世界の笑顔に出会いたい

写真家・高橋美香のブログ。 公園にいたノラ猫のシロと暮らす。 カメラを片手に世界を歩き、人びとの「いとなみ」を撮影。 著作に『パレスチナ・そこにある日常』『それでもパレスチナに木を植える』(未來社)『パレスチナのちいさないとなみ』(共著)『パレスチナに生きるふたり ママとマハ』(かもがわ出版) 写真集に『Bokra 明日、パレスチナで』(ビーナイス)

2013年06月

イメージ 1

いやあ、濃い。いやあ、疲れた。でも楽しい。

これが、「喜多見と狛江の小さな映画祭+α」会場で日々を過ごしている感想。

ここのプログラムで処々様々感じることはあるとして、いま一番楽しい、面白いと感じているのが、この映画祭の中心メンバーでもある演劇人たちとの出会い。

映画祭実行委員長の高山正樹氏自身も役者、で、プログラム「茶色の朝」「いつかあなたはここにいて、わたしはいつもそこへいく」を上演したオフィスプロジェクトMの劇作家で演出家の丸尾聡さん、役者の横澤有紀ちゃん、小山貴司君たちと過ごす日々が、知らない世界がどんどん広がるようで、楽しくてたまらない。

元来、いつもひとりで取材して原稿書いてっていう作業は個人的なもの。みんなで舞台を作り上げる彼らとは対極にある。いままで特に演劇に興味なかったし、いくつも観たことはあるけど、そんなにピンとこなかった。

ところが、この映画祭の小さな会場で上演した上記の二つのプログラムに、ワタシはビリビリきた。被災地「海沿いの町」での記憶をテーマにした後者は、あやうく号泣するところだった。自分が実行委員じゃなくて、人目を気にしたりとかそんな立場になかったら、きっと号泣してたと思う。すごかった。

連日、お客さんのはけた会場で、酒を片手にちょっとした酒宴が始まり、ほとんどが演劇や演劇人の知らない話なんだけど、でもその空間の片隅でみんなが紡ぎだす言葉を聞いているのは心地よくて。

いやはや、愛すべき人たち。

映画祭そのものの話は、また別の機会に。思うことがいろいろありすぎて、とても書ききれないし。いまのところ、強烈に印象に残ったのは、原発の恐ろしさを警告してくれていた映画「あしたが消える」、原一男監督の「極私的エロス・恋歌1974」、上記のオフィスプロジェクトMの二作品、しろたにまもるさんとゴローちゃんの腹話術。

連日、隣家の解体工事でインターネット回線のケーブルが切断され、プロジェクターが壊れ、ブルーレイプレイヤーが壊れ、集客も思うようにはいかず、選挙結果に心が砕かれ、あまりに足りない睡眠時間に目は落ちくぼみ、頭痛薬が欠かせず、家には帰れず風呂にも入れず、まあ、しんどいことだらけだけど、それでも楽しい日々。

今日は映画祭始まって初のオフ…というか、いくつか原稿書かなきゃいけないので無理やり映画祭離脱。

こんな映画祭ですが、空席たくさんありますので、皆様のお越しをお待ちしております。

*********************************************

20人ちょっとで一杯となる小さな会場です。お早めに御予約ください。

【御予約・お問い合わせ】

M.A.P.:03-3489-2246
(FAX:03-3489-2279 mail:mpro@mbh.nifty.com)

コリッチからの申し込み
http://kitamitokomae-artfes.com/ticket.html

※基本的に期間中10:00、14:00。19:00(日曜日は17:00)にメイン企画。間にミニ企画あり。
また常設の写真展、BGMやBGVも見もの。

さまざまな関連グッズなども販売もします。


「喜多見と狛江の小さな映画祭+α」公式HPは・・・
http://kitamitokomae-artfes.com/index.html

映画祭フェイスブックページ
http://www.facebook.com/events/181288825360243/

※以下、5月18日現在のスケジュールです。
※詳細や最新情報は公式HPをご覧ください。



【25日(火)】
(1)10:00~●『飯館村 第1章・故郷を追われる村人たち』監督:土井敏邦

(2)14:00~●『ポスターガール』+●『IVAW 明日へのあゆみ』
『ポスターガール』監督:サラ・ネッソン
 第83回アカデミー賞短編ドキュメンタリー部門ノミネート
 (※言葉が早く字幕では追いつかない。舞山裕子・高山正樹が弁士を務める。)
『IVAW 明日へのあゆみ』監督:木村修

(3)19:00~●『血風ロック』監督:流山児祥
 1986年2月 ヨコハマ映画祭自主製作映画賞受賞作品。
 (※上映後、監督のトークショー)

【26日(水)】
(1)10:00~●『あしたが消える』(1989年公開の幻のドキュメンタリー)
 (※上映後リック・タナカ「原発を語る」(オーストラリアから実況中継)

(2)14:00~●『イエローケーキ』監督:ヨアヒム・チルナー
(※17時から、リック・タナカの「エネルギーの話」オーストラリアから実況)

(3)19:00~●『ポスターガール』+●『IVAW 明日へのあゆみ』
 (※舞山裕子・高山正樹が弁士を務める。)

【27日(木)】
(1)10:00~●『スケッチ・オブ・ミャーク』監督:大西功一
 沖縄宮古島の古謡や神歌を追ったドキュメンタリー 原案・監修:久保田麻琴

(2)14:00~◎「京太郎の唄」新城亘ライブ
(※14時の催しの後、19時の催しまでの時間、三線、琉球舞踊の体験コーナーあり)

(3)19:00~●『スケッチ・オブ・ミャーク』監督:大西功一

【28日(金)】
(1)10:00~●『よみがえる琉球芸能 江戸上り』

(2)14:00~●『ゆんたんざ沖縄』監督:西山正啓
(※17時頃から30分弱の作品●『沖縄の声ー山シロ博治』森の映画社最新作を上映)

(3)19:00~●『ゆんたんざ未来世~恨を解いて、浄土を生きる』監督:西山正啓
 (※上映後、西山監督のトークショー)

【29日(土)】
(1)10:00~●『壊された5つのカメラ』監督:イマード・ブルナート、ガイ・ダビディ

(2)14:00~●『ぬちどぅ魂の声』監督:西山正啓
(※17時頃から●『沖縄の声ー山シロ博治』森の映画社最新作を上映)

(3)19:00~●『カメジロー沖縄の青春』主演:津嘉山正種
 (※上映後、主演の津嘉山正種さんのトークショー)

【30日(日)】
(1)10:00~●『主権在民 女たちのレジスタンス 改定版』監督:西山正啓
 (※本邦初演!)

(2)14:00~◎斎藤哲夫ライブ
 (※「グラスソングス」(高田渡のライブ映像)を同時上映!)

(3)17:00~●映像作家 櫻井篤史+加藤到 2人展

*********************************************

転載・シェア大歓迎です。是非とも周りの方々にご案内ください。

写真は高山正樹、丸尾聡両氏。

イメージ 1

イメージ 2

イメージ 3

いよいよもう朝が来れば、「喜多見と狛江の小さな映画祭+α」がスタート。

今日は(正確には昨日か)、会場のM.A.P.に写真展「パレスチナに生きる~ビリン村編~」「彫刻家 金城実」の設営に行ったあと、そのまま夜まで買い出しやら会場物販物の在庫確認と品出しやら。

舞台の方では、本職の音響さんのワタナベさんが、これまた持参の機材とともにボランティアで映画の音響を設営してくださっている。

近所の協賛店として広告を出してくださったお店や、スクリーンや照明を貸してくださったところ、まあ、本当に多くの方に支えられて、いよいよ映画祭はスタート。

都議選や参院選や高校野球予選があって、マスコミには相手にもしてもらえなかった小さな映画祭。告知は、それぞれの出演者や運営委員が必死にツイッターやフェイスブックやブログをつかっておこなう。しかし、予約状況をみてみると、正直言ってなかなか厳しい。

「ミカちゃんにもギャラは出せないから、頑張って自分でなんか売って」と言われるものの、何を売っても、日々の交通費すら賄えそうもない。まあ、そんなもんだよなあと、覚悟を決める。

ということで、皆さんのお力添えだけが頼りのこの映画祭。

このページのに貼られたツイッターやフェイスブックのリンクボタンを使って、告知をしていただければ、誠にありがたい次第です。

ツイッター: @KitamiFilmFes

HP: http://kitamitokomae-artfes.com/

21日(金)19時と29日(土)10時からは、ビリン村が舞台の「壊された5つのカメラ」の上映。上映後にはスライドトークやります。

写真展は入場無料。よろしければ、会場入り口に置かれた「写真展プリント製作費カンパ箱」にお志を。

みなさまのお越しをお待ちしております。

イメージ 1

イメージ 2

アフガニスタンのバーミヤンや近郊を旅していて、妙に「落ち着くなあ」と感じるのは、日本人にもよく似た風貌のハザラ人の存在なのか、喧騒とは程遠いのんびりした町の空気のせいなのか。とにかくのんびりするには最高の場所だった。

大仏跡の遺跡の町バーミヤンから、青く澄み渡る湖バンデアミールに向かう道の途中で、酪農で生計を立てている村カルガナトゥに立ち寄った。ここではJICAのプロジェクトで乳製品を製造して出荷する支援をしているという。

村の子どもたちは、どの子も突然現れたガイジンに関心を持ちながら遠巻きに眺めている。遠くの方から声をかけてくるが、なかなか近寄ってこようとはしない。小さな子どもたちは、明らかに見慣れぬガイジンの存在に怯えている。どの子も黒ずんで破れた袖や襟の服を着て、鼻水を垂らしている。真ん中に井戸がひとつ掘られている。服や顔や体を洗うための水は、この地域では貴重なのだろう。

ぼんやりとここに暮らすひとの顔、様子を眺めていると、まぎれもなくここはアジアで、自分たちのいる日本とこの道でつながっているんだなあとぼんやりと思う。

「シルクロード」が、自分の実感として、アフガニスタンと日本をつなげてくれていると感じたひとときのこと。

イメージ 1

今回の宮古行の目的は、被災後小学校の体育館の避難所から仮設住宅入居へ、仮設住宅入居からいままでずっと付き合いの続いているKさんが、念願の家を建てられ、その新しい家への引っ越し状況をみながら、必要であればお手伝いをするためというのが大きな目的のひとつだった。

もちろん、それと同時に、二年間通い続けている宮古で、たくさんたくさん増えた友人知人の顔をみたいから。さらに、もし可能であれば、商店街の「宮古街なか復興市2013」に参加して、その様子を記録したかったからというのも理由のひとつ。

とはいえ、仕事など諸事情もあるし、一度は復興市をあきらめて帰ろうとしていた。バスのチケットを駅前に取りに行って、その帰り道、いつもお世話になっている吉田精肉店のおとうさん、おかあさんに挨拶に行ったところ、おかあさんはお留守で、しばらくおとうさんと話をする。

「今夜のバスで東京に帰ります」と言うと「残念だなあ。おめーさんには復興市まで居てもらって、宮古の街なかが明るくなってきたその様子を撮ってもらいたかったなあ。それがおめーさんの役割でねーべすか」と、背中を押される。

おとうさんと別れて、今度は中村生花店のおねーさんと話していると「なんで、ミカちゃん帰っちゃうの?手伝って行ってよー、復興市」と言われ、ますます心が揺らぐ。

色々考えて、色々話して、結果的には、やっぱり復興市まで残ることにして、バスの乗車の日付を変えてもらう。

で、一日目は化粧品の店スマイリイさんで店頭の100円市のお手伝いをして、二日目は大通一丁目商店会の特設コーナーでの「本の読み聞かせ&シャボン玉」コーナーを手伝いながら、復興市の様子を記録して回る。

100円市の店頭では、ビックリするようなものも100円で売られていて、決して儲けにもならないはずなのに、「いいのいいの。商店街が被災からここまで立ち直って、立ち上がれたのは地域の皆さんのおかげなんだから、こうやって恩返ししないと。まだまだ大変なひとたちはたくさんいて、いまみたいな状況の中で儲けなんて考えてたらばちが当たる」と、ある店主さん。

その店主さんたちの心意気があってこそ、街は少しずつ明るさを取り戻しているんだね。

まあ、キレイごとじゃない部分も、被災後三年目の街のなかにはたくさんあるけれど、店主さんのこの思いだけは、みんなの心に広がっていけばいいなと思う。

写真は、中村生花店の100円市の商品。この店舗も、被災から立ち上がったお店のひとつ。電気も信号も消えた町で、彩り豊かなお花屋さんが開いていたことが、どんなに気持ちを明るくしてくれたことか、と当時を思い出す。地元の人には、もっとその思いが強かっただろうな。

イメージ 1

イメージ 2

六月に入って九日間、四か月ぶりに宮古に行ってきた。

少しずつ歩き始めたひと、まだまだ最初の一歩の出しどころをみつけられないひと、被災後三年目の宮古は、その差異が浮き彫りになりつつある。

そんななか、津波が押し寄せ、ほとんど地域ごと波にさらわれた鍬ケ崎では、何もかもがなくなった町にひまわりを植えようという活動がなされていた。

ワタシがいつもお世話になっているYMCA宮古ボランティアセンターと、宮古在住の市民ボランティアのキムラさんのコラボレーション。

まずは、ボラセンのセンター長が元の家の持ち主の方に連絡を取って、敷地を使わせていただいて花を植えることを許可してもらって、試掘をして、土や肥料を足して、キムラさんのもとで育ててもらっている苗を植えて…というもの。

センター長とディレクターは朝夕水やりに出かけていく。上に伸びず弱っている子には割り箸で添え木をして声をかける。

そんな作業をしているワタシたちに、近所の方や、自宅跡を見にいらっしゃった地元の方々は「ごくろうさま。なにもなくなっちゃったからひまわりが育つのを見るのは嬉しいね」と声をかけてくださる。

この地区は、これから防潮堤をつくって、土地の嵩上げをして、今度津波が来たときに備えての避難のための道路を整備して、ようやく再びの町づくりが始められる。

「そんなに待てない」「鍬ケ崎に帰りたい」と、たくさんの声を聞いてきた。この避難用道路にかかる土地を持っている人は、その土地を買い上げられ、その代替地は自分で探さなければならないとも聞く。そうなると、鍬ケ崎に戻り自宅を再建する道は容易ではなくなる。

被災地には、ため息があふれていた。

だからこそこの町で頑張るんだと「お店がなきゃ誰も町に戻ってこないから」とプレハブの商店を再開された商店主さん。町の再建のために懸命に動いていらっしゃる方々。そんな方々の姿も目にしてきた。

ひとときでも、このひまわりが、そんな方々の心を和ませられるといい。


以下は、このひまわりプロジェクトを進める盛岡YMCA宮古ボランティアセンターのブログより。
もしよろしければ、募金にご協力をお願いいたします。

*******************************************

地域の方が「毎日荒れた故郷を見るのがつらい…」という声を聞きました。

小さくてもヒマワリの畑をみんなが通る道の脇に咲かせ、そっと被災された方を励ましてくれれば…という思いでの取り組みです。

思いのほか土が荒れていて、新しく土を入れる必要があります。

地域の方たちと畑づくりのため、募金のご協力をお願いいたします。

下記の連絡先までご連絡いただければ、振込用の用紙をお送りいたします。

≪ご連絡先≫
岩手県宮古市大通1-4-6
特定非営利活動法人 盛岡YMCA 宮古ボランティアセンター
☎080-6010-5478   fax 0193-77-4220

*******************************************

また、市民ボランティアのキムラさんの「小さな花壇プロジェクト」についての詳細は
http://b4s15.jugem.jp/

キムラさんは、個人的に被災地区に小さな花壇をつくり、花のお世話をしていらっしゃいます。
(写真下)

↑このページのトップヘ