世界の笑顔に出会いたい

写真家・高橋美香のブログ。 公園にいたノラ猫のシロと暮らす。 カメラを片手に世界を歩き、人びとの「いとなみ」を撮影。 著作に『パレスチナ・そこにある日常』『それでもパレスチナに木を植える』(未來社)『パレスチナのちいさないとなみ』(共著)『パレスチナに生きるふたり ママとマハ』(かもがわ出版) 写真集に『Bokra 明日、パレスチナで』(ビーナイス)

2018年07月

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『パレスチナ・そこにある日常』の表紙の写真を撮影してから八年半が経とうとしている。まだ目が見えていたママを畑で抱き寄せてその頬にキスをするハムディの姿が懐かしい。

あのころ、ワタシはビリン村をいまよりずっとキラキラした目でみつめていた。自分が若かったせいもあるし、村の闘いが盛り上がっていた時期でもあるし、ワタシはビリン村で「水をえた魚」のように、居候生活をしながらその日常を切り取っていた。

いま、『パレスチナ・そこにある日常』を読み返すと、ナイーブ(英語本来の意味で)で、青臭くて、それでもあんなに本気で村の闘いのためになにかをしたいと思っていて、居候先の家族を含めた周囲のひとたちのことが好きで好きでたまらなくて(キライなひともいるし、諍いもたくさんあったけれど)、我ながら「まぶしい」思いがする。

二作目の『それでもパレスチナに木を植える』でも書いたこの村の分離壁反対運動をつぶすための分断工作、それによる疑心暗鬼、村人同士の主導権争い、立ちはだかる大きな壁、拡大する一方の入植地、死傷者の増大、逮捕、投獄によって人生を狂わされること、様々な要素が絡み合い、ますます村人同士の人間関係はズタズタになり、村の運動そのものが昔の勢いを失っている。

ハムディもその影響もあり、一時はパレスチナを離れた。辛い辛い涙の別れにも立ち会った。ママはその前後に悲しみが大きすぎて心のバランスと体調を崩した。そして、ハムディが意を決してふたたびパレスチナに戻ってきたときには、ママの目はハムディの姿をとらえることができなかった。

体調が悪く、もう何年も人工透析を受けながら暮らしているママ。「このまま生きていても息子たちの迷惑になるだけ。神様はなぜ私をお連れくださらないのか」と泣くばかりのママ。透析を受けた日は体力を使い果たし、その翌日はほんのわずかに体調がマシで、三日目にはまた体中の血の流れが滞り痛む体に泣くばかり、四日目また透析を受けにラマッラーの病院へ行き、同じサイクルを繰り返す。

そんなママも、息子や娘、孫であるその子どもたちが来るときだけは笑顔が戻ることがある。五人の男兄弟のなかで一番深く分離壁反対運動にコミットし続けるハムディのことを、ママは一番心配している。ハムディは、ワタシの前でよくわざとママに甘えるふりをする。ママとハムディは、阿吽の呼吸で、甘え、甘やかす、ふりをする。一種のじゃれあい。

年月が容赦なく流れていく。変わってしまったことも数え切れないほどあった。ママとハムディとワタシの関係も、二作の著作を書いたときとは違う。あのころのように、パレスチナの時間の大半をママとハムディとあの家で過ごすことはなくなってしまった。けれど、もっと深く、もっと悲しみをともなった、とはいえ、もっと愛情深いものに変わっているように思う。

いつまでこんなふたりの写真を撮り続けられるのだろうと思う。そう考えると、悲しみが心に宿り、痛みが宿る。人生にはどれだけ願っても叶わないことがある。それがわかっていても、いつまでもふたりの姿を撮り続けたいと思う。ひととき、ひとときを大切にしなくてはならない。ともに過ごせる時間を大切にしなければならない。

それは、ママとハムディに限らず、目の前にいるどんな大切なひとでも同じなのだと。

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さいたま市大古里公民館で開催される「第30回平和のための三室戦争展」にてパレスチナのお話をします。
8月26日(日)14時半からスライドトーク(約70分間)

☆交通機関
路線バス (浦31系統)JR京浜東北線北浦和駅東口からさいたま市立病院行き「北宿」下車徒歩5分(東武バス)
JR京浜東北線浦和駅西口から市立病院行き「北宿」下車徒歩5分(東武バス)
(浦和08系統)JR京浜東北線浦和駅西口から南台行「三室」下車徒歩5分(国際興業バス)

☆所在地
住   所 〒336-0911 さいたま市緑区三室2614-2
電話番号 048-810-4155
FAX 番号 048-810-4156
駐車場 有り・15台(但し公民館施設利用者が多い場合は満車になり駐車できないことがあります)


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『それでもパレスチナに木を植える』(未來社)
店頭にない場合は、書店でご注文いただければ幸いです。
http://www.miraisha.co.jp/np/isbn/9784624411022

アマゾンからも購入できます。
http://amzn.asia/bUm0U7i



また、引き続き、下記の二冊の本のご注文もお待ちしております。

『パレスチナ・そこにある日常』(未来社) 重版が決定しました。
版元の未來社のページ
http://www.miraisha.co.jp/np/isbn/9784624410919

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http://www.amazon.co.jp/s/ref=nb_sb_noss?__mk_ja_JP=%83J%83%5E%83J%83i&url=search-alias%3Dstripbooks&field-keywords=%83p%83%8C%83X%83%60%83i%81E%82%BB%82%B1%82%C9%82%A0%82%E9%93%FA%8F%ED&x=10&y=21

写真集『ボクラ・明日、パレスチナで』(ビーナイス)
http://www.amazon.co.jp/ボクラ(Bokra)%E3%80%80明日、パレスチナで-ビーナイスのアートブックシリーズ-高橋-美香/dp/4905389275/ref=sr_1_2?ie=UTF8&qid=1421878540&sr=8-2&keywords=ボクラ%E3%80%80明日

版元ビーナイスのページ
http://benice.co.jp/index.html

最寄りの書店でも、お取り寄せ可能です。

著者のサイン入りをご希望の方は、
mikairv★gmail.com(★を@に)までご一報ください。
ただし、この場合恐れ入りますが、本代と送料実費を頂戴します。

写真集『ボクラ・明日、パレスチナで』に収められた写真のカード、Tシャツ、トートバッグをこちらからお求めになれます。
ビタミンTeeのページ
http://www.vitamin-tee.jp/?mode=cate&cbid=985137&csid=1

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二日前に書いたとおり、とにかく短くてもいい、少しでもいいから続けて「パレスチナの肖像」について綴っていこうと今年後半の目標を立てた。日課にしてみると、不思議なことにあんなに「時間がない」と思っていたのが、わずかなスキマ時間を捻出できるようになってきた。要するにやる気と姿勢の問題なのだろう。いつまで続くかは自信がないが、行けるところまで行ってみよう。

二作の拙著で綴ってきたビリン村の分離壁、占領との闘い。今年もまたビリン村の「その後」をみつめに行った。村の闘いが続くにつれ、主導権争い、嫉妬、外から入ってくる「カネとヒト」の分配、それらに翻弄された村の人間関係はズタズタにされていった。自分自身もまきこまれ、少なからず「争いのネタ」を作ってきたのだろうという罪深さにさいなまれ、「もう、ビリンはいいや」と思ったことも何度もある。そして、毎回、そう思いながらビリンに向かってしまう。酸いも甘いも知り尽くした村、それがワタシにとっての「闘いの村」だ。

とはいえ、村にはステキな部分もたくさんある。分離壁さえなければ、占領軍さえ踏み込んでこなければ、本当にキレイな村だ。「ミカ、おかえり!」と迎えられるのは、実家のある広島県府中市とこの村くらいのものだろう。

他人がどうであれ、自分なりの闘いを信念をもって続けている村人たちの姿もある。村がズタズタにされても、昔のような人間関係はなくなっても、自分の信念に従ってそれぞれの闘いを続けている。

ナジャーハもそんなひとだ。彼女は分離壁建設予定地の「向こう側」となった自分の畑に通うことをあきらめなかった。女性はほとんど毎週のデモに参加することもないが、ナジャーハの姿は例外的にあった。いつも旗を振り、兵士の高圧的な態度や弾圧には、ひるむことなく向かっていった。

「昔は電気もなーんにもない生活だったけれど、それでもいまの生活よりはよほどよかった」と彼女が語る。

今年、ビリン村の闘いが始まってから13周年となる記念日のデモの日に、彼女は分離壁のそばにある自分の畑にやって来て、ドラム缶を利用して作ったかまどで石焼きのパンを焼いていた。彼女の背後には巨大な入植地群が広がる。「ここで生き続けること、日常の営みを続けること、それが私の抵抗」と彼女は話した。

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ナーブルスの街には、毎回行くたびに撮影をしているけれど、そういえば名前を知らないというひとがたくさんいる。

毎回撮らせてもらっているこのパン屋のひとたちもそうだ。2011年にこのパン屋の店頭に立つお兄さんの仕事中の姿を撮影させてもらったときは、お兄さんの表情、光の加減、色味などがドンピシャでハマり、自分のなかでは久々の「会心のワンショット」となった。それ以来、たびたびこのパン屋さんで撮影させてもらっている。

ワタシは、あちこちで繰り返しているが、はたらくひとの姿を撮るのが好きだ。パレスチナというと「紛争地」の姿を切り取られ、紹介されることが多いけれど、ワタシはそのパレスチナで、はたらき、くつろぎ、笑い、泣き、恋をし、喧嘩をし、というワタシたちと変わらぬ人々の姿を切り取ることにこだわる。

だって、そこにはひとが生きている。ひとの営みがある。それは、どんな場所でも変わらない地球上のすべての場所で共通の普遍的な姿だと思うから。

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8月にさいたま市の大古里公民館で開催される「第30回平和のための三室戦争展」にパレスチナの写真を提供することになった。

そのために写真を選んでいると、大半の写真が「お蔵入り」してしまっていることにあらためて気づかされる。あのひとも、このひとも、わずかな時間とはいえ、出会って、言葉を交わして、その人生の断片を聞かせてもらって、その一瞬を切り取ったのに、すっかりそのことを「お蔵入り」させてしまっている。たくさんのひとたちがカメラをとおしてワタシをみつめる、ワタシに笑う。なのに、その時間さえ写真を見るまで忘れてしまっていて、なんとも申し訳ない思いがする。

一枚一枚、あらためてきちんと向き合う時間をつくらなくてはなと思う。昔はわりと熱心にそういう作業をしていたのに、いつの間にかきちんと向きあえず「お蔵入り」させてしまう写真が増えた。短くても、わずかでも、綴っていかなくてはと思う。「パレスチナの肖像」に向き合うのが今年後半の目標。

写真はナーブルス旧市街の市場のなかにあるカバブ食堂のじーちゃん。すっかり耳が遠くなって、お客さんの注文も聞き取れていない。横で一緒にはたらく息子さんが、じーちゃんに大きな声で客の注文を繰り返す。じーちゃんは黙々と肉を串に刺し、炭火で串を焼き続ける。

じーちゃんは「孤児」だったそうだ。エルサレムの孤児院(または孤児のための学校)で子ども時代を過ごしたことがある。若かりし頃の凛々しいモノクロ写真を懐から取り出して見せてくれた。スーツ姿のじーちゃんは、なかなかハンサムな青年だった。どんな青年時代だったのだろう。どんな経緯でこの場所に店を出すことになったのだろう。

お孫さんがお使いを終えて店に戻ってきた。じーちゃんに「さっさと戻って皿洗いをしろ」と叱られている。孫は「うるせーな、わかってるよ」とじーちゃんに言い返す。言い返しながらスマホを取り出していじっている。

じーちゃんの制服ともいうべき、半そでのシミだらけの上っ張り。わざわざこの上っ張りを着て店に立つことが、なにやらじーちゃんの誇りを感じる。上っ張りにしみ込んだ肉の脂やシミが、黙々とここで肉を串に刺し、焼き続けてきた人生を語る。

なにも聞けなかったけれど、多くを聞く必要もないように感じさせるその笑顔。

じーちゃん、ごちそうさまでした。本当においしかった。


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パレスチナのこと、アフガニスタンのこと、仕事のこと、シロのこと・・・いろいろ思考があちこちに飛ぶなか、まとまった長い文章を書くほどの落ち着きがなく、時間だけが過ぎゆくさなか、自分の地元広島が「被災地」となった。一刻も早く駆けつけたい。でも、そう思えばそうできるかというと、なにかと事情が許さない。ようやく来週帰省できることになった。自分になにができるのか、帰ってみないとわからないが。

今度の日曜日に北九州市でパレスチナのお話をする。その話を組み立てるのに、いろいろと写真を眺めながら、いろんなことを思い出す。

いつも再会を楽しみにしているひとたちがパレスチナにはたくさんいる。彼らがなにも変わらず、同じ場所で、同じ笑顔で迎えてくれるからこそ、ワタシはパレスチナに向かう。

今年アブーアラアとの再会も楽しみにしていた。拙著「パレスチナ・そこにある日常」でも「それでもパレスチナに木を植える」でもアブーアラアと彼の家族のことを書いた。ひと坪ほどのコーヒー屋台を営む彼。出会いはひょんなことからだった。あっという間に仲良くなったわけではない。ハムディやハイサムやマハとの付き合いのように、濃密な付き合いでもない。年月を重ねて、少しずつ一緒に過ごすときを積み重ねていった。少しずつ彼のことを知っていった。

ナーブルスのコーヒー屋台に向かうと、長男のアラアが立っていた。「お久しぶり!元気だった?お父さんは?」とたずねると、「父はイスラエルに出稼ぎに行っていて、週末しか帰ってこられないんです。普段は僕がこの屋台に立っています」とアラアが手早くコーヒーを淹れて渡してくれる。お代を渡そうとすると受け取ってくれない。「あなたは父の、そして僕たち家族の大切なお客さんです。絶対にお代はいただけません。もしあなたからお代を頂戴したら父に叱られます」と笑う。ああ、このホスピタリティも健在だ。お礼を言ってコーヒーを受け取る。

アラアが父親に電話をしてくれた。電話の向こうにアブーアラアの声が聞こえる。「せっかく来てくれたのに残念だが、いま兄弟に誘われてラマットガンで働いていてね。週末しかナーブルスには帰れないんだ。息子も大きくなったし、そろそろ屋台を譲ろうと考えてね。今度は週末においで」とアブーアラアが言う。

しかし、結局今年アブーアラアに三年ぶりに再会することは叶わなかった。「週末はうちにおいで」「週末は○○へ行こう!」あちこちからのお誘いに対して「週末の数が足りない」のだ。残念すぎる。

ナーブルスではあちこちの商店でも代替わりが進んでいた。まるで近所の商店街の行きつけのお店の代替わりをみつめるような気持ちでそれをみつめる。少しの寂寥感と、それ以上に次世代が育ち、引き継いでいることの嬉しさとともに。

長い年月をかけてみつめるというのは、こういうことなのだなと気づく。「遠い」はずのパレスチナで、こんなに「代替わり」を身近なことと感じられるような、そんな不思議を思いながら、なんだかホクホクと温かい気持ちになる。

写真は屋台に立つアラア。
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北九州市にて下記のとおり、パレスチナのお話をします。

タイトル「パレスチナを観る。聞く。語る。」
日時 7月15日(日)14:00 -16:30
主催 地球のステージ チーム九州。
会場 北九州市立男女共同参画センター ムーブ
(〠803-0814 北九州市小倉北区大手町11-4)5階 小セミナールーム 
参加費 千円(当日1200円)学生五百円 
申し込み、お問い合わせ 090-8220-5081 ハットリさん

みなさまのお越しをお待ちしております。

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