本日12月10日、無事にノラ猫のシロを保護しました。本当に辛くて長い一ヶ月でした。

シロの保護をして、うちで飼いたいと決めて、その費用を捻出するためにフォトブックやカレンダーを作成して販売、カンパまで頂戴しながら、シロと暮らせるペット可の物件探し、同時に「もしかして」とダメ元でいまの大家さんとの交渉を同時進行。なかなか大家さんから返事をいただけず、かと言って猫を飼える手頃な値段で、希望の条件の物件はみつからず、どんどん寒くなる一方。シロは急激に寒くなった時期、クシャミを連発し始め、寒さで元気もなくなり、心も閉ざし気味になり、焦るばかり。

「敷金をより多くお預けしてもいい、家賃を多少上げてもらっても構わない。この家で猫を飼わせてもらえませんでしょうか?」と何度も不動産屋を通して打診するも、正式なお返事、結論はなかなか返って来ず。

そのあいだの日々のことは、インスタグラムで「今日のシロ」として綴っています。ご興味があればどうぞ。mikairvです。

そして先週、ついに「とりあえず、当面は」つまり、今後近隣の方々とトラブルにならない限りは、引っ越さなくても済むことになり、あとはシロを無事に保護するだけ!と意気込んだ月曜日、「任せろ」と言ってくださった方に他人任せにしてしまい、失敗。シロはいつも以上に警戒レベルを上げ、一度無理矢理入れられかけたキャリーケースをひどく怖がるようになる。

翌日以降、いつもの時間、いつもの場所に顔を出して、警戒しながらごはんを食べるものの、様子がおかしいとすぐに察するシロ。ワタシひとりのときは、安心してそばでくつろいで、甘えるのに、ワタシにはシロを抱き上げることも、ひとりで洗濯ネットに入れることも、できる自信がない。

捕獲器を借りる、地域の保護ボランティアの方に相談する、いろんなことをひとつずつ重ねていこうとするも、返事がなかったり、いい返事がもらえなかったり、挙げ句の果てには相談に行ったシロがいる公園近くの動物病院では、「猫を飼った経験もないあなたにノラ猫の保護は難しい」と、否定的なことを言われる。地域の保護ボランティアの方についても「病院ではそのような紹介はしていない」と。難しいのは百も承知。経験がないからこそ、専門家にその困難を乗り越えるためには、経験のない自分になにが必要なのか?と問うているのに、解決策も示さず、否定するだけ。受付の女性は明らかに迷惑顔で「ノラ猫の保護、ね、はあ」みたいな。もう二度とこんな病院に来るものか、シロをこんな病院に連れて来てたまるかと、悔し泣きしながら帰る。

毎日シロは変わらずやって来て、ごはんを食べて、甘えて、日が暮れると闇の中に去って行く。寒い夜、明け方、シロのことが心配で眠れなくなる。

以前、公園に捨てられたシロを、人間不信のまま、過酷な環境のなかで短い生涯で終えさせたくない。穏やかで、安心して、日々を過ごしてほしい。暖かい場所で、安心して眠らせてあげたい。数日に一度、地域のボス猫に襲われて、傷だらけのシロを放っておきたくない。でも、そんなことを考えること自体が自分のエゴなのか?それとも、保護できる自信がない逃げや言い訳なのか?眠れない日々が続いた。

そして、トランプの「エルサレムをイスラエルの首都として承認」の発言、それに対する抗議、過剰な弾圧とシロのこと、パレスチナ情勢を追うこと、ギリギリの日々が続く。

話は前後するが、フォトブックを作成しているとPCが壊れ、さらには眼鏡まで壊れる。シロの保護、検査や必要であれば治療や投薬、そして手術にかかる費用、引っ越しもしくは敷金や家賃の積み増しに、かかるかもしれない費用もある。次の取材のための航空券代の支払い期日まで迫る。金銭的にもギリギリ、さらには免疫力が落ちているのか、高熱に襲われ、リンパは腫れ、口内炎はでき続け、一時期味覚を失いかけ、耳の周辺が腫れ...と、体調まで悪化する。弱り目に祟り目。ここまでくると神がかり、と苦笑する。

シロのいる公園に集う近所の方々からも、暖かい応援や、否定的な意見や、日々様々な声を掛けられる。そのことも、相当しんどくなってきた。ここまで、理解して、励まして、応援して、自分が休みの日になると一緒にシロに会いに行ってくれたパートナーが、弱音を吐いて諦めかけているワタシに「シロはミカを信じている。ミカもシロを信じてあげな。絶対に保護しよう。絶対にできる」と力強く言ってくれる。ワタシは、その言葉に勇気をもらう。

そして今日、パートナーの言葉どおり、無事にシロを保護して、隣の隣の市にあるノラ猫の保護活動に積極的に力を入れている動物病院にタクシーを飛ばす。普段はビンボーなので、もちろんタクシーなんて10年か15年に1度くらいしか日本では乗りません。でも、一刻も早くシロを安心させてあげたくて。

病院に着いて、事情を話すと「そうですか。よく頑張られましたね」と本物の営業用ではない笑顔を受付の女性からいただく。先日のことがあったから、ビクビクしながら話したのに、まったくの杞憂。診察になり、先生は「今日はシロちゃんの負担を考えて、ノミとダニの駆除だけにしましょう。ワクチン、虫下し、検診などはまた後日試みましょう」と、いろいろと丁寧に説明してくださる。まったく猫を飼った経験もないことも話すが、「懐いているみたいだし、病院で暴れたり、威嚇したりもせず落ち着いているし、何ヶ月もかけて関係性を築かれた甲斐がありましたね。大丈夫ですよ。なにかあったら、すぐに電話してください。一緒に頑張って行きましょう」と言ってくださる。そしてシロにも「えらいね、よく頑張ったね。またね、シロちゃん」とニッコリ。ああ、この先生は本当に動物の命を考えていらっしゃる方だ、ノラ猫だからと対応に差をつけることなく、難しいからと否定することなく、ひとつでも救える命に真摯に向き合おうとされている方だと、その笑顔に心から安堵する。

そんなわけで、保護してからただいま8時間半が経過。シロはごはんを食べたり、ウトウトしたり、爪研ぎをしたり、爪研ぎに着いたまたたびを舐めたりして過ごしています。どれだけ鳴かれるのだろうと覚悟していたけれど、いまのところはものすごく静か。でも話しかけると返事もするし、なでなでしても問題なし。しかしまあ、できるだけ暖かく、ひとりにして静かな環境で過ごしてもらっている一日目の夜。

さあ、大変なのはこれからなんだろうけど。でも、シロのことが本当に好き。シロのことが本当に大切。シロにはこの数ヶ月いろんなことを教わってきた。縁あって出会ったこの命を大切にしたい。シロのことを好きになって、シロをこんな辛い目に遭わせたヤツ、シロを捨てたヤツのことを憎みそうになっていたけれど、いつか、シロが本当に幸せになれたなら、シロを本当に幸せにすることができたなら、ワタシはその日が来たときは、あなたに感謝するよ。「シロをあなたが捨てたことで出会わせてくれてありがとう」と。そんな風に思える日が来るように、頑張らなきゃいけないね。

シロの保護にかかる費用を捻出するためにフォトブックやカレンダーをご購入くださったみなさま、カンパをお寄せくださったみなさま、ケージをくださり、捕獲器を無料しかも送料まで負担して貸してくださった上にかかりつけのお医者さんにワタシとシロのための相談までして力になってくださったMさん、本当にありがとうございました。