日~16日まで、谷戸公民館ロビーにおいて、パレスチナと
宮古の写真展も開催しております。

お近くの方は、是非お越しください。

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