世界の笑顔に出会いたい

写真家・高橋美香のブログ。 公園にいたノラ猫のシロと暮らす。 カメラを片手に世界を歩き、人びとの「いとなみ」を撮影。 著作に『パレスチナ・そこにある日常』『それでもパレスチナに木を植える』(未來社)『パレスチナのちいさないとなみ』(共著)『パレスチナに生きるふたり ママとマハ』(かもがわ出版) 写真集に『Bokra 明日、パレスチナで』(ビーナイス)

2015年12月

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今年最後のご紹介。日本で暮らすクルド難民のおかあさんが生活費の足しにと懸命につくっていらっしゃるオヤのスカーフ、ネックレス、ブレスレット、ストラップ、ピアスの新作のご紹介します。

これらは、1月16日(土)国立のシェアハウス、なないろハウスでのパレスチナをテーマにしたスライドトーク会場で実物をご覧になれますが、遠方の方のために、これらの作品を送料実費で発送も承ります。

ただし、前回より、送料のほかに一件につき発送手数料300円を申し受けておりますことをご了承ください。
いままで完全無償ボランティアでおこなっておりましたが、お問い合わせ、ご注文対応、お振込確認、発送作業にかかる手間を鑑みて、恐縮ですが、申し受けることにしました。お許しください。

値段、振込先等の詳細につきましては、恐れ入りますが、mikairv@gmail.comまでご連絡ください。

国立のイベント詳細→https://www.facebook.com/events/1669525289984844/

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現在開催中の江東区文化センターでの写真展「パレスチナに生きる人々」をご覧になった方から「パレスチナにも普通の日常があるということに気付いていなかった」と感想をお寄せいただいた。

ワタシも昔はそうだったと思う。テレビから流れてくるのは戦車の侵攻、ミサイル攻撃、逃げ惑う人々…という姿ばかりだった。パレスチナに行ってみたいと思ったのは、きっとそこが「戦場」だと思っていたからなんだと思う。「戦場」を撮りたかったからなのだろうと。

しかし、実際に足を運んでみると、「紛争地」と呼ばれる場所にも、当たり前の日常が存在することを知った。本来「赤の他人」でしかないワタシを、実の娘のようにかわいがってくれる、実の「兄弟姉妹」のように大切にし、ときには壮絶なケンカもし、それでも抱きしめてくれる人々がいることを知った。かけがえのない友もたくさん得た。

「戦争」でひとの命が奪われることは本当に辛いこと。ただ、目に見えやすい空爆や軍事侵攻だけが悲惨なのではなく、「当たり前の日常」を繰り返し、じわじわと奪われることも、同様に悲惨なことなのだとワタシはパレスチナで実感する。目に見えにくいからこそ余計に、その日常をじわじわと奪われる絶望感は強く、しかし遠い海のこちら側には伝わりにくい。

ワタシにできることは、小さなことでしかない。一見すると「穏やかな日常のなかで笑顔を浮かべる人々」にしか見えないかもしれない展示写真の隅っこや裏側に、彼らが抱える苦難を伝えること。しかし、苦難だけではなく、彼らが夢や希望も持つ人々だという当たり前のことを伝えること。

今日の写真のアブーアラアのエピソードは、いままでも繰り返しこの場で書いてきた。拙著「パレスチナ・そこにある日常」には出会いのときのことを書いている。
こちらは2013年の再会の時のこと
http://blogs.yahoo.co.jp/mikairvmest/39619223.html

たった一坪ほどの小さな小さなコーヒー屋台で、一杯30円のコーヒーを早朝から夜まで売り続けるアブーアラア。2009年に出会ってから、この町を通りがかるたびにコーヒーをご馳走し、一度もお金を受け取ろうとしてくれないアブーアラア。もの静かで、勤勉で、実直で、優しくて、パレスチナの良心を体現しているようなひと。

ワタシの願いは、ずっと誰にも邪魔されることなく、彼があの小さなコーヒー屋台を守り、そこに集う人々のささやかな憩いの場が、この先もずっと守られること。アブーアラアの屋台に何年も通うようになって、そのたびに再会する常連客と、今度もまた他愛のない会話を続けられること。

言葉が過ぎるかもしれないが、ワタシにとって、「中東和平」とか「平和」とかよりも、出会ったみんなの日常が守られることの方が大切なことだと感じる。それなくして「和平」なんてあり得ないと。

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下記の通り、写真展「パレスチナに生きる人々」江東区東陽の江東文化センターにて開催中

≪写真展≫
日時:12月20日(日)~25日(金)10時~20時
   初日は10時半会場、最終日は16時終了
場所:江東文化センター2階ロビー
   江東区東陽4-11-3 東陽町駅から徒歩3分 3644-8111
※無料

≪ギャラリートーク≫
日時:12月23日(水・祭日)11時~12時と15時~16時
場所:文化センターロビー隣の談話ホール
パソコンの画面を見ながら高橋さんのトーク
※無料

≪終了後高橋さんを囲んで懇親会≫
日時:12月25日(金)6時(4時に展示あとかたずけ)
場所:香港苑(東陽4-6-20 03-5635-1088)
※参加費アリ

主催:江東9条の会・希望のまち東京in東部

みなさまのお越しをお待ちしております

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2014年、パレスチナで真っ先に向かったのはジェニン難民キャンプの「家族」のもとだった。

そうそう、2009年の夏、この通りで、この写真と同じ場所で、歯の抜けた屈託ない笑顔の少年に出会ったのだった。彼に出会わなかったら、ジェニン難民キャンプには二度と足を運ぶことができなかったかもしれない。あの日のワタシは、それほどまでに大きなトラウマをこの難民キャンプで背負っていた。難民キャンプの人々のせいではもちろんない。ワタシ自身の覚悟や性質や何もかもが「足りなかった」だけのことだ。

2002年にこのキャンプは軍事侵攻を受けて、多くの方々が無差別に殺された。7年後のこの夏、その虐殺が起きたハワーシーン地区へと赴いた。「当時の話を聞かせてはもらえないか?」と。

「おまえなんかに話して何になる」「いまさらなにを」「あのときは世界中が俺たちを見捨てたくせに」「とっとと帰れ」「話してほしいなら金をよこせ」と厳しい言葉を浴びた。パレスチナでは、初めてのことだった。いまなら分かる。その言葉の厳しさは、それだけこのキャンプの人々が味わった苦難(なんて言葉では表しきれないが)の厳しさ。そして、ひとたびこの試練を乗り越えて、受け入れてもらえたなら、その厳しい言葉のあとには、たくさんの気遣い、優しさがみせられたであろうことも。

しかし、この日、ワタシはなすすべもなく帰り道を急いだ。まるで逃げるように。

バス停へと向かっていたところ、歯の抜けた少年に「人形劇のチケットをあげるから一緒に観に行こう」とこの通り、この場所で誘われたのだった。そして引っ張られるように上演場所のフリーダムシアターへと向かった。

それから何年もたって、やっとの思いでジェニンに足を運ぶことができた。ワタシがいつも拠点にしているエルサレムやビリンから距離的に「遠い」ということもあったが、それだけではなかった。足を向ける勇気が湧かなかった。

そして2011年にフリーダムシアターを訪ねて、俳優のカマールと出会って、一家に迎え入れられて、アワード家の「一員」のように居候として過ごしてきた年月は、あちこちで繰り返しているので今日は割愛。でも、家族の苦難の日々、喜びの日々を一緒に過ごしてきて、初めて、あの日、厳しい言葉を浴びせられたことの意味が少しずつ分かるようになった。

去年、一家の母ちゃんマハと一緒にハワーシーン地区を歩いた。アワード家から10分もかからない場所だった。マハに話しかけてくる人々は外国人が一緒にいることを珍しがり、笑顔でいろいろと話しかけて来てくれた。「お茶をどうぞ」「今度ご飯を一緒に」と。ようやく、一歩だけ踏み出せたと思った。

いま、ジェニン難民キャンプはワタシにとって特別な場所である。マハやカマールといった大切な「家族」が暮らす場所。ワタシの「帰る」べき場所。ときどき、一家のことが、どうにもたまらなく恋しくて、やりきれなくなる。

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下記の通り、写真展「パレスチナに生きる人々」を江東区東陽の江東文化センターにて開催いたします


タイトル:パレスチナに生きる人々

≪写真展≫
日時:12月20日(日)~25日(金)10時~20時
   初日は10時半会場、最終日は16時終了
場所:江東文化センター2階ロビー
   江東区東陽4-11-3 東陽町駅から徒歩3分 3644-8111
※無料

≪高橋美香トーク≫
日時:12月20日(日)18時30分~20時30分
場所:文化センター3階第3研修室
参加費:500円
★ダニエル・ガル監督「ナイントゥファイブ」上映(2009年・17分)
(分離壁をよじ登って越え、不法労働者としてイスラエル領内に働きに行く
パレスチナ人労働者の姿を追ったドキュメンタリー)

≪ギャラリートーク≫
日時:12月23日(水・祭日)11時~12時と15時~16時
場所:文化センターロビー隣の談話ホール
パソコンの画面を見ながら高橋さんのトーク
※無料

≪終了後高橋さんを囲んで懇親会≫
日時:12月25日(金)6時(4時に展示あとかたずけ)
場所:香港苑(東陽4-6-20 03-5635-1088)
※参加費アリ

主催:江東9条の会・希望のまち東京in東部

みなさまのお越しをお待ちしております

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旅に出ると、洗濯物のことばかり気にしている。荷物を軽くするために旅に持っていく衣類は出来るだけ少なくしようと試みた結果、そのホテルでの滞在日数を考えながら洗ったり、干したり、乾きやすい場所を考えて移動させたり、風に当てたり。ランドリーサービスを利用できるようなリッチな旅は縁遠い。自分で洗って、部屋のなかに干して、移動させて…一日に何回も洗濯物を動かす。マラケシュで滞在したホテルは、部屋の日当たりも、風の通りもよくて、洗濯物が乾きやすかった。そんなどうでもいいことが、旅の印象のひとつ。

マラケシュのジャマエルフナ広場は、ずっと昔から「一度は訪ねてみたい場所」だった。映像や文章を通して知るその広場は、憧れの地だった。大道芸人が集まり、屋台の料理屋が集まり、1年365日がお祭りのような広場。

待ち時間を含めると20時間にも及ぶフライトを経て、カサブランカからそのままマラケシュ行きの鉄道に乗り、その日の夜にようやくマラケシュに到着した。ヘトヘトで何もする気力がない…とは思いながらも、ジャマエルフナ広場へ吸い寄せられるように向かった。とにかく、広場の雰囲気だけでも味わいに行こうと思った。

広場に近づくと、楽器の音、人々の声、発電機のモーター音、いろいろな音が聞こえてきた。広場はオレンジの灯りが印象に残る。その色は、カイロやハバナの夜の町の色と同じだった。

何もかもが調和のないバラバラな光景のようで、何もかも調和がとれているような、そんな場所だった。人々は自分が気になる楽団や大道芸人や占い師の前で立ち止まり、椅子に座り、その世界に身を任せる。空間的には他の音が遮断されているわけでもないのに、目の前の楽師が奏でる音に夢中になって、他の音が耳に入らなくなるから不思議だ。

どうしてこの楽団が気に入ったのかと聞かれれば、フィーリングとしか答えようがない。しばらく離れて座っていたところ、この楽団の音が耳に飛び込んできたのだが、魔力のように、吸い寄せられた。近づくと、楽団のタッバール(太鼓叩き)のお兄さんが、自分の隣に椅子を用意してくれ、そこに座るように促された。楽団の紅一点シャキーラと名乗るダンサーのおばちゃんに10ディルハムを渡し、演奏家の横に座り、演奏を楽しむ。

エジプトの旧市街、フセインモスク裏ののカフェで演奏するアーティストや常連のお客さんたちと過ごした濃厚な時間を思い出す。楽団のファンである常連さんが夜な夜な集い、「おひねり」を奮発し、アーティストを育てていく。演奏家と常連さんのあいだにある信頼感と愛情が、あたたかい演奏の場を生み出す。ワタシは、カイロのあのカフェで過ごす夜が大好きだった。そのときと同じような気持ちを、ジャマエルフナ広場で味わった。

今日も明日も、10年後も100年後も、きっと同じような光景が繰り広げられるのだろう。たまらなく懐かしいカイロの夜とマラケシュの夜。

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下記の通り、写真展「パレスチナに生きる人々」を江東区東陽の江東文化センターにて開催いたします


タイトル:パレスチナに生きる人々

≪写真展≫
日時:12月20日(日)~25日(金)10時~20時
   初日は10時半会場、最終日は16時終了
場所:江東文化センター2階ロビー
   江東区東陽4-11-3 東陽町駅から徒歩3分 3644-8111
※無料

≪高橋美香トーク≫
日時:12月20日(日)18時30分~20時30分
場所:文化センター3階第3研修室
参加費:500円
★ダニエル・ガル監督「ナイントゥファイブ」上映(2009年・17分)
(分離壁をよじ登って越え、不法労働者としてイスラエル領内に働きに行く
パレスチナ人労働者の姿を追ったドキュメンタリー)

≪ギャラリートーク≫
日時:12月23日(水・祭日)11時~12時と15時~16時
場所:文化センターロビー隣の談話ホール
パソコンの画面を見ながら高橋さんのトーク
※無料

≪終了後高橋さんを囲んで懇親会≫
日時:12月25日(金)6時(4時に展示あとかたずけ)
場所:香港苑(東陽4-6-20 03-5635-1088)
※参加費アリ

主催:江東9条の会・希望のまち東京in東部

みなさまのお越しをお待ちしております

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