
案内が行き届かず、会場でトークショーをしている時間帯17時以降に、そうとは知らずにおいでくださった方のうち、作品をご覧になれなかった皆様、申し訳ありませんでした。
そして、中東世界をミュージシャンというお立場から、ご自身のご経験から多面的に語ってくださったKawolさん、ありがとうございました。
今日ご紹介する写真は、ラストクフィーヤと呼ばれるメイドインパレスタインのクフィーヤ(スカーフ)の工場のおじちゃんの写真です。
まず、電話番号しか知らずに出かけたものの、事前にうまくコンタクトがつかず、とりあえず行けばなんとかなるだろうと行った道中からしてエライことになってしまいました。
ラマッラーからバスに乗り、工場があるヘブロンへと向かいました。町の中心部にさしかかるころ、運転手のお兄さんが親切にも「ヘブロンのどこへ行くんだ?旧市街か?終点まで乗っていくのか?」と聞いてくれました。「ヘブロンにラストクフィーヤと呼ばれるクフィーヤを作っている工場があるはずで、その名前はヘルバウィーと言うんだけど」と答えると、バスの運転手も乗客も誰も知りませんでした。
「いいよいいよ、終点まで乗って、着いたら誰かにたずねるから」と答えると「電話番号とか知ってるのか?」と言われ、持っていた電話番号を渡すと、乗客のなかのひとりが電話をかけてくれました。すると、ヘルバウィーのオーナーが何度目かに出て、「日本人があなたの工場を訪ねたいと言っているけれど、どこで降ろしてあげればいい?」と聞いてくれました。運転手のお兄ちゃんがわざわざバスを止め、いまいる場所を電話で説明して、オーナーがバスが止まっている場所まで迎えに来てくれることになりました。
「みんな、親切にありがとう」とお礼を言ってバスを降りようとすると、運転手のお兄ちゃんが「迎えがくるまで一緒に待つからバスの中に座ってな」と言います。バスにはまだ先を急ぐ乗客のみんなでいっぱいです。「みなさんに申し訳ないから降りて待ってるよ。大丈夫だから」と言うと、バスの乗客たちも「そんなに大した時間じゃないからいいよ。一緒に待つよ」と声をあげてくれます。
しばらくして、今度はオーナーから、先ほど自分の携帯から電話をかけてくれた乗客のひとに電話がありました。「もうすぐ着くから」と。それを聞いて「本当に大丈夫だからもう行って。ここで降りて待ってるから」と言うと「じゃあ、発車するな、気を付けて」と運転手の兄ちゃん。「気を付けて」と手を振ってくれる乗客の皆さん。本当にあたたかい人たち。
去りゆくバスに力いっぱい手を振って、しばらくしてオーナーが登場。車に乗せて工場へとご案内くださる。
二重になった扉の向こうに、大きな音をガシャンガシャンたてて、織機が色とりどりのクフィーヤをそれぞれの機械で織っている。数台にひとりの職人さんが見守りながら、ときどき機械を止めて糸の調節をしたりしている。轟音のなかで黙々と働く職人さん。みれば、織機はいろいろなメーカーのものがあるが、ほとんどが古い日本製。「やはり日本の機械は丈夫でいいよ」と機械の轟音に負けないくらいの大きな声で職人さんが言う。
ワタシは、ひとが働く姿を撮るのが大好きなので、夢中になってその写真を撮る。そしてしばらくすると、おじさんのひとりが織りあがるクフィーヤを見守りながら、なぜかポーズをとってくれる。
その写真をパシャリと撮り、微笑んで「ありがとう」と言うと、微笑んでうなづいてくれたおじさん。
そして、オーナーといろいろ話して、これからハイファへ向かおうというのに、ありったけ持てるだけのクフィーヤ12枚を買って、工場をおいとましたのでした。そして、そのうちの一枚を友人で俳優のSaleh Bakriにハイファで渡したら大喜びをしてくれた話は、どこかで書いたように思います。
今度は、もっとおじさんたちの休憩時間にも付き合いながら、いろいろとお話を聞かせてもらいたいと思うのです。
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写真展「カフェ・アラビアン」あと一日を残すのみとなりました。
私は、昨年秋に撮影したパレスチナの写真を展示します。
日時:6月13日(土)~21日(日)
12時から19時
場所:ギャラリーボビン
渋谷区千駄ヶ谷4-17-2
JR千駄ヶ谷駅、メトロ副都心線北参道駅 徒歩5分
・パレスチナの女性たちが作った刺繍クラフトなどの販売
・クルド難民のおかあさんがつくったオヤのアクセサリーの販売
もあります
入場無料
詳細はコチラ
https://www.facebook.com/events/882259598514062/
会場で、3月に発売した写真集「ボクラ」も販売予定です。
「ボクラ」に収められた写真のすべてがTシャツにもトートバッグにもなります。
(サイズや値段など詳細はおたずね下さい)
この本に収められた新作写真も数点展示予定です。
http://benice.co.jp/blog/?p=2712
会場に足をお運びいただければ幸いです。



