世界の笑顔に出会いたい

写真家・高橋美香のブログ。 公園にいたノラ猫のシロと暮らす。 カメラを片手に世界を歩き、人びとの「いとなみ」を撮影。 著作に『パレスチナ・そこにある日常』『それでもパレスチナに木を植える』(未來社)『パレスチナのちいさないとなみ』(共著)『パレスチナに生きるふたり ママとマハ』(かもがわ出版) 写真集に『Bokra 明日、パレスチナで』(ビーナイス)

2015年07月

イメージ 1

日々、一枚一枚の写真について、何か書こうとそのときのことを思い出そうとしている。

この写真はメチャクチャ懐かしい思い出の光景。

ナーブルスの衣料品市場で偶然にもそこで屋台の子供服屋を出している青年ムハンマドと仲良くなった。そのムハンマドの自宅がナーブルス郊外のバラータ難民キャンプで、仕事を急遽終えて、ムハンマドがボロボロの車に乗せて「バラータを案内してやるよ」と言ってくれたのだった。

前にも書いたし、拙著「パレスチナ・そこにある日常」のなかでも書いたけれど、ムハンマドは若かりし頃武装組織の一員と誤認逮捕され、否認を続けると拷問に遭わされた。彼の首の後ろから背中にかけては大きな傷跡が残る。バラータは、武装抵抗組織の力も強く、頻繁にイスラエル軍の侵攻や「捜索」がおこなわれる。そんな「名高い」難民キャンプのひとつ。

ムハンマドは奥さんと息子さんを紹介してくれ、奥さんには「是非うちに泊まっていって」とお誘いをいただく。とてもにこやかで穏やかな三人家族。ムハンマドは「もう昔のことはいいんだ」と言う。

難民キャンプを歩き(この写真はそんななかで撮られた一枚。ムハンマドの家の近所の子たち)、キャンプの屋台で買い食いを楽しみ、ロバ好きなワタシのために農場でロバに乗り(乗馬ならぬ乗ロバ)、ムハンマドは「せっかくだからとびきりキレイなところを見せてやるよ」とオンボロ車を駆って丘をいくつも越え、鉱泉に連れて行ってくれた。

日差しが強くて、暑い一日だった。あの日のことを思い出すと、あのギラギラした日差しのことを思い出す。

*******************************************

写真展「ボクラ・明日、パレスチナで」を開催することになりました。

日時:8月1日(土)~9日(日)11時から18時(最終日は16時まで)

場所:NMCギャラリー&スタジオ
   小平市小川西町4-14-27
   西武国分寺線・拝島線 小川駅西口下車徒歩二分

入場無料

8月2日(日)14時から
松尾賢(ウード)、地主大介(ダラブッカ)両氏による投げ銭アラブ音楽ライブ

会場では、日本で暮らすクルド難民のおかあさんがつくったオヤのネックレス、スカーフ、ピアス、ブレスレット、ストラップも販売予定です

会場で、3月に発売した写真集「ボクラ」も販売予定です。
http://benice.co.jp/blog/?p=2712

「ボクラ」のプロデューサー石塚さんのお店ビタミンTeeにより、「ボクラ」に収められた写真のすべてがTシャツにもトートバッグにもなります。
(サイズや値段など詳細はおたずね下さい)
http://www.vitamin-tee.jp/

そして本日、ビタミンTeeより「ボクラ」の図柄の新商品、グリーティングカード登場!
http://www.vitamin-tee.com/boyaki/2015/07/29/81.html

イメージ 1

写真展までもうあと三日をきった。あまりにやるべきことが山積みで、気になって気になって眠れなくなる。

今日ご紹介する写真は、ヘブロンの旧市街からイブラヒムモスク(ユダヤ側のマクペラの洞窟)にいたる道の検問所。このイブラヒムモスクとマクペラの洞窟というイスラム教とユダヤ教の聖地が同じ場所にあるため、イスラム教徒側というかパレスチナ人側には厳重な検問が敷かれている。

「この聖地を一ミリたりともアラブ人に譲り渡してはならない」と主張する右派の入植者が旧市街シュハダー通りや周辺のキリヤトアルバ入植地に暮らすため、数百人の入植者を護るため数千人のイスラエル軍兵士やボーダーポリスが常駐する。必然的に、パレスチナ人はあちこちで検問に遭い、通行を邪魔され、暴力にさらされ、幼い子どもたちが検問所を通って学校に行くという場面ですらも毎日毎日ランドセルを開けられ検問に遭う。

一方の入植者たちは、携帯を許された小銃などで武装し、ライフルを肩から下げて歩いている人もいる。旧市街の学校も幼稚園もクリニックも商店も住宅も、頻繁に入植者の暴力にさらされている。

本当にヒリヒリした町。とくにイブラヒムモスクやシュハダー通りや入植地に近ければ近いほど、そのヒリヒリ感は増す。そういう場所で子どもたちの笑顔や、サンドウィッチを売るおじさんの淡々と仕事をこなす姿や、「お茶を飲んでいきなよ」と付近からかけられる声を聞くと張りつめた心がふと緩む。

ヘブロンはそんな町。

*******************************************

写真展「ボクラ・明日、パレスチナで」を開催することになりました。

日時:8月1日(土)~9日(日)11時から18時(最終日は16時まで)

場所:NMCギャラリー&スタジオ
   小平市小川西町4-14-27
   西武国分寺線・拝島線 小川駅西口下車徒歩二分

入場無料

8月2日(日)14時から
松尾賢(ウード)、地主大介(ダラブッカ)両氏による投げ銭アラブ音楽ライブ

会場では、日本で暮らすクルド難民のおかあさんがつくったオヤのネックレス、スカーフ、ピアス、ブレスレット、ストラップも販売予定です

会場で、3月に発売した写真集「ボクラ」も販売予定です。
http://benice.co.jp/blog/?p=2712

「ボクラ」のプロデューサー石塚さんのお店ビタミンTeeにより、「ボクラ」に収められた写真のすべてがTシャツにもトートバッグにもなります。
(サイズや値段など詳細はおたずね下さい)
http://www.vitamin-tee.jp/

そして本日、ビタミンTeeより「ボクラ」の図柄の新商品、グリーティングカード登場!
http://www.vitamin-tee.com/boyaki/2015/07/29/81.html

イメージ 1

イメージ 2

カメの歩みのような展示写真紹介。もう今週末のスタートなのに、ようやく二枚目の紹介。

夏風邪をひいてしまい、絶不調。咳のし過ぎでもう背筋と胸筋が痛い。楽しみにしていたクルドの友人宅の訪問もキャンセル。みんなにうつしてしまっては申し訳ない。

暑い家でグッタリと寝込んでいたら、北海道の某大学のM先生から連絡が入る。ワタシを大間の「あさこハウス」や祝島へ連れて行ってくださった方。M先生とめぐる各地のスタディツアー?は学ぶこといっぱいで、なおかつ先生や先生の「愉快な仲間たち」との時間がとても楽しくて「是非ともまた誘ってください」とお伝えしてあったものの、ここ数年はなぜかいつもパレスチナ行きのタイミングと重なり、断念。今年こそは!!!と万難を排し?ご連絡を待ちわびていたところ「ミカちゃん、行こう!」とのお誘い。なんと3年ぶりの、夢にまでみた祝島再訪。寝込んでいる場合じゃない。

そして、金城実さんからも電話がある。実さんは、かつて「いろいろ大変な目に遭った」うちのパートナーのことをとても気にかけてくださっていて、ワタシが読谷のアトリエにひとりでお邪魔するたびに「次はダンナさんと一緒に来なさい」とおっしゃる。今日も「ダンナさんは夏休みは取れるのかな?もし夏休みが取れるなら、一緒に沖縄に来なさい。9月でも泳げるしな、うちの母ちゃんとみんなでビーチパーリーやりましょうな」と。

ワタシは、彫刻家としての金城実も、「活動家」としての金城実も尊敬し敬愛しているが、なによりも好きなのは、実さんのこういう思いやりと優しさだと痛感する。「社会」から「零れ落ちそう」な人間への深い慈しみと愛情。これこそが、金城実の核となっていると感じる。

さて、すっかり話が脇道?へ。

今日の写真は、カルキリヤの高さ8メートルの分離壁の写真。

ベルリンの壁の高さが4.5メートル。

身長180僂らいの男性に壁の前に立ってもらったが、この高さだった。

この町は、ほぼ四方をこの壁に囲まれていて、隣の町や村に行くことすら簡単ではない。壁によってコミュニティが分断されてしまった話など、あちこちにある。カルキリヤの町はイスラエルとの「国境」線グリーンラインにほど近いため、この町の周辺に入植地が建ち並び、グリーンラインよりもパレスチナ側にこの壁が建てられたことから、このように四方を壁で囲まれた町となってしまった。

広い農場を経営する、いわゆる「ボンボン育ち」の青年がこの町を案内してくれたが、彼は「文字通り監獄のなかにいるような生活だよ。この町の閉塞感は半端じゃない」と語った。

********************************************

写真展「ボクラ・明日、パレスチナで」

日時:8月1日(土)~9日(日)11時から18時(最終日は16時まで)

場所:NMCギャラリー&スタジオ
   小平市小川西町4-14-27
   西武国分寺線・拝島線 小川駅西口下車徒歩二分

入場無料

8月2日(日)14時から
松尾賢(ウード)、地主大介(ダラブッカ)両氏による投げ銭アラブ音楽ライブ

会場では、日本で暮らすクルド難民のおかあさんがつくったオヤのネックレス、スカーフ、ピアス、ブレスレット、ストラップも販売予定です

会場で、3月に発売した写真集「ボクラ」も販売予定です。
http://benice.co.jp/blog/?p=2712

イメージ 1

いよいよ写真展「ボクラ 明日、パレスチナで」まで一週間となった。やらばければならないことが山積みなのに夏風邪をひくという。。。こんなときに、いろいろと重なると、もうすべてを投げ出して山奥にでもこもりたくなる。

とはいえ、日々は容赦なく過ぎゆき、そんなことも言っていられないので、気を取り直して写真展の準備。最近は、昨年のガザ攻撃から一年がたったということで、各地でガザに関連するイベントも増え、実際には足を運べなかったもののワタシも参加したかったものも多いが、そのさなかにも「注目もされない」西岸地区のスシヤでは遊牧民たちの住居が破壊され追い出されていて、入植地建設に反対するベイトウンマールでは撃たれて怪我を負った息子を助けようとしたお父さんが自宅で撃ち殺され、その直前にはジェニン近郊のブルキンで21歳の青年が射殺されている。

大規模な空爆、攻撃のときだけ注目し、声を上げるのでは、何も変わらない。封鎖や占領こそが根本的な問題だ。それに反対の声を上げない限り、パレスチナはこのままだ。

さてさて本題。今日ご紹介する写真は、写真集の一ページ目、「ほほえむアムル」の写真。この写真を撮ったのは彼がまだ2歳だったころ。いまでは5歳になり、すっかり顔つきもお兄ちゃんになった。

ただ、アムルの母親は夫からDVを受けており、そのストレスがアムルへと向かうという悲しすぎる現実がある。アムルは成長するにつれ、ネグレクト気味の母親に自分の存在をアピールするためなのか、ありとあらゆるシャレにならない悪戯を繰り返し、金切り声をあげて騒ぎ、ひきつったように笑う子になってしまった。周りの大人たちも、油断も隙もないアムルの行動に戦々恐々としているときがある。そして、余計に厳しく叱られ、また悪戯を繰り返す。

一番の問題は、「すべてはこの結婚が間違っていた」と公言するアムルの母親と彼女に手をあげる夫。女性たちに話を聞くと、外では物分かりの良い温厚そうな顔をしている男性も、家で妻や子どもたちに手をあげるということが少なくないそうだ。そんな話を聞くたびに暗澹たる気持ちになる。

ある女性は、そのことを「男たちもまた占領によるストレスを受けてそうしている面がある」と言った。たとえそうであっても、身近なひとに手をあげることが許されるものではない。占領の影響の根深さをしみじみと感じる。

一見、明るい写真なのに、暗い話になっちゃった。。。

*******************************************

写真展「ボクラ・明日、パレスチナで」を開催することになりました。

日時:8月1日(土)~9日(日)11時から18時(最終日は16時まで)

場所:NMCギャラリー&スタジオ
   小平市小川西町4-14-27
   西武国分寺線・拝島線 小川駅西口下車徒歩二分

入場無料

8月2日(日)14時から
松尾賢(ウード)、地主大介(ダラブッカ)両氏による投げ銭アラブ音楽ライブ

会場では、日本で暮らすクルド難民のおかあさんがつくったオヤのネックレス、スカーフ、ピアス、ブレスレット、ストラップも販売予定です

会場で、3月に発売した写真集「ボクラ」も販売予定です。
http://benice.co.jp/blog/?p=2712

「ボクラ」のプロデューサー石塚さんのお店ビタミンTeeにより、「ボクラ」に収められた写真のすべてがTシャツにもトートバッグにもなります。
(サイズや値段など詳細はおたずね下さい)
http://www.vitamin-tee.jp/

イメージ 1

家を掃除していて、たまらなく懐かしい写真をみつけた。エジプト留学当時の写真。しかも、その当時必死で追いかけまくって撮影を続けていたスーフィダンスの写真ファイル。

ところで、今度の写真展「ボクラ・明日、パレスチナで」期間中の8月2日(日)14時からは、松尾賢(ウード)、地主大介(ダラブッカ)両氏による投げ銭アラブ音楽ライブ開催が決定。

そもそも、どうしてこんな面白い企画が実現することになったのかというと、アラブの太鼓、タブラ(ダラブッカ)奏者の大介は、ワタシのエジプト留学時代の留学生仲間。ワタシの青春時代のすべてがつまったカイロでの日々を、一緒に過ごしたヤツ。

大介はアラビア語を学ぶかたわら、スーフィダンスの演奏家の一員ハサン・ユーセフ氏からタブラを習っていました。ワタシは、それを同じアパートで眺めながら、一緒にスーフィダンス観覧に通いながら、写真を撮り続けていた。

それだけでなく、スーフィダンサーのみんなには、本当に公私ともどもたくさんかわいがってもらった。エジプトの庶民の生きざまを教えられたのは、ほとんど彼らと過ごした日々のなかでのこと。永遠にこの日々が続けばいいと思った。

その後、パパハサンはエジプトを離れることになった。ワタシたち留学生仲間も、帰国後みんなそれぞれの道があり、離れ離れになった。

それでも、いまもつながっている。同じく留学生仲間の早川拓司(画家)には、拙著「パレスチナ・そこにある日常」の絵地図を描いてもらった。嶺崎寛子(研究者、愛知教育大学准教授)とは、彼女の著書「イスラーム復興とジェンダー」にワタシのエジプトの写真を提供した。

帰国後、みーんなそれぞれの道を歩むなかで、こうやって、またあのころのように一緒に何かを出来るということに、深く感謝しています。この写真展とライブのコラボを、一番観てもらいたいのはパパハサン(とワタシは呼んでいた。大介の太鼓の師匠のハサン・ユーセフ氏のこと)かもしれないな。

いつか、みんなでパパハサンをオーストラリアに訪ねるのがワタシの夢。みんな年とってクシャクシャになってからでもいいから、いつかみんなでまた集いたい。

写真は、プリントをスマホで撮ったものなので質悪いけどお許しを。。。

*************************************

三月に写真集「ボクラ・明日、パレスチナで」(ビーナイス)を刊行以来、はじめて同名の写真展、同名の写真集に収められた写真の展示を開催することになりました。

日時:8月1日(土)~9日(日)11時から18時(最終日は16時まで)

場所:NMCギャラリー&スタジオ
   小平市小川西町4-14-27
   西武国分寺線・拝島線 小川駅西口下車徒歩二分

入場無料

8月2日(日)14時から
松尾賢(ウード)、地主大介(ダラブッカ)両氏による投げ銭アラブ音楽ライブ

↑このページのトップヘ