世界の笑顔に出会いたい

写真家・高橋美香のブログ。 公園にいたノラ猫のシロと暮らす。 カメラを片手に世界を歩き、人びとの「いとなみ」を撮影。 著作に『パレスチナ・そこにある日常』『それでもパレスチナに木を植える』(未來社)『パレスチナのちいさないとなみ』(共著)『パレスチナに生きるふたり ママとマハ』(かもがわ出版) 写真集に『Bokra 明日、パレスチナで』(ビーナイス)

2016年02月

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先日、那覇でバーをやっていた恩人が亡くなって、それ以来不思議と一滴も涙が出ないのに、気が付けばその恩人のことばかりを考えている。多くのひとにとっての恩人であり、多くのひとが語るごうさんとの思い出を目にすると、ワタシなどなにも語れることなどないような気がしてしまう。

「パレスチナ・そこにある日常」を出版して、最初の刊行記念写真展をバーの二階で開かせてくれたのが、ごうさんだった。開かずの間と化していたシャワールームをふたりで片づけ、期間中の二週間、バーの二階に寝泊まりさせてもらった。それだけでなく、毎晩のように「ミカ、ご飯出来てるから食べに降りておいで」とお客さんがいないときに呼んでくれて、晩ご飯を食べさせてもらった。バーの隅っこで、本を読みながらひとりチビチビ梅酒ソーダをすする毎日だった。

ごうさんと出会ったのは、読谷の金城実さんのアトリエだった。それ以来、那覇に行くとバー土に顔を出した。ごうさんはいつも笑顔で「おかえり」と迎えてくれた。そしてバー土の二階で写真展を開くことになった。

そのときのことは、日々このブログに綴っていた。読み返してみると、忘れていたことも多かった。

ごうさんに、何も恩返しができないまま今日にいたる。「その分、誰かに何かをしてあげればいいさー」と、ごうさんは笑ってくれているような気がする。寂しそうな顔も、イラついているときの顔もみてきたのに、ごうさんの笑顔しか浮かばないから、涙も出ないのかな。まだ実感がわかないだけなのかな。

ごうさんは、当時、この写真をとても気に入ってくれていた。ハムディとママ。とびきり愛し合って、傷つけあって、離れて、また再び共に生きている母と子の写真を。

ワタシが唯一できることは、写真を撮り続けていくことなのだろうと思う。パレスチナの人々の声を伝え続けていくこと。いつか、自分にもその順番がまわってくるまで、続けていくこと。

きっと、ごうさんも含めて、お世話になった世界中の方々に、恩返しをする方法なんて直接的にはないんだろうと思う。どう返そうとしても、受けた恩に値するものなんて返せない。だからこそ、他の誰かにそれを「返せる」ように、生きていかなくちゃならないんだろうね。

ごうさん、本当にありがとう。お世話になりました。

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2月27日(土)16時から18時には、西武新宿線新井薬師前にてスライドトークをおこないます。

~まちかどカフェ~
高橋美香トーク「パレスチナ 戦場だけではない そこにある日常を伝えたい」

場所:Cafe Rappa(肉、魚、乳製品などを使わないヴィーガンフードの料理店)
中野区上高田3-16-9伊東ビル1階
新井薬師前駅南口から斜めの道を五中つつじ通りへ新宿方面に進むと交差点の角にあります

参加費:500円+飲食オーダー

お席に限りがあり、定員制です。
必ず下記主催者のミズコシ様にご予約下さい。
mimi-yoshiko★i.softbank.jp (★を@に変えて)

この会場では、少人数制ということを活かして、ご参加の皆様とのトーク後の質疑応答や歓談に出来る限り時間を割きたいと考えております。ゆっくりご飯をいただきながら、お茶を飲みながら、皆様と語り合えることを楽しみにしております。

みなさまのお越しをお待ちしております。

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昨日横浜YMCAの会員大会でおこなった講演後、何人もの方々から「最後の話を除いて希望が感じられない」と異口同音に感想をお寄せいただいた。

ワタシ自身も昨年写真集「ボクラ」をつくったときの思いは何も変わっていなくて、できるだけパレスチナの希望や夢を語りたいと思っている。ワタシのパレスチナの友も「家族」も同じ思いだ。ことさらに絶望だけを強調したくないし、とはいえ、希望だけを語ることも現実を直視していないことになる。

お寄せいただいたご感想「希望がない、希望が見えない」これは、案外、いまのパレスチナの人々の心のうちをあらわしているのではないかと思う。

横浜YMCAで実施された子どもたちのピースキャンプの発表で「あなたにとって平和とはなに?」という問いかけがあり、子どもたちは発表のなかで「家族一緒に過ごせること」「なんの心配もなく明日を迎えられること」と答えを出していた。こんなシンプルで「当たり前」のことが、ワタシたち大人たちには見えていない、分かっていない。実現できていない。

どうして、子どもには分かるシンプルなことを、大人たちは見失ってしまうのだろうと思う。いろんなことを言い訳にして、自己正当化を図り、その「当たり前」を見失ってしまっている。本当に大切なことは何なのか、改めて問われた気がする。

「家族一緒に過ごせること」「なんの心配もなく明日を迎えられること」の言葉をかみしめる。パレスチナを含めて、世界のどれだけの人々がその「当たり前」を阻まれているのだろう。占領は間違いなくそれを阻む要因のひとつ。

かつてジェニン難民キャンプで「2002年に虐殺が起きていたとき、世界中が黙って見過ごした」と厳しく詰め寄られたことがある。現実を変えられず、テレビの前でそのニュースを目にしながら泣いていただけの、いまよりもっと未熟だった自分の姿は戒めとして忘れない。

難民キャンプの「弟」たちも、希望と絶望のあいだで揺れている。彼らと普段連絡を取っていて、そのことをヒリヒリするほど感じさせられる。彼らだって夢をみたい。希望を抱きたい。でも、日常的にその思いを打ち砕くのが占領というもの。

かつて、あんなにも夢や希望を語っていた「弟」の親友が、「武装組織の一員」として「逮捕」された。「弟」は、親友と一緒に演劇を通して現実に向き合い、抵抗する方法を模索していたが、そのことの意味を日々自らに問い続けている。

父親は拷問されて体調を崩して若くして亡くなり、貧困のなかで育った。生まれた子どもたちのために、懸命に働きながら、仕事のあいまに演劇を続けている。

泥だらけになりながら、早朝から、難民キャンプのゴミ収集の仕事を続ける。この日は、ゴミのなかから壊れて音の鳴らないおもちゃのピアノ付の絵本をみつけてきた。それを拭いて、大切そうにめくりながら歌を歌うエリヤとイマードの姿をみつめた。

彼らの日々は絶望だけではないし希望だけでもない。どんな絶望のなかにもきっとわずかな希望はある。それを信じながら、みんな必死で生きている。

今生での希望をみつけられず、自分の生命を賭して、他の誰かの希望のために闘うことを決意して死んでいったであろう「弟」の幼なじみたちを思う。それこそが、もしかすると死んでいった彼らのわずかな希望だったのかもしれない。

でも、いまとなっては、その思いを彼らに聞くことも出来ない。ハムザにもマジドにも、聞きたいことがたくさんあったなと思いながら、彼らの死のことを講演で話す。


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また、2月27日(土)16時から18時には、西武新宿線新井薬師前にてスライドトークをおこないます。

~まちかどカフェ~
高橋美香トーク「パレスチナ 戦場だけではない そこにある日常を伝えたい」

場所:Cafe Rappa(肉、魚、乳製品などを使わないヴィーガンフードの料理店)
中野区上高田3-16-9伊東ビル1階
新井薬師前駅南口から斜めの道を五中つつじ通りへ新宿方面に進むと交差点の角にあります

参加費:500円+飲食オーダー

お席に限りがあり、定員制です。
必ず下記主催者のミズコシ様にご予約下さい。
mimi-yoshiko★i.softbank.jp (★を@に変えて)

この会場では、少人数制ということを活かして、ご参加の皆様とのトーク後の質疑応答や歓談に出来る限り時間を割きたいと考えております。ゆっくりご飯をいただきながら、お茶を飲みながら、皆様と語り合えることを楽しみにしております。

みなさまのお越しをお待ちしております。

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一昨夜、またビリン村に深夜一時から四時ごろにかけてイスラエル軍が侵入し、寝静まった村のなかで高速催涙弾や音響爆弾を発砲し、分離壁近くの村人たちの畑を荒らし、農作業小屋をブルドーザーで破壊した。

ふたつの農家がその犠牲になった。そのうちの一軒は、ワタシの居候先のパパの妹マリアムとその夫アハマド夫妻の畑だった。

彼ら夫妻と彼らの子どもたち、ムハンマド、イーサ、ヌールとはとても親しくしていて、分離壁建設ルートが変更されてアハマドの土地も「返還」されることになり、2011年から2012年の年明けにかけてアハマドとムハンマド父子がそれまで立ち入ることが出来なかったため手入れも出来ず荒れ放題になっていた土地の岩を砕き、取り除き、鍬を入れて耕している姿を撮りはじめた。

それから二年ぶりに2014年に彼らの畑を訪ねると、畑にはびっしり作物が実り、給水のためのタンクが置かれ、作業のあいまにゆっくり過ごせるように簡単なキッチンや屋根のついた小屋がつくられ、ソファが置かれ、農機具がきちんとしまわれ「昔みたいに畑を耕して土地に根差した暮らしに戻りたい」と夢を語っていたアハマドの夢が叶いかけていた。

「まだまだこれだけで食っていくのは難しいけれど、うちで食べるものは作れるようになったし、出荷もしてお金も得られるようになった。畑で過ごす時間が幸せだよ。自分が手をかけた作物が実ることは得難い喜びだよ」と笑顔でコーヒーをご馳走してくれたアハマド。

その畑が荒らされ、その小屋がブルドーザーで破壊された。

悔しくて言葉もない。彼らの何年もの努力が踏みにじられ、壊された。

数時間して、ムハンマドが「俺たちはここにとどまり続ける」と、その畑にパレスチナの旗を掲げた。その写真をみて、その覚悟に、心がヒリヒリする。

一日でも早く、一家に笑顔が戻りますように。

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2月11日(木・祝)、横浜YMCA会員大会において朝10時20分より基調講演「パレスチナに生きる人々」スライドトークをおこないます。

場所は、湘南とつかYMCA(JR戸塚駅) 当日は同名の写真展も開催しています。

入場無料、予約不要、出入り自由

詳細につきましては、横浜YMCAのホームページをご覧ください。

http://www.yokohamaymca.org/program/20160211zz.html


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また、2月27日(土)16時から18時には、西武新宿線新井薬師前にてスライドトークをおこないます。

~まちかどカフェ~
高橋美香トーク「パレスチナ 戦場だけではない そこにある日常を伝えたい」

場所:Cafe Rappa(肉、魚、乳製品などを使わないヴィーガンフードの料理店)
中野区上高田3-16-9伊東ビル1階
新井薬師前駅南口から斜めの道を五中つつじ通りへ新宿方面に進むと交差点の角にあります

参加費:500円+飲食オーダー

お席に限りがあり、定員制です。
必ず下記主催者のミズコシ様にご予約下さい。
mimi-yoshiko★i.softbank.jp (★を@に変えて)

この会場では、少人数制ということを活かして、ご参加の皆様とのトーク後の質疑応答や歓談に出来る限り時間を割きたいと考えております。ゆっくりご飯をいただきながら、お茶を飲みながら、皆様と語り合えることを楽しみにしております。

みなさまのお越しをお待ちしております。

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今年最初のご紹介。日本で暮らすクルド難民のおかあさんが生活費の足しにと懸命につくっていらっしゃるオヤのスカーフ、ネックレス、ブレスレット、ストラップ、ピアスの新作のご紹介します。

これらは、2月27日(土)新井薬師前CAFE RAPPAでのパレスチナをテーマにしたスライドトーク会場で実物をご覧になれますが、遠方の方のために、これらの作品を送料実費で発送も承ります。

2月27日のイベントの詳細→http://blogs.yahoo.co.jp/mikairvmest/41063222.html

ただし、昨年末より、送料実費のほかに一件につき発送手数料300円を申し受けておりますことをご了承ください。

いままで完全無償ボランティアでおこなっておりましたが、お問い合わせ、ご注文対応、お振込確認、発送作業にかかる手間を鑑みて、恐縮ですが、申し受けることにしました。お許しください。

値段、振込先等の詳細につきましては、恐れ入りますが、mikairv@gmail.comまでご連絡ください。

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