
もう四年も前のことになるが、2014年に14年ぶりに現地で犠牲祭の日々を迎えた。ジェニン難民キャンプや、エルサレムの友人宅やあちこちの家から「犠牲祭はうちで過ごしな」とお誘いをいただいていたが、一番強靭に「イード(祭り)の日くらいうちにいなさい」というママの言葉を振り切れなかったので、犠牲祭はビリン村で過ごすことになった。
子どもたちは、新しい服を買ってもらい、おもちゃを買ってもらい、ごちそうが食べられることにはしゃぎまわっている。大人たちは、短い祝日のあいだにどう効率よく親戚へのあいさつ回りをこなしていくか、頭を悩ませている。
散髪を済ませ、きれいな服に身を包み、親戚へあいさつに行く。子どもたちにはイーディーヤというお年玉のようなお小遣いや小さな子にはお菓子が配られる。ワタシもすっかり増えた「甥や姪」に配るため、服を買ってあげるため、けっこうなお金を使ってしまった。
訪問した家では、この日のために用意されたクッキーやナッツがコーヒーとともにふるまわれる。これを欠かしてはならないと、イードの前には菓子屋に行列ができる。お菓子作りが得意なひとなら自分で焼く。
肉屋では、小屋につながれた羊を選び、それを購入した人が見守るなか、肉屋さんが羊を屠る。頸動脈を切り、血をできるだけ出し切った後、足からつるしてナイフで皮をはいでいく。そのあとは部位ごとに切り分けていく。余裕のある人は、自分の家族が食べる部分をのぞいて、親戚、近所、また地域の自治会のようなものやモスクを通じて恵まれない人に肉を配る。みんながみんな肉を買えるわけではないので、こうやって配られたお肉が「年に一度か二度のごちそう」という家庭もある。
ビリン村にも何軒か肉屋がある。必ずしもショーケースに肉を入れた店舗として構えているわけではなく、要望があればその場で屠って切り分けるという肉屋もある。マハムードの肉屋もそんな一軒で、大忙しの叔父を手伝うために二ダールが手伝っていたのを撮影に行ったのがこの写真。頸動脈が切れた血まみれの羊の写真もたくさんあるが、ここではやめておきましょうか。
このビリン村が舞台の、分離壁との闘いを描いた映画『壊された5つのカメラ』のなかで、逮捕、拘束されて、軟禁されて、何度も撃たれて怪我を負って、それでも毎週のように分離壁反対デモにカメラを片手に向かおうとする監督のイマードに向かって、奥さんのソライヤが「今日は行かないで、イードなのに」という場面がある。このひとことが、ものすごく印象に残っている。
どんなにおめでたい、お祝いの日でも、そこに抑圧と占領があり、それに抗うために命を懸けて出向く村人の姿。そして、逆に、どんなにひどい抑圧や占領の日常があろうとも、人びとはイードを祝い、日常を続けていく姿。そのどちらもが、パレスチナの人々の姿。
なにはともあれ、ムスリムの友みんなが心穏やかなイードを過ごせますように。
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8月29日、30日に川崎市とどろきアリーナで予定されている「軍事見本市」開催に反対します。
オリンピック開催に向けて「安全対策」の名のもとに、パレスチナの人々を監視し、人権を侵害し、抑圧、暴力をともない、傷つけ、殺しながら開発されている「安全保障関連の品々」を出品する見本市。
29日には、開催される場合は、会場となるとどろきアリーナ入り口前レンガ広場において11時半より「イスラエル軍事見本市をやめろ!大抗議行動」(主催:川崎でのイスラエル軍事エキスポに反対する会)が予定されています。
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神奈川新聞
http://www.kanaloco.jp/article/354048
東京新聞
http://www.tokyo-np.co.jp/article/kanagawa/list/201808/CK2018081702000164.html
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さいたま市大古里公民館で開催される「第30回平和のための三室戦争展」にてパレスチナのお話をします。
8月26日(日)14時半からスライドトーク(約70分間)
☆交通機関
路線バス (浦31系統)JR京浜東北線北浦和駅東口からさいたま市立病院行き「北宿」下車徒歩5分(東武バス)
JR京浜東北線浦和駅西口から市立病院行き「北宿」下車徒歩5分(東武バス)
(浦和08系統)JR京浜東北線浦和駅西口から南台行「三室」下車徒歩5分(国際興業バス)
☆所在地
住 所 〒336-0911 さいたま市緑区三室2614-2
電話番号 048-810-4155
FAX 番号 048-810-4156
駐車場 有り・15台(但し公民館施設利用者が多い場合は満車になり駐車できないことがあります)
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『それでもパレスチナに木を植える』(未來社)
店頭にない場合は、書店でご注文いただければ幸いです。
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また、引き続き、下記の二冊の本のご注文もお待ちしております。
『パレスチナ・そこにある日常』(未来社) 重版が決定しました。
版元の未來社のページ
http://www.miraisha.co.jp/np/isbn/9784624410919
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版元ビーナイスのページ
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