
国境からジェリコに向かう大型バスに乗って、ジェリコでパレスチナ自治政府の「入国」管理の窓口を経て、各地に向かうセルビスに乗る。ラマッラー、ベツレヘム、ヘブロン、ジェニン、トゥバスなどへ向かう各車が待ち構えている。
外国人のワタシは、この窓口でパスポートをチラリと見せただけで「ようこそパレスチナへ!」と笑顔で迎えられただけだったので、フリーパスのような状態。乗り合いのほかの乗客を待つあいだ、慌ててシムカードとクレジットを買って、ハイサムの妻ハウラに電話をすると、「いつ到着するの。みんなお腹が減ったのにミカの到着を待ってんのよ。早く来て」と言われる。「ワラクダワーリーよ!」と。
ハウラと、この日ワタシに会うためにわざわざビリンまで駆けつけてくれたエルサレム在住の友人が、ふたりがかりで朝早くからワラクダワーリーを作って待ってくれていたとのこと。手間のかかる料理で、味付けしたコメと炒めたひき肉をブドウの葉に(ナスやズッキーニをくりぬいて詰めることもある)詰め、コトコト煮込んだ味付けごはん。
しかし、ジェリコからラマッラー、運悪く、入植者用道路の整備されたハイウェイはこの日部分的に封鎖されていたため、あまり整備されていない自治政府管理の狭い道路をクネクネと野を越え、丘を越えて進セルビス。イスラエル政府が入植者のために整備管理する道路は、道路接収のために奪った土地に、バーンとまっすぐに敷かれていることも多いため、とにかく早い、速い。しかし、自治政府整備の道路の通行では、そうもいかない。トンネルだらけの新幹線と、コストをかけないため山を出来るだけ迂回するローカル線くらいの違いのイメージか。
ともかくラマッラーに到着するころには既にヘトヘト。お土産がパンパンに入った重いスーツケースが骨身にこたえる。ラマッラーからビリン行きのセルビスに乗り換えて、ようやく何十回、ひょっとしたら何百回と通った一本道の光景に懐かしさがこみ上げる。ワクワクしてくる。
そしてついにビリンに到着。みんなが満面の笑みで出迎えてくれる。最高の笑顔のひととき。抱き合って再会を喜び、「もう待ちきれない!食べよう!」と。
「ちょっと待った!」と荷物を置くのも後回しで、急いでカメラを取り出して撮った記念すべきパレスチナの旅の最初の写真がコレ。ハイサムの母ちゃんとワラクダワーリー。
「いただきます」
