世界の笑顔に出会いたい

写真家・高橋美香のブログ。 公園にいたノラ猫のシロと暮らす。 カメラを片手に世界を歩き、人びとの「いとなみ」を撮影。 著作に『パレスチナ・そこにある日常』『それでもパレスチナに木を植える』(未來社)『パレスチナのちいさないとなみ』(共著)『パレスチナに生きるふたり ママとマハ』(かもがわ出版) 写真集に『Bokra 明日、パレスチナで』(ビーナイス)

2016年01月

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年に何度か、たまらなくパレスチナが恋しく、むこうに帰りたくなるときがある。それはもう、痛烈なほどに。今日も2014年分の原稿を書くために、毎日のことを振り返るために日記やメモと撮った写真を突き合わせていたときに、その思いが強烈にワタシを襲い始めた。

この日、ワタシたちはオリーブ摘みをしていた。前年も全く同じ場所で、ハムディとふたり、ときにはアシュラフが手伝いに来てくれたり、イギリス人の活動家たちが一日ボランティアに来てくれたりもしたが、基本的にはワタシたち「姉弟」ふたりでこの木々の収穫を終えた。

この場所は、永年、パパが元気だったころ、その手入れをして木々や土地の管理をしてきたが、土地の所有権は村のモスクにあり、寄進地というか共有地というか、ともかくそれを永年パパが手入れしてきた。

パパは糖尿病で視力をほとんど失いかけており、他の兄弟は忙しく、結局前年もこの年も、主にまたハムディとワタシがこの木の実を収穫することになった。

さんさんと太陽に照り付けられるなかでの収穫は重労働だが、ランチやお茶の時間や、そういう時間はより一層かけがえのない楽しい時間となる。

この日も、連日仕事で忙しく、朝は起きられなかった弟のムハンマドが、午後もとっくに過ぎてから、ワタシたちにかまどで焼いたホブズ(パン)、キュウリ、トマト、オリーブオイル、ザータル、オリーブの塩漬けなどを届けてくれた。

砂埃だらけの手で、それらをつかんで食べ、口のなかはジャリジャリ。それでも、野原で食べるご飯は格別の味。

そしてカフェイン中毒のワタシたちは、そのへんの木切れを集め、たき火をおこし、そこにジャズベ(コーヒーを淹れるための柄杓のような小なべ)を載せて、コーヒーの粉をお湯に入れ、それを沸騰させては火から離し、を数回繰り返して、そのコーヒーを飲む。至福のときだ。

こんな、特別なことなんてなにもない、なんでもない、「当たり前」のパレスチナの一日が大好きだ。なにかあれば簡単に失われてしまう、このかけがえのない「日常」が大好きだ。そんなことを思い出し、考えていると、たまらなくパレスチナに帰りたくなる。

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2月11日(木・祝)、横浜YMCA会員大会において朝10時20分より基調講演「パレスチナに生きる人々」スライドトークをおこないます。

場所は、湘南とつかYMCA(JR戸塚駅) 当日は同名の写真展も開催しています。

入場無料、予約不要、出入り自由

詳細につきましては、横浜YMCAのホームページをご覧ください。

http://www.yokohamaymca.org/program/20160211zz.html


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また、2月27日(土)16時から18時には、西武新宿線新井薬師前にてスライドトークをおこないます。

~まちかどカフェ~
高橋美香トーク「パレスチナ 戦場だけではない そこにある日常を伝えたい」

場所:Cafe Rappa(肉、魚、乳製品などを使わないヴィーガンフードの料理店)
中野区上高田3-16-9伊東ビル1階
新井薬師前駅南口から斜めの道を五中つつじ通りへ新宿方面に進むと交差点の角にあります

参加費:500円+飲食オーダー

お席に限りがあり、定員制です。
必ず下記主催者のミズコシ様にご予約下さい。
mimi-yoshiko★i.softbank.jp (★を@に変えて)

この会場では、少人数制ということを活かして、ご参加の皆様とのトーク後の質疑応答や歓談に出来る限り時間を割きたいと考えております。ゆっくりご飯をいただきながら、お茶を飲みながら、皆様と語り合えることを楽しみにしております。

みなさまのお越しをお待ちしております。

2月27日(土)16時から18時には、西武新宿線新井薬師前にてスライドトークをおこないます。

~まちかどカフェ~
高橋美香トーク「パレスチナ 戦場だけではない そこにある日常を伝えたい」

場所:Cafe Rappa(肉、魚、乳製品などを使わないヴィーガンフードの料理店)
中野区上高田3-16-9伊東ビル1階
新井薬師前駅南口から斜めの道を五中つつじ通りへ新宿方面に進むと交差点の角にあります

参加費:500円+飲食オーダー

お席に限りがあり、定員制です。
必ず下記主催者のミズコシ様にご予約下さい。
mimi-yoshiko★i.softbank.jp (★を@に変えて)

この会場では、少人数制ということを活かして、ご参加の皆様とのトーク後の質疑応答や歓談に出来る限り時間を割きたいと考えております。ゆっくりご飯をいただきながら、お茶を飲みながら、皆様と語り合えることを楽しみにしております。

みなさまのお越しをお待ちしております。

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ジェニン難民キャンプの居候先のアワード家。

ある日、末っ子で小学生のエリヤが学校から出された宿題を前に考え込んでいた。

「自分の一家のルーツを祖父母などから聞いてそれを書き綴るのが宿題」とエリヤが言う。

難民キャンプの学校に通う子どもたちは、みんなが難民だ。

それぞれが、いまのイスラエル領のどこかに家族の「故郷」を持っている。

エリヤの父イマードは、この前年46歳の若さで亡くなっていた。

2002年に拷問されて崩した体調の悪化が晩年の彼を苦しめた。

エリヤが物心ついたとき、もう父親はほとんどしゃべれなくなっていた。

難民となって曾祖父に手を引かれて逃げたであろう祖父も、とうの昔に他界していた。

亡くなったエリヤの父イマード自身も、「故郷」のことは知らなかった。

生まれたときから亡くなるまでジェニン難民キャンプが彼の暮らした場所だった。

もちろん亡きイマードは、一度も「故郷」をみることなく他界した。

エリヤは「私はゼライーン出身の難民」とだけ紙に書いた。

それ以上のことは、ゼライーンがハイファ郊外の小さな村だったこと。オリーブやオレンジやレモンの木もたくさん村にはあったことなど断片的なことしか、母親にも兄たちにも答えられなかった。

「これを拾ったひとは、私のような子どもがパレスチナに暮らしていることを知ってください」とその紙の裏側に書いた。

翌日、学校で、みんなでそれぞれが書いた紙を付けた風船を飛ばすという。

「アナミンゼライーン(私はゼライーン出身)」

そう書いた紙を掲げたエリヤは、一家の壁に飾られた亡き祖父と父の肖像写真の前に立った。

少し誇らしげな笑みを浮かべて。

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2月11日(木・祝)、横浜YMCA会員大会において朝10時20分より基調講演「パレスチナに生きる人々」スライドトークをおこないます。

場所は、湘南とつかYMCA(JR戸塚駅) 当日は同名の写真展も開催しています。

入場無料、予約不要、出入り自由

詳細につきましては、横浜YMCAのホームページをご覧ください。

http://www.yokohamaymca.org/program/20160211zz.html


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また、2月27日(土)16時から18時には、西武新宿線新井薬師前にてスライドトークをおこないます。

~まちかどカフェ~
高橋美香トーク「パレスチナ 戦場だけではない そこにある日常を伝えたい」

場所:Cafe Rappa(肉、魚、乳製品などを使わないヴィーガンフードの料理店)
中野区上高田3-16-9伊東ビル1階
新井薬師前駅南口から斜めの道を五中つつじ通りへ新宿方面に進むと交差点の角にあります

参加費:500円+飲食オーダー

お席に限りがあり、定員制です。
必ず下記主催者のミズコシ様にご予約下さい。
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この会場では、少人数制ということを活かして、ご参加の皆様とのトーク後の質疑応答や歓談に出来る限り時間を割きたいと考えております。ゆっくりご飯をいただきながら、お茶を飲みながら、皆様と語り合えることを楽しみにしております。

みなさまのお越しをお待ちしております。

2月11日(木・祝)、横浜YMCA会員大会において、
朝10時20分より基調講演「パレスチナに生きる人々」
スライドトークをおこないます。

場所は、湘南とつかYMCA(JR戸塚駅) 
当日は同名の写真展も開催しています。

入場無料、予約不要、出入り自由

詳細につきましては、横浜YMCAのホームページを
ご覧ください。

みなさまのお越しをお待ちしております。

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ナーブルスでかつて出会ったセルビス運転手のコワモテ親父たちに久しぶりに再会した。以前のことは、何度かこのブログでもい書いてきた。(下記のトラックバック先などをご参照ください)

偶然にも出会い、仲良くなって、アブーハディードにはご飯までご馳走になり、その後何度かここを通ることがあっても、なかなか彼らと再会できないでいた。彼らも仕事で町と町の往復が続く。早々タイミングよくここにいるわけでもない。

そのうち、アブーハディード以外のひとのことをすっかり忘れてしまっていた。町の方からこのモジャンマア(ターミナル)に着くと、彼らトルカレム行きの運転手たちのたまり場を通るより前にラマッラー行きのセルビスの乗り場があるので、なかなか会うこともなかった。このとき、ここトルカレム行きのセルビス乗り場の前をたまたま通りがかって、「おい、久しぶりだなあ。俺のこと覚えているか?前におまえにアブーハディード達と一緒に写真を撮ってもらったことがあるんだよ」と、胸にしまったカード入れからワタシが撮ったそのときの写真を撮りだした。色褪せてボロボロになっていたが、それは紛れもなくワタシが撮り、届けた写真だった。

「いやあ、懐かしい。覚えているよ。大事にしてくれてたんだね、ありがとう」と言葉を返し、ようやくそのひとのことも思い出した。この写真のひとたちも、みんなそれぞれ元気で頑張っているそうだった。

「じゃあ、他の仲間たちとも撮ってくれよ」と頼まれたので、撮ったのがこの一枚。みんな、それぞれどんな人生を歩んできた人たちなのだろう。

どれほど多くのひとたちと、こうやって写真の撮影を通じて仲良くなり、言葉を交わすようになったのだろうと、しみじみと思った。出会ってすぐに家にお邪魔するほどうちとける人もいれば、ずっと長いあいだ、挨拶を交わすだけだったのに、ふとしたきっかけでもっと深い交流が始まることもある。

今日も元気で、無事故で走っていてね。いつか、それぞれの人生の話を聞かせてもらいたい。

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【いよいよ明日】
1月16日(土)午後、国立のシェアハウス、なないろハウスでのパレスチナをテーマにしたスライドトークをおこないます。

国立のイベント詳細→https://www.facebook.com/events/1669525289984844/

お気軽にご参加ください。

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