
先週、ある仕事のギャラが入ったので、十条のパレスチナ料理ビサンに行ってきた。
それまでのいきさつは、先日の「おなかがすいた、ビサンに行こう」をご覧ください。
http://mikairvmest.livedoor.blog/archives/5833942.html
現在のオープン時間は17時から20時の三時間。先日も書いたように、お店を開けるのも閉めるのも苦渋の決断だろう。そんな思いを考えるとヒリヒリしてくる。
「大丈夫。パレスチナ人は『仕事がない』ってことに慣れてるよ。できることをやるしかない。いまね、『ほかのこと』もしているんだ。そっちが結構忙しい」と、どこまでもアイディアをカタチにしようと進み続けるスドゥキさん。ポッカリ空いた時間で楽しんでいることの話、これからやろうとしていることの話、それに関連して出てきた、スドゥキさんの故郷のおじいちゃんの思い出話を聞いた。
いわく、「昔は畑を耕して、ヤギや羊を育てて、金銭的には豊かではなくとも、なにも困らない自然な生活をしていた。いつの頃からか、イスラエルでの労働という貨幣経済に組み込まれ、金銭的にはそっちの方が稼げるから、多くのひとが畑をほったらかし、手入れをせず、土地を売り、イスラエルに『出稼ぎ』に行った。そして壁が造られ、検問所で出入りがコントロールされるようになって、多くのそういう労働者が仕事を失った。もう一度畑に帰ろうとしても、荒れた土地ではもう難しかった。子どものころはモモやアプリコットなど、いろんな果樹があって、そういうものをたくさん中東諸国に輸出していた。その何十台も連なったトラックの大きさを覚えているよ」(一字一句正確ではありません。要約)。
お店が混んでいたら、テイクアウトを頼もうと思っていたが、残念ながら貸し切り状態だったので、たくさん話を聞きながらゆっくりいただく。普段、自分ひとりのときはなにかにつけて、極限まで節約生活なので、ギャラの8割をビサンで使って豪遊するのは、本当に気持ちがよかった。一番食べたいものを、金に糸目をつけず、食べたいだけ食べまくる…人生にそんなこと何度あるのだろうか。本当に満足な、幸せな時間だった。
ビサンで一番好きなラム串(上の写真)。柔らかく、ジューシーで最高だ。夢にまで出てくる味。スドゥキさんは、「お店からのサービスだよ」と頼んでいないものも出してくれた。ホンモスとオリーブと一緒にパンにはさんでいただく。


最初にオーダーしたのは、ラム串と甲乙つけがたい大好物のタッブーレ。レモンの酸味とパセリと玉ねぎとトマトのそれぞれの豊かな味がたまらない。クスクス(ブルグルかも)入り。これを食べているだけで元気が出る。
チキンステーキは初オーダー。いつもむしろ鶏モモ串を頼んでしまうので。スパイス(といっても辛いわけじゃない、念のため)がしっかり効いた味。柔らかい。ジューシー。懐かしい味。「パレスチナ人はバーベキューが大好きだからね。バーベキューのときのチキンの味。おかあさんが楽したいときは、バーベキュー。鶏をビネガーやレモンですすいでスパイスで下味をつければ、あとは焼くだけ」とスドゥキさん。ビリンのハイサムの家でもよくやったな、バーベキュー。

お店にいろいろなモノが貼ってあり、飾ってある。ワタシの写真が、仲間入りをしていて嬉しくなる。

最後の〆は、アラブコーヒーで。お供はバスブーサ。
他人から見れば「不要不急」だろうけど、ワタシにとっては、一番好きなビサンのご飯を食べ、なによりもひとりで奮闘するスドゥキさんの顔をみて、話をして、ビサンを応援する気持ちを伝えたかった。スドゥキさんの作るご飯を、こんなにも楽しみにしている人間がここにいるよと伝えたかった。こんな困難なときに、ひとりよがりな迷惑な話かもしれないとは思うけれど。
でも、応援するつもりが、なんだか元気づけられて帰ったのはワタシのような気がする。
正直に言うと、ただでさえいろいろと困難が生じているのに、スマホは不具合を起こしいくつかのアプリを開けず(そもそもスマホが古すぎる)そのうえ今月の終わりまであと十日も残して無残にもパケ死。自宅のネットの契約容量も大きくないので、仕事の送受信でせいいっぱい。(なので、ブログを更新している場合じゃない気もする)。
さらに自宅台所の配水管が詰まってしまい、黒い水があふれ流れゆかない。ヘドロのようなにおいにシロもプンプン。シンクをチラチラ見ながら大声で抗議しているが、ワタシにもどうしようもない。どれだけシュポシュポやっても、下手なのかうまくいかない(そして、それを放置したまま、仕事部屋にこもる)。
本当にありがたいことに、集中して取り組まなくてはならない仕事がいくつかあるので、パケ死ということもあるし、しばらくSNS(特に容量の問題でスマホのアプリを捨てたFB)から遠ざかる予定です。
最後に、先日ワタシの投稿をご覧になって、ビサンに仕事帰りに立ち寄り、そのうえワタシにも「もう一品追加して食べて」とばかりにカンパをお店に託してくださったNさん。本当にありがとうございました。なんとお礼を申し上げていいのか。この場をお借りして、心よりお礼を申し上げます。

もうひとつ、シロさんポストカードをご注文くださったみなさま、ようやくプリンターのインクが届いたので、続きを製作のうえ今週中には発送します。もうしばらくお待ちください。
十条近郊にお住まいの方、十条にご用事のある方、ぜひとも晩ご飯にパレスチナ料理(のテイクアウトも)をご検討ください。
ビサンのHP
http://bisan.biz/
スドゥキさんから聞く話、彼の生きざま、まさに『パレスチナのちいさないとなみ』で伝えたかった姿なんだよなあと、いつも会うたびに思います。
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2019年、フェアトレードでパレスチナからオリーブオイルやザアタル、石鹸、刺繍製品を輸入販売するパレスチナ・オリーブ代表の皆川万葉さんと共著『パレスチナのちいさないとなみ』(かもがわ出版)を出版しました。パレスチナの「おしごと」をテーマにした一冊です。お近くの書店でお取り寄せが可能です。
パレスチナ・オリーブのサイト
http://paleoli.org/
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もちろん、本に挿しはさまれたハガキや、版元ページのご感想記入欄でも。
ネットでは、下記のリンク先などでご購入いただけます。
★『パレスチナのちいさないとなみ』
版元のかもがわ出版のページ
http://www.kamogawa.co.jp/kensaku/syoseki/ha/1026.html
アマゾンのページ
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★過去の著作★
★『それでもパレスチナに木を植える』(未來社)
http://www.miraisha.co.jp/np/isbn/9784624411022
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★『パレスチナ・そこにある日常』(未来社)
版元の未來社のページ
http://www.miraisha.co.jp/np/isbn/9784624410919
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★写真集『ボクラ・明日、パレスチナで』(ビーナイス)
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