
この日、ワタシたちはオリーブ摘みをしていた。前年も全く同じ場所で、ハムディとふたり、ときにはアシュラフが手伝いに来てくれたり、イギリス人の活動家たちが一日ボランティアに来てくれたりもしたが、基本的にはワタシたち「姉弟」ふたりでこの木々の収穫を終えた。
この場所は、永年、パパが元気だったころ、その手入れをして木々や土地の管理をしてきたが、土地の所有権は村のモスクにあり、寄進地というか共有地というか、ともかくそれを永年パパが手入れしてきた。
パパは糖尿病で視力をほとんど失いかけており、他の兄弟は忙しく、結局前年もこの年も、主にまたハムディとワタシがこの木の実を収穫することになった。
さんさんと太陽に照り付けられるなかでの収穫は重労働だが、ランチやお茶の時間や、そういう時間はより一層かけがえのない楽しい時間となる。
この日も、連日仕事で忙しく、朝は起きられなかった弟のムハンマドが、午後もとっくに過ぎてから、ワタシたちにかまどで焼いたホブズ(パン)、キュウリ、トマト、オリーブオイル、ザータル、オリーブの塩漬けなどを届けてくれた。
砂埃だらけの手で、それらをつかんで食べ、口のなかはジャリジャリ。それでも、野原で食べるご飯は格別の味。
そしてカフェイン中毒のワタシたちは、そのへんの木切れを集め、たき火をおこし、そこにジャズベ(コーヒーを淹れるための柄杓のような小なべ)を載せて、コーヒーの粉をお湯に入れ、それを沸騰させては火から離し、を数回繰り返して、そのコーヒーを飲む。至福のときだ。
こんな、特別なことなんてなにもない、なんでもない、「当たり前」のパレスチナの一日が大好きだ。なにかあれば簡単に失われてしまう、このかけがえのない「日常」が大好きだ。そんなことを思い出し、考えていると、たまらなくパレスチナに帰りたくなる。
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2月11日(木・祝)、横浜YMCA会員大会において朝10時20分より基調講演「パレスチナに生きる人々」スライドトークをおこないます。
場所は、湘南とつかYMCA(JR戸塚駅) 当日は同名の写真展も開催しています。
入場無料、予約不要、出入り自由
詳細につきましては、横浜YMCAのホームページをご覧ください。
http://www.yokohamaymca.org/program/20160211zz.html
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また、2月27日(土)16時から18時には、西武新宿線新井薬師前にてスライドトークをおこないます。
~まちかどカフェ~
高橋美香トーク「パレスチナ 戦場だけではない そこにある日常を伝えたい」
場所:Cafe Rappa(肉、魚、乳製品などを使わないヴィーガンフードの料理店)
中野区上高田3-16-9伊東ビル1階
新井薬師前駅南口から斜めの道を五中つつじ通りへ新宿方面に進むと交差点の角にあります
参加費:500円+飲食オーダー
お席に限りがあり、定員制です。
必ず下記主催者のミズコシ様にご予約下さい。
mimi-yoshiko★i.softbank.jp (★を@に変えて)
この会場では、少人数制ということを活かして、ご参加の皆様とのトーク後の質疑応答や歓談に出来る限り時間を割きたいと考えております。ゆっくりご飯をいただきながら、お茶を飲みながら、皆様と語り合えることを楽しみにしております。
みなさまのお越しをお待ちしております。

