世界の笑顔に出会いたい

写真家・高橋美香のブログ。 公園にいたノラ猫のシロと暮らす。 カメラを片手に世界を歩き、人びとの「いとなみ」を撮影。 著作に『パレスチナ・そこにある日常』『それでもパレスチナに木を植える』(未來社)『パレスチナのちいさないとなみ』(共著)『パレスチナに生きるふたり ママとマハ』(かもがわ出版) 写真集に『Bokra 明日、パレスチナで』(ビーナイス)

2014年03月

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正月以来二か月ぶりに宮古へ。今回は実質たった三日間の短い訪問。何もできないことは覚悟のうえ。お世話になった盛岡YMCA宮古ボランティアセンターのセンター長の離任にともなうお別れ会に出席するため。家族を大阪に残しての二年間、本当にお疲れさまでした。

たったの三日間では、訪ねられる人も限られている。一応、前回と前々回の写真のすべてを持って行ったけれど、渡すことが出来たのは半分にも満たなかった。残念。会いたい人はたくさんいるけど、なかなか三日では難しい。

そんななか、いつもお訪ねしているふたつの仮設住宅をお訪ねした。

山のうえのこれらの仮設住宅は雪も深く、皆さん雪かきに追われていらっしゃった。なかなか若い世代の方々は仕事で忙しく、雪かきもお年をめした方々で頑張らざるを得ないとおっしゃる。「みんなが一緒にやる、出来ない人はひとこと『参加できなくてごめん、ありがとう』と言ってもらえれば気持ちよくできるのに」とため息。

その一方、仮設住宅の住民の集いなどに一切参加したくないというあるおばあちゃんを訪ねてみると、おばあちゃんの家の前は一切雪かきがなされていない。「道具も持ってねえし、どうせ雪が解けるまで外に出ねえからいーんだ」と最初頑なだったおばあちゃんも、「じゃあ、ちょっとだけやっていくよ」と声をかけると、嬉しそうに「そうやって気遣ってくれる人がいるってだけで嬉しいなあ、心強いなあ」と笑顔に。ただ、トラブルのもとになるので、「他の家の前で掻いた雪もすべてオラの家の前に捨てろ」と厳命される。雪ひとつでも、大変なんだなあ。

ばあちゃんにはボラセンで廃棄される予定だった軽めのスコップを渡す。ばあちゃんは、また「なんでおめえはいつも来る前に連絡をよこさねえのか。事前に分かってればもっといいものを用意できたのに」と言いながら鮭の切り身を大量にくれる。「いつも本当にありがとうな。誰かが訪ねてきてくれるってのは本当に嬉しいな。また来てくれな」とばあちゃん。

その足でそのまま集会室を訪ねてみると、いつもお目にかかっているおばあちゃんがたが迎えてくださる。話を聞いてみると、やはり、これからどうなるのかという見通しが一向に立たないことが重くのしかかり続けているという。「こんなに三年以上も仮設住宅で暮らすなんて思ってもみなかった。こうなるってわかっていたら、早く自分でアパートでも探せばよかったと思ってしまう。もう今となっては、ここまで待ったんだからもう少し待とうとか、いやもう待てないとか、日替わりで心が揺れる」と。

その場にいたもうひとりのおばあちゃんは「復興住宅に移ったって今度は家賃もかかる。津波が来るまでは自宅だったからそんなお金がかかることを想定していなかった。どこから家賃を捻出すればいいのか」と顔を曇らせる。

とある仮設住宅では、若手であるがゆえに以前は仮設住宅のリーダー格で、みんなを引っぱっていっていたある方が、すっかりみんなが集う場所にも顔を出さなくなったと聞く。ご本人をお訪ねしてみると、病気や失業や再開の見通しがたたない自営業のこの先のことや、いろんなことが重なって「以前ほど元気じゃない」とおっしゃる。「どうしたらいいんだろうね。もう少し年を取っていれば諦められるのかもしれない。もう少し若ければもっと動けるのかもしれない。でも私らの年代はちょうどそのどっちでもなくて、どうしたらいいのか。自宅とお店のあった跡地は嵩上げと防潮堤の建設が済まないと戻れない。区画整理のために土地も削られた。そうなるとお店を再開するには狭い。お店を再開しても、町に人が戻ってくるのかも分からない。もう待つのも限界。三年待ったけど、もう限界」と。

お話しを聞いていると、本当に何もできない自分の無力さが辛くなる。でも、すべてのひとから必ず「忘れずに訪ね続けてくれてありがとう」とお礼を言われる。何の役にも立たないことを自覚しつつも、それでも一生ここに通い続ける。この町とこの町に生き続ける人々の姿をみつめ続ける。

※写真は魚菜市場のシーフーズ須藤の「イケメン店長(本人談)」。

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「こんな場所、あったら行きたい!」をカタチにしました。

中東を愛してやまない2人がお送りする写真展【Cafe Arabian】

異国の風景や雑貨に囲まれて、香り高い淹れたて珈琲と甘~い水たばこ、やさしいオリーブのおにぎりでおくつろぎください♪


■写真 高橋美香×小田桐知
Photo by Mika Takahashi × Tomo Odagiri

■イラストカード 戸川隆介
Illustration by Ryusuke Togawa

■手作りクラフト パレスチナ・クルド難民
Hand made craft from Palestinian & Kurdish

■キリムバッグ イラン
Kilim bag from Iran

■コーヒー 喫茶andanteさんのアラビアンモカ
マスターがひとつひとつハンドピックで不良豆を取り除き焙煎した逸品です。
Coffee from Cafe Andante

■シーシャ(水たばこ) 
Shisha, Warter Pipe

■オリーブのおにぎり
Rice ball of Olive


【Gallery Bobbin ギャラリーボビン】
〒151-0051 渋谷区千駄ヶ谷 4-17-2
http://yubininngyou.cocolog-nifty.com/blog/gallery-bobbin-.html

【日程】
4月14日(月)-20日(日)
12:00-19:00

詳細は随時こちらでお知らせする予定です
フェイスブックイベントページ
https://www.facebook.com/events/205454479664277/207408252802233/?notif_t=like

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こんな日が来るとわかっていたら、もっともっと一緒にいられる時間を大事にしたのに…と、悔いの涙を流すのは何度目だろう。

でもまさか、こんな風に突然の別れがやってくるとは思わなかった。そして、悲しみのあまりダーダー涙が出てきたことにも驚いた。

夕方ツイッターで流れてきた「トラジロウが元気に盛岡市動物公園へと旅立っていきました」のニュース。

そんな…絶句した。

ツシマヤマネコを知らしめるために、そして一か所での集中的な飼育で起きる事故や災害などでのリスクを避けるために、井の頭、福岡、対馬、富山などでそれぞれ分担して飼育されていることは知っている。

それに加えて何年か前に、その輪に盛岡が加わったことも。実際に、盛岡ではどんな風にツシマヤマネコが飼われているのか、観に行ったこともある。

そして、血統の問題から、井の頭ではトラジロウだけが繁殖から外され、唯一頭公開されてきたことも。動物園に展示や啓蒙と同じくらい種の保存という役割があることも知っている。

でも、それらをすべて分かってはいても、こんな風に突然のお別れが来るなんて悲しすぎる。

井の頭に行って、弁当を広げて食べて、トラジロウに話しかけて、その動作に胸をキュンキュンさせて、トラジロウがわざとプイッとそっぽを向く姿に笑って、そんな休日だけが心の支えだった。長いこと。

トラジロウに恋をしていた。動物園のヤマネコに。好きで好きでたまらなかった。ありがとう、とか、盛岡のひとに愛されて、とか、言えないよ。だって、盛岡の人たちに嫉妬するもん。羨ましすぎるもん。

いつかまた会えるのかな。

別れも言えなかった。ありがとうもさようならも。

トラジロウに会いたい。

しばらく立ち直れそうもない。

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遠方の方でご希望の方への選択用です

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