世界の笑顔に出会いたい

写真家・高橋美香のブログ。 公園にいたノラ猫のシロと暮らす。 カメラを片手に世界を歩き、人びとの「いとなみ」を撮影。 著作に『パレスチナ・そこにある日常』『それでもパレスチナに木を植える』(未來社)『パレスチナのちいさないとなみ』(共著)『パレスチナに生きるふたり ママとマハ』(かもがわ出版) 写真集に『Bokra 明日、パレスチナで』(ビーナイス)

2021年05月

ハアレツ紙やニューヨークタイムズ紙の一面に「この11日間」で犠牲になった子どもたちのひとりひとりの顔写真が大きく載った。もちろん、その紙面から「伝えよう」という本気の思い(がもしこめられているなら)そのものは尊いものだと思う。でも、この記事への称賛や評価なども含めてそれを見れば見るほど、この命を尊び追悼する気持ちがあるなら、なぜ私たちはこの命が奪われる前に、本気で止めようとしなかったんだという思いを抱いてしまう。いまだけの、一瞬の私たちの同情や涙に、どれほどの意味があるというのだろう。どうして、その同じ熱意を傾けて、止めようとしないのか。悔しさばかりが残る。

ニューヨークタイムズの記事を指して「犠牲者を殺しておいて、その葬儀に向かうようなもの」と評してあった。パレスチナ人一般の欧米のメディアへの不信感を物語る。(ニューヨークタイムズは、お恥ずかしながら日常的に記事や見出しをあまり見ておらずよく知らないが、ハアレツはそれでも右傾化した国のなかで頑張っていると評価はしている)

そして、今日ツイッターでもつぶやいたが、ことさらに「罪のない子どもと女性の犠牲」として、その数の多さが語られるたびに、「男性だって犠牲者だ」と空爆のさなかにつぶやいていたパレスチナ人男性の言葉を思い出す。心に刺さった棘のように、その言葉がよみがえる。本当に、そうなんだよな。男性みんなが「銃を手に取って戦闘員となる」ことを選ぶわけじゃない。違う道を探っているひとが大半だ。「罪のなさ」は、一般市民の男性だって同じだ。

そんなことを考えていたら、じゃあ、銃を手に取って戦闘員となったひとは?と思う。占領がなければ、全然違った人生だっただろう。バーセルもカイスも、最初からそんな道を選んだわけじゃない。バーセルは非暴力抵抗運動の大切さを語り、語り部となって案内人を務め(だから出会ったのだ)、懸命にペンを取ることで訴えていた。カイスも演劇に打ちこんでいた。彼が演出を務めた舞台のリハーサルに付き合った日は、記録係のワタシですらウンザリするくらいの厳しさと熱の入れようだった。出演者の誰もカイスの熱意にはついていけないくらい。それだけ「盗まれた夢」の上演に懸けていた。でも、ふたりとも、銃を手に取ることを選んだ。そのように追い込まれていった。

そんなことを考えていたら、今日はビサンでの大切な「食べて応援」会だったのに、考えがあまりにまとまらず、集中力も欠き、同じく戦闘員として殺されたハムザのくだらない冗談ばかりを思い出し、気持ちがだんだんバラバラになってしまいそうだった。

でも、お兄さんを理由もなく殺されたビサンのスドキさんだって、きっと同じような思いの日があるはずだ。なにも事情を知らないお客さんに、笑顔で料理を作り、出さなきゃいけない日の気持ちを思う。どんな気持でも、心を込めて、やるしかない。

幸い、早めにお店に着いたので、少しスドキさんとふたりで話すうちに、気持ちが落ち着いてきた。スドキさんにオサマさんのお子さんたちの様子をたずねると、「しばらく気持ちが不安定で学校に行けなかった時期もあったみたいだけど、五人の子どもたちの誰でも、きちんと勉強を続けて優秀な成績で高校を卒業して、もし日本で勉強したり働いたりする気があるなら、おじさん(スドキさん)が日本で面倒をみると約束した。子どもたちのお母さん(オサマさんの奥さん)も喜んでくれた。子どもたちも、あなた(オサマさんの奥さん)も幸せになってほしい。そのために自分ができることはするからと伝えた」と聞いた。今回、たくさんの方々がオサマさんのご遺族を思い、お見舞いを寄せてくださった。そんな皆さんのお力も借りて、五人の子どもたちのために継続して応援できたらいいなと、また夢をみる。

そのためにも、ビサンを応援だ、スドキさんを応援だ。

今日の会の目的は、昨日のブログ「明日の準備」に書いたので、繰り返さない。事前にスライドトーク映像『難民キャンプに生きる』をご覧いただいたうえでの参加だったので、ジェニン難民キャンプの話、空爆の話、みんなで観たビリンの映画と日常的な占領と抑圧の話、シェイクジャラや東エルサレムの話、空爆の11日間の話、背後のアメリカの話や国連人権理事会の決議の話をする。

そんな話の、どんより気分を打ち破ってくれたのは、本日の特別メニュー、レンズ豆のスープ、ペースト四種盛り、アラブサラダ、ムサッハン、マクルーベという豪華コース。スドキさんの作るムサッハンは、ワタシが知っていたものよりも煮込み料理寄りだった。いずれにしてもウマウマ。マクルーベはとにかく圧巻。語源となる「ひっくり返す」の実演付き。スドキさん右肩を怪我していたのに申し訳ない。お代わりしても、お代わりしても食べきれない量。みんなパックに入れてお持ち帰りしました。

みんながこの特別コースを「おいしい、おいしい」と大喜びでお代わりして堪能してくれていた姿に、ワタシまで嬉しくなる。

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最初のスープとペースト四種盛り。みなさんの座席には、パレスチナ・オリーブのパンフレットとワタシの写真ポストカードが主催者である友達によって用意された。ご参加のみなさんが、パレスチナ・オリーブのオリーブオイルとザアタルのセットを買って帰ってくださった。

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スドキさんの作るスープは優しい味わい。日本では滅多に食べる機会がないので、美味しさもひとしお。「パレスチナだと『うわー、また豆だ』と思っちゃうのに不思議」とスドキさんに言うと、「わかる!私も家に帰って豆だったらガッカリしていたよ。お肉がない、お金がないときに食べるものみたいな扱いだからね」とスドキさん。でも、ビサンで食べるとガッカリどころか、これを注文して食べたい!って味。

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ムサッハン!やっぱり家庭料理って奥深いなあとしみじみ思う。ワタシが知っていたムサッハンは、焼いたパンの上にオリーブオイルとこの玉ねぎとスマックを重ねてお肉を載せたパリッとしたものなイメージだったから。どちらも美味です。みんなで軟らかく煮こまれたホロホロの鶏肉にむしゃぶりつきました。

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最後のオオトリはマクルーベ!懐かしすぎる。うますぎる。こんな我が儘コースをかなえてくれたスドキさんに、ただただ感謝。

第二回も、できるといいな。ちょっといろいろ時間配分とか考える必要はあるけれど。なかなかコロナ禍では難しい部分もある。お店の座席の半分の定員で、貸し切りにしてもらうためにはある程度の金額のコースにしてもらう必要がある(というか、そこを安くあげようなんて「食べて応援」本末転倒も甚だしくなる)し、そうなると集客のハードルも上がるし。

ということで、第二回「食べて応援」ご参加希望の方は、飲食費と参加費の希望金額(または上限)も併せてお知らせください。

さて、せっかくなので、今日届いたスライドトーク映像のご視聴のご感想をDさんの許可を得て紹介します。DさんとEさんのおふたりのご感想です。というのも、DさんとEさんは、おふたりともオサマさんのご遺族へのお見舞いも先日お寄せ下さり、Eさんはインターネット使用環境がないので、Dさんのお宅で二人一緒にご覧くださって送ってくださったご感想です。

★DさんとEさんのご感想
見終わった後、感想どころか私たち、言葉も出ませんでした。美香さんのお話と、写真を見ているうちに、いつの間にか、パレスチナの方たちが自分の親戚のように思えてきて。本当にこれが、現実に今も起こっていることなのか、信じられない気持ちでした。

私は以前に美香さんのお話や、ご本を読ませて頂いていましたが、すっかり忘れている部分も多く、改めて動画を見て理解が深まりました。
パレスチナの位置や、町の名前や、方角や検問所など。難民キャンプのあのご家族のそれぞれのお名前。オリーブの木を植える話、、、

Eさんも、私も、パレスチナ難民キャンプの人々は、お金や支援が欲しいのではなく、ただ自分たちの土地を返してほしい。普通の暮らしをしたいだけだ。という言葉が、一番心に刺さりました。
そうなんですよね。私たちと同じなんですよね。

美香さんとのご縁で、今まで全く知らなかったことを知る機会が出来て嬉しいです。本当は直接お話を聞いたりしたいのですが、今は仕方ありませんね。
たくさんお聞きしたいことはありますが、貯めておきます。

美香さんの写真集や本をまた開いて見ています。本当にいい写真ばかり。いい表情ばかり。写真は言葉以上の何かを伝えていますね。

ありがとうございました
(おわり)

「お金や支援が欲しいのではなく、ただ自分たちの土地を返してほしい」という言葉は、本当にあちこちでよく聞かされます。「土地」が「故郷」だったり「故郷の思い出」だったり「オリーブの木」だったり「オレンジの木」だったり、「人生」だったり。思い出や愛着はさまざまですが。「(返す気がないなら)補償を、謝罪を、尊厳を」という言葉も。そんなことを思い出しました。

ご感想をありがとうございます。なにが伝わり、なにが伝わりにくかったのか今後の参考のためにも、ぜひともご感想をお聞かせいただければ幸いです。

本のご感想も、いつでもお待ちしております。
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※お申し込みはいったん31日までで締め切ります。ご視聴は31日以降も可能です。

西岸地区最北部のジェニン難民キャンプの家族とその周辺の人々について語ったスライドトーク映像『難民キャンプに生きる』(約50分。拙著『それでもパレスチナに木を植える』の内容とその後の追加取材をスライドトークにしたもの)を、制作者のご協力のもと、カンパへのお礼としてご覧いただくことに決めたので、ご希望の方はお名前(フルネーム)を添えてメールをください。詳細はメールにてお知らせします。(お申し込みは今月いっぱいでいったん締め切りの予定)
mikairv★gmail.com
(★→@に変えて)

どうか、空爆が終わったあとにこそ、引き続きパレスチナに目を向け、関心を向け、すべての不法行為に対して、空爆や停戦と同じ熱意をもって反対してもらえますように。

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2019年、フェアトレードでパレスチナからオリーブオイルやザアタル、石鹸、刺繍製品を輸入販売するパレスチナ・オリーブ代表の皆川万葉さんと共著『パレスチナのちいさないとなみ』(かもがわ出版)を出版しました。パレスチナの「おしごと」をテーマにした一冊です。お近くの書店でお取り寄せが可能です。

パレスチナ・オリーブのサイト
http://paleoli.org/

読後のご感想もお寄せいただければ幸いです。
ネット上でのご投稿やご感想、レビューなどには #パレスチナのちいさないとなみ をつけてご投稿ください。

もちろん、本に挿しはさまれたハガキや、版元ページのご感想記入欄でも。

ネットでは、下記のリンク先などでご購入いただけます。

★『パレスチナのちいさないとなみ』
版元のかもがわ出版のページ
http://www.kamogawa.co.jp/kensaku/syoseki/ha/1026.html


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★過去の著作★

★『それでもパレスチナに木を植える』(未來社)
http://www.miraisha.co.jp/np/isbn/9784624411022
 
アマゾン
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★『パレスチナ・そこにある日常』(未来社) 
版元の未來社のページ
http://www.miraisha.co.jp/np/isbn/9784624410919

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上記の書籍、およびクルドのおかあさんのオヤのネックレスなどを、引き続き二月末まで写真展を開催してくださった古書ほうろうさんにてお取り扱いいただいております。同店のオンラインストアでも購入可能です。
https://koshohoro.stores.jp/

一月から二月の写真展「パレスチナの人びと」について
https://horo.bz/event/takahashimika20210113-0228/


★写真集『ボクラ・明日、パレスチナで』(ビーナイス)

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版元ビーナイスの購入ページ
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国連人権理事会がパレスチナ(グリーンラインの両側とのことなのでイスラエル領含む)での権利侵害、不法行為についての調査団を設立することを採択。占領にも守るべき法があるのに、占領者自体が不法行為をおかしている現状(軍に調査されているともなんとも続報も出てこないが、オサマさんが理由もなく検問所で兵士に殺されたような事件は多発している。残念ながら調査対象外のようだが)では、完全に独立した公正な第三者による調査は必須。

初めてパレスチナに行ったかれこれ20年ほど前、難民キャンプの学校見学に行ったとき、学校の先生が「授業で子どもたちに人権の概念を教えている。でもどうしてパレスチナ人の人権は守られないのか?と子どもたちに問われる」とおっしゃった。子どもたちは、ダブルスタンダードに傷ついている、ずっとずっと。守るべき理想も概念も、すべてのひとに平等に適用されるべきであることは、言うまでもない。

冷徹な力関係のある国際政治では、理想がまかり通らないことは、もうさんざん嫌になるほど見てきたし、知ってはいるけれど、それでも自分が国籍を持つこの国が、誰に遠慮(言うまでもないな)してか、なにを忖度してか、この大切な決議に賛成でも反対でもなく、棄権と投じたのは、本当に情けないことだと思う。

明日は、友達の主催で「ビサンで食べて応援」第一回を開催。お兄さんを殺されたスドキさんを元気づけること、お店で「食べて応援」することでお店にお金を落とすこと、オサマさんの事件を忘れずに語り続けること、ニュースにもならなくなったパレスチナのことを語り続けること、とにかく、できることを続けていくために、とりあえずリハーサルのような第一回目を開催。お店を貸し切りにしてもらい、メニューにない特別コース料理を用意してもらい、パレスチナの映画をみんなで観るという静かな会。(今後参加をご希望の方は、ぜひご一報ください。ある程度の人数が集まる見込みがあれば開催できます)

そうそう、現在視聴申し込み受付中のスライドトーク映像『難民キャンプに生きる』をご視聴くださった方からご感想をいただいたので、ご本人の許可を得て公開します。同じような疑問やご感想をお持ちの方にもご参考になればいいなと思いました。拙著やスライドトークを未読未見の方には「なんのこっちゃ」ですみません。

★Bさんのご感想とワタシの返事

・「遠い過去よりユダヤ人にパレステナの土地が侵略されているのはわかりました。」
について
(高橋の返事)
ユダヤ人が侵略しているというのは必ずしも正しい訳ではなくて、正しくはシオニストが侵略しています。そのシオニストの中にユダヤ人のシオニストもいるということです。ユダヤ人のなかでも、シオニズムに反対をしている人、神が望み給うときにユダヤ教徒(ユダヤ人)は「約束の地」(現在のイスラエルやパレスチナ自治区など、範囲の解釈は様々)に帰還するべきであり、人為的に無理やりイスラエル国をつくり、帰還するのは神の意志に反するとして、反対しているユダヤ教徒などもたくさんいます。
※補足※
世俗派のユダヤ人(イスラエル人も外国籍の人も含む)で侵略に反対しているひとの存在や、その「侵略」とはどの範囲を侵略というのかなど、この点はとても一文で書き表すことができないテーマなので、この場では割愛。一国家のなかで完全に平等な権利を持つ市民として共存をという考えのひともいれば、オスロ合意に基づき定められたパレスチナ自治区(東エルサレム含む)への「侵略(入植含む)」には反対といういうひともいる。

上記で言いたいのは、「イスラエル人=ユダヤ人=シオニスト」では決してないということの一点。そこを分けて考えないと、話がメチャクチャになる。ひとによって考えも立場も様々。「パレスチナ人=ハマース支持=テロリスト」では決してないのと同じこと。

・「同じパレスチナでも歓迎される場所(人)、歓迎されない場所(人)があるということも知ることができました。私のような第三者の勝手な解釈で歓迎されるのだろうな…という思い込みはあった。」
について
(高橋の返事)
歓迎される場所や人がある、というよりも、その姿勢が問われていたのだと、私は理解しています。虐殺は住民の心の傷だったのに、ヒョッコリのこのこと現れて「話を聞かせて」なんて、無神経でどれだけ傷をえぐることなのかと、いまの自分にはわかります。そのときは、思い上がっていたのだと思います。自分が無意識に掲げる「伝える使命」に思い上がりがあったのだと。その後、難民キャンプに「家族」ができて、再び「家族」と一緒に、同じハワーシーン地区に住む家族の友人を尋ねました。当時、お兄さんをふたり殺された妹から話を聞きました。結局、そういう丁寧な関係づくりが大切なのに、それができていなかった、自分が招いたことです。

・「殉教者について泣いてはいけない天国に行くのだから、とはイスラームの教えの中で善行(故郷のパレスチナを取り戻す行動)したということなのでしょうか。若者が貧しさと絶望でやることを見いだせなくなり戦闘員になってしまう......という話は以前に聞いたことがありましたが現実にそのような状況なのですね、悲しい悪循環が止まらないということも。」
(高橋の返事)
すべてのことは神が定められたこと、神の御意志であるから、泣くなというのは(たとえ、タテマエであっても)よく言われます。そのように考えないと、信じないと、辛すぎて前に進めないのだと理解しています。

・「そして生きるための仕事は全世界共通だけれど、抑圧されたなかでの生きるための仕事はそれと全く違いますし、仕事も辛いだけでなく明るく出来る事もあるのにその光景を辛いだろうな、苦しいだろうなと傍観している私自身は結局のところ他人事とという現実がありどう反応してよいかわからなくなります。バンドゥーラは忘れられない言葉ですね......  」
について
(高橋の返事)
他人事というのは仕方ないことだと思います。会ったことも話したこともない人のことを、自分のこととして理解するのは難しいし、それは当然の感覚だと思います。私だって、先日ブログにも記しましたが、オサマさんが殺されたとき、胸を痛めながらも、スドキさんのお兄さんだと気づくまでは、どこかやはり「他人事」でした。でも、一歩一歩なんだと思います。ブログを読んで、本を読んで、スライドトークを聴いて、ビリンの私の「家族」や友人、ジェニンのマハやアワード家のみんなのことを、身近に感じてくださっている方も増えました。なかには、直接自分でFacebook等を通じてビリンの私の友人に声をかけたり、友達になったりする人も。そういうことの積み重ねなのだろうと思っています。

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★Cさんのご感想
マハさんだ…
ムハンマドさんだ…
と…

美香さんの本を読み
何度かのイベントや
今回の配信で

私のなかに
だんだんと
パレスチナに住んでいる方々の
生身の人間としての有り様が感じられるようになってきています…

ハムザさんの死、カイスさんのこと…

テレビでテロリストみたいに言われるハマスのなかに
確かにひとりひとりの人間がいるということ…

(今回の衝突で
ヤジードくんと同じ年の子が亡くなった時に
背筋の寒くなった自分の感覚をふくめ)

美香さんの発信は
パレスチナを知る入り口になっていると思います。

たくさんの人にみてほしいと思いました。
(おわり)

ご感想をありがとうございます。なにが伝わり、なにが伝わりにくかったのか今後の参考のためにも、ぜひともご感想をお聞かせいただければ幸いです。

本のご感想も、いつでもお待ちしております。
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ブリンケン国務長官がイスラエルとパレスチナを訪問した。

出てきた話は、トランプ前政権の政策とは一転(部分的に)して、東エルサレムにトランプ前政権が閉鎖した総領事館を再開するとか、ガザへの緊急支援として550万ドル(約6億円)を供出するとか、パレスチナの経済開発支援として7500万ドル(約81億円)を供出するために議会に求めるとか、支援組織や団体などを通じて3200万ドルを支援するとか。まあ、見事にカネカネカネ。「カネさえ与えときゃ黙るだろう」と言わんばかりに。実際に、それで黙ってしまう輩がいるから困りものだ。「支援」をとおした汚職や腐敗が人びとの話題にのぼらない日はない。もはや、政府高官にクリーンなイメージを抱けるひとは皆無に近い。

「もう、たくさんだ」と多くのひとが思っているけれど、それをカタチにできるシステムもない。それこそが、占領のひとつのカタチ。イスラエルやアメリカにとって都合のいい人間だけが、その「ふさわしい」座に据えられる。「黙る」ことと引き換えに。「黙らされる弱さ」よりも、札びらで頬を叩き「黙らせる」方こそが責められるべきではあろう。実際に「黙ら」なければ、安心して畳の上ではなくベッドの上で最後を迎えられない不安ばかりが募るだろう。その立場になってみれば、自分もそうなのかもしれない。でも、そうやって民の苦しみに向き合わず、占領の片棒を担ぎ、民に背を向けるあいだに、人びとは殺され続ける。その「無能」と無策のせいで。

そして、そのことを批判し続けたバーセルは、死へと追いやられた。

でも、そのことを批判し続けているヘブロンのユース アゲインスト セトルメンツ(入植に反対する若者たち)のイーサはブリンケンと会談した。アメリカ政府が「ガス抜き」ではなく、もし本気で少しはパレスチナの「普通の人びと」の声に耳を傾ける気があるのなら、それは「希望」と呼んでもいいものなのかもしれない。かなり半信半疑ではあるが。

そんなことを昨晩から今日にかけて考え続けた。

ただ、甘い「希望」を抱き夢見るのはいいが、忘れてはならないのは、巨額のイスラエルへの武器援助、軍事援助や武器の売却がほぼあいだも置かず、同政権に同時期に承認されていることだと、自分の言い聞かせる。武器を売り、儲けるためにふんだんに使わせ(それがガザ空爆であり、日々の占領)、壊しておいて、再建の「援助」を約束する。常識的に考えればそんな「支援」をするくらいなら、壊さなきゃいいのに、壊す前に止めればいいのにと思いがちだが、使わなきゃ、壊れなきゃ、儲けの余地がない。すべてがカネ儲けのため。得をするのは誰?

そんなことのために、ひとが殺される。失われた命、奪われた人生は二度と戻らない。

「殺しはもうたくさんだ」これは、ナザレに描かれた壁画(写真)に書かれていた言葉。そんな当たり前の思いを、願いを、世界が聴こうとする日は来るのだろうか。

2014年の「停戦」から一年後に、ガザの知人が「世界はもう忘れたの?何千人と殺されなければ思い出してももらえないの?」といらだちをあらわにした。封鎖は終わらず、電気も水も医薬品も、生活に必要なものも届かない、また、たとえあっても買えない苦境は、なにも変わらなかった。世界はあれからも、ずっと「黙ってみて」いた。そして、世界の目が向けられない無関心の年月を経て、また同じことが繰り返された。多くの一般市民が殺された。

絶望的なほど、同じことの繰り返し。言葉は伝えるためにあるはずなのに、まるで伝えられない、伝わらない、届かない哀しさ。あと、どれだけ繰り返せば、終わりが来るのだろう。

殺しはもうたくさんだ、占領も封鎖も住民追放も家屋破壊も抑圧も人権侵害も超法規的処刑も弾圧も、もうたくさんだ。みんなの苦しみも涙も悲しみも、もうたくさんだ。

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★『それでもパレスチナに木を植える』(未來社)
http://www.miraisha.co.jp/np/isbn/9784624411022
 
アマゾン
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★『パレスチナ・そこにある日常』(未来社) 
版元の未來社のページ
http://www.miraisha.co.jp/np/isbn/9784624410919

アマゾン
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上記の書籍、およびクルドのおかあさんのオヤのネックレスなどを、引き続き二月末まで写真展を開催してくださった古書ほうろうさんにてお取り扱いいただいております。同店のオンラインストアでも購入可能です。
https://koshohoro.stores.jp/

一月から二月の写真展「パレスチナの人びと」について
https://horo.bz/event/takahashimika20210113-0228/


★写真集『ボクラ・明日、パレスチナで』(ビーナイス)

http://www.amazon.co.jp/ボクラ(Bokra)%E3%80%80明日、パレスチナで-ビーナイスのアートブックシリーズ-高橋-美香/dp/4905389275/ref=sr_1_2?ie=UTF8&qid=1421878540&sr=8-2&keywords=ボクラ%E3%80%80明日

版元ビーナイスの購入ページ
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他人様にお見せする前に自分もスライドトーク映像「難民キャンプに生きる」を観てみた。

タラタラしたバカ丸出しの喋り方や言葉の選び方の癖、もちろん顔をさらすことも含めて、もう二度と観たくないような暗澹たる気持ちで観終えたが、でもどこにも出向いて喋ったりできないいま、「伝えるため」この方法を取ることもやむを得ない。アホ面、バカ丸出しのタルイ喋り方の見苦しさはお許しください。

案の定、「停戦」相成り、空爆が止まると、人びとの話題にのぼることもなくなった。「数」というものは残酷なほど正直なもので、目を向けられることも、注目されることも、たった数日でグッと減ってしまったことを実感する。

普段一番よく使っているツイッターのRTやいいねの数にもそれが顕著に表れる。さらにこの段階を越えると、今度はいったん「空爆のさなかにだけ増えたフォロワー」がグッと減っていく。これは、いつものことだ。悲しいくらい、空爆や軍事侵攻など「目に見えやすいことが起きている」ときしか、目も向けられない。空爆だけがパレスチナを苦しめているのではないと、何百回繰り返しただろう。ときどき、あまりに届かない言葉を言い続ける自分にも、それを伝える力のない自分の無能にも、その「目も向けられないあいだ」にどんどん静かにひとが殺され、傷つけられ、人生を破壊され続けることにも、虚しさを感じて、何もかもを投げ出したくなる。逃げ出したくなる。

ときどき、じゃないか。そんな気持ちになることの方が、ずっと多い。「伝えることができた」という実感なんて、本当に僅かなものだ。伝わらない(自分の無能によることを含む)絶望感8割、伝わったという喜び2割くらいが(もしくは9・1か)、ここまでの「通算成績」というのが実感。

何度繰り返しても不十分な気がするが、「目も向けられないあいだ」に、オサマさん(十条ビサンのスドキさんのお兄さん)が、なんの理由もなく検問所で殺されたことは、生涯忘れることはないだろう。ひと月以上が経っても、いまだに一日に数回は考えてしまう。なんの理由もなく50発もの銃弾をぶっぱなし殺した犯人たち(検問所で任務に就いていた兵士たち、たとえ致命傷を与えた銃弾は頭部への一発だったとしても、四方八方から撃った部隊員すべて、そして特にその司令官)は、いまどう考えているのだろう。軍がいつも通り真実を隠蔽し、「なかったこと」にしようとも、願わくば、一生己の良心の痛みを抱えて生きてほしいと願う。どうか真実が明らかにされますようにと願うけれど、残念ながらその可能性はとても低いと思う。いままでのいろんな事件の裁判や調査結果を鑑みると、期待もできない。

「世界の目が向けられない」占領されたパレスチナの日常ってどんなものだろう?そのひとつの例として、「難民キャンプに生きる」アワード家のお話をスライドトーク映像として用意した。
↓↓↓
西岸地区最北部のジェニン難民キャンプの家族とその周辺の人々について語ったスライドトーク映像『難民キャンプに生きる』(約50分。拙著『それでもパレスチナに木を植える』の内容とその後の追加取材をスライドトークにしたもの)を、制作者のご協力のもと、カンパへのお礼としてご覧いただくことに決めたので、ご希望の方はお名前(フルネーム)を添えてメールをください。詳細はメールにてお知らせします。(お申し込みは今月いっぱいでいったん締め切りの予定)
mikairv★gmail.com
(★→@に変えて)

どうか、空爆が終わったあとにこそ、引き続きパレスチナに目を向け、関心を向け、すべての不法行為に対して、空爆や停戦と同じ熱意をもって反対してもらえますように。

今日は、スライドトーク映像をご覧くださった方からいただいたご感想を紹介したい。

★Aさんのご感想
拝見しました。
直後に言葉にするのは、なかなか難しいなと…。

そんな事が当たり前であって良い筈がないのに、身近な誰かが亡くなる事を当たり前に受け入れている人々。
それどころか、「殉教」「天国で安らかになれた事を喜んでやれ」と言う意識。

彼らがどれほど今の暮らしから「安らぎ」を得られていないのか。
ちょっと考えれば、安らげる様な状況で無い事は当たり前なのに。

先日Twitterでシェアいただいた、書店が瓦礫となってしまった男性の嘆きも思い出しました。

作っても作っても壊される悲しみ。
やがて作ること、育てることも、馬鹿馬鹿しくなってしまっていたのかなと、
美香さんが木を植えようと言い始めた時の最初の兄弟たちの反応を聞いて思いました。

だけど、オリーブだけじゃなくてレモンも。
そして鶏小屋を作ってニワトリも。
その場所が子供達の憩いの場にもなって。

最後の方の写真でレモンの木もオリーブの木もしっかり育って、ニワトリも沢山いて…。
涙が出ました。

自分がそれほど「土地」に対する執着がないので、実感は出来ていないのだと思いますが、
「安心して生きる糧を生み出せる場」を奪われてしまった人たちが「難民」なのかな、とぼんやりと思いました。

「演劇」も、それを生業とする人々にとっては「自己表現」に留まらず「生きる糧を生み出す場」でもあるのだろうなと思い、その活動も思う様には出来なくて、より直接的な手段として、武器を取ったり地下に潜ってしまったりするのだろうか、とも。

演劇好きなもので、余計にその辺りはしみじみと考えてしましました。
日本でも、かなりの演劇関係者が、コロナ禍前から、優れた方達であっても、なかなか生業としては成り立っていない状況でもありますし。

パレスチナの、カマールの演劇を、いつか観てみたいです。

この、日本で普通に暮らしていては、なかなか触れる事の出来ない世界を肌で感じて来た美香さんが、
でも淡々と、説明をされているお姿にも、心震えました。

スライドトークを拝見して、大変遅れ馳せながら、「パレスチナのちいさないとなみ」を古書ほうろう様のネットショッピングで発注させていただきました。
こちらも大切に拝読させていただこうと思います。
(おわり)

「作っても作っても壊される悲しみ」というお言葉に、ものすごく私自身考えさせられた。

祖父母からは失った故郷の話を聞かされ、父親をあのような姿に変えられ、幼なじみを次々と殺され、抵抗して銃を取っても殺される、でも銃を取らなくても殺される。人間としての尊厳を守ることと、日々の人間らしい生活をいとなむことを両立する難しさ。生活を優先するなら「黙る」しかない、それはパレスチナで出会った多くのひとに聞かされてきた言葉。産業も育たないようにコントロールされ、イスラエル領内への「出稼ぎ」が一番「手っ取り早く稼げる」現実がある以上、通行許可証、労働許可証を手に入れ、それを守り抜くためには「黙る」しかない。

そうやって、巧妙にコントロールされた占領下の日常にも、目を向けられ、風穴を開けるための声をあげる必要がある。

写真は、一家の「弟」カマールの長男イマード(「小悪魔」としてツイッターの昨日のツリーでは紹介)が描いた絵。畑でトラクターに乗って働いているひとの絵。しかも太陽の横にはライオンがいる。なんかもう、この絵をみた瞬間、イマードがもう少し成長して、自分という難民4世を取り巻く環境を知り、占領下の現実に気づくとき、確実にこの無邪気さを奪われてしまう、失ってしまうことが、とてつもなく悲しかったし、この絵が愛しかった。イマードが愛しかった。

かつて、イマードのおじいちゃんのイマード(アブーカマール、拷問を受けて体調を崩して46歳で亡くなった)も、その息子たちカマールもムハンマドもジュジュもサリームも、こんな無邪気さを、夢や希望をたくさん持っていたはずなのに、現実に翻弄されて苦しめられている姿が辛い。

もちろん、悲しみだけじゃない、苦しみだけじゃない、喜びもあるとしても。あまりにも悲しみや苦しみが多いから。思い悩む姿を、あまりにも多くみつめてしまったから。

もう、たくさんだ。占領も封鎖も抑圧も、もうたくさんだ。生きさせろ、自由と尊厳のある人生を彼らに返せと、やっぱり言い続けなければならないのだと思う。どれだけ虚しくても。自分の虚しさなんて、現地のみんなの苦しみに比べれば、何ほどのものでもないことを忘れるな。

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2019年、フェアトレードでパレスチナからオリーブオイルやザアタル、石鹸、刺繍製品を輸入販売するパレスチナ・オリーブ代表の皆川万葉さんと共著『パレスチナのちいさないとなみ』(かもがわ出版)を出版しました。パレスチナの「おしごと」をテーマにした一冊です。お近くの書店でお取り寄せが可能です。

パレスチナ・オリーブのサイト
http://paleoli.org/

読後のご感想もお寄せいただければ幸いです。
ネット上でのご投稿やご感想、レビューなどには #パレスチナのちいさないとなみ をつけてご投稿ください。

もちろん、本に挿しはさまれたハガキや、版元ページのご感想記入欄でも。

ネットでは、下記のリンク先などでご購入いただけます。

★『パレスチナのちいさないとなみ』
版元のかもがわ出版のページ
http://www.kamogawa.co.jp/kensaku/syoseki/ha/1026.html


アマゾンのページ
https://www.amazon.co.jp/s?k=%E3%83%91%E3%83%AC%E3%82%B9%E3%83%81%E3%83%8A%E3%81%AE%E3%81%A1%E3%81%84%E3%81%95%E3%81%AA%E3%81%84%E3%81%A8%E3%81%AA%E3%81%BF&__mk_ja_JP=%E3%82%AB%E3%82%BF%E3%82%AB%E3%83%8A&ref=nb_sb_noss_2


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★『それでもパレスチナに木を植える』(未來社)
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★『パレスチナ・そこにある日常』(未来社) 
版元の未來社のページ
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上記の書籍、およびクルドのおかあさんのオヤのネックレスなどを、引き続き二月末まで写真展を開催してくださった古書ほうろうさんにてお取り扱いいただいております。同店のオンラインストアでも購入可能です。
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一月から二月の写真展「パレスチナの人びと」について
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★写真集『ボクラ・明日、パレスチナで』(ビーナイス)

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長い長い11日間が終わった。でもその11日間の前にエルサレム(特に旧市街やアルアクサーやシェイクジャラ)は常に弾圧の現場の最前線だったし、その前にも西岸地区ビールナバーラ周辺で友達(十条でパレスチナ料理店ビサンをいとなむスドキさん)のお兄さんオサマさんは理由もなく殺されたし、ずっとずっと自分のなかでは「続いて」いる。けれど、あえて書き出しは、この11日間のことから始めよう。

今日、この11日間で殺された方々のお名前をひとりひとり口に出して読んでみた。20分ほどかかった。それが何になる?もちろん、何にもならない。ただ、お名前を口にすることで、終わりのなかなか見えない20分ほどを過ごすなかで、失われた命のことをひとつひとつ考え心から読みあげてみた。向き合おうとしてみた。止められなくてごめんなさいという気持ちをこめて、追悼の気持ちをこめて。でも、それが何にもならなかったことは自分が一番よくわかっている。そんなことをするくらいなら、空爆が始まる前の、命が無残にも奪われる前の20分を費やして、必死に止めなければならなかったのだ。

いつもいつも、空爆が始まり、死傷者数が増大して、途端に世界はパレスチナに目を向ける。でもそれでは遅いのだ。失われた命は決して還ってこないし、怪我を負わされ、家族を奪われ、家や大切なものを奪われ、人生そのものを破壊された人びとにとって、それでは遅すぎる。

そして空爆が終わって、現地の人びとが喜ぶのは当たり前だ。もう殺されなくて済む、もう大切なものを奪われなくて済む、それがたとえ「当面のあいだ」のことだと、パレスチナの人びとにはわかってはいても。

でも、私たちは、安堵したり喜んだり(当然の感情ではある、ワタシだって喜んでいるし、安堵もしている)するよりも、「いまだからこそ」次の犠牲を防ぐために真剣にならなければならない。空爆を止める、「停戦」を求めることと同じくらいの熱意で占領、集団懲罰的な封鎖、抑圧、人権侵害、超法規的処刑など、人びとの目がその喜びや安堵とともにパレスチナに向かわなくなるときにおこなわれていることこそ、止めなければならない。

そう、世界の目が向けられないあいだに、何が起きたのか。繰り返しツイッターなどでもお伝えしているオサマ・マンスールさんの身に起きたことが象徴的だ。一般市民が、自分の自宅がある村の近隣で、車を運転していただけで理由もなく射殺されたこの理不尽さに、世界の目が向けられることは決してなかった。空爆が始まる約ひと月前のことだ。

「目に見えやすい」空爆だけでなく、日常的な状態化した占領による人権侵害や、オサマさんのケースのような兵士による殺人にも目が向けられる社会であったなら、現在進行形のナクバは続いていなかったのに。

オサマさんの事件は、イスラエル紙ハアレツの記事を翻訳者の@nofrills さんが解説を加えながら訳してまとめてくださった記事があるので、ぜひご一読いただきたい。

https://hoarding-examples.hatenablog.jp/entry/2021/05/19/%E3%80%8C%E3%82%A4%E3%82%B9%E3%83%A9%E3%82%A8%E3%83%AB%E3%81%AB%E3%82%88%E3%82%8B%E5%8D%A0%E9%A0%98%E3%80%8D%E3%81%A8%E3%81%AF%E3%81%A9%E3%81%86%E3%81%84%E3%81%86%E3%82%82%E3%81%AE%E3%81%8B

Middle East Eyeなどによると
11日間でガザ地区で殺された方243名
このうち66名が子ども、39名が女性
「空爆は武装組織を狙ったもの」とイスラエル政府は繰り返した。
子どもと女性の犠牲が強調されるなか、「男性だって犠牲者だ」というつぶやきもあった。男性だからって=戦闘員じゃないし、一般市民の男性だってたくさん犠牲になっている。
ガザ地区212名(身元が特定できていない方がさらに31人)
西岸地区29名(うち、ビリン村のイスラーム・ブルナート16歳はワタシも知っている子だった)
イスラエル12名(うち5名がアラブ系いわゆるパレスチナ人、2名がタイから出稼ぎに来ていた方)

空爆が終わったあとにこそ、「次」を止める努力をしなければならない。そうしなければ、また遅かれ早かれ「次」は必ず来る。武器兵器で儲けている会社がある限り、その武器兵器がアメリカからの軍事援助として莫大な金額が注がれている限り。バイデン政権はネタニヤフに「停戦の後押し」を口にしながら、同時期に巨額の武器兵器を売却することを承認したのだから。アメリカはイスラエルの武器輸入の全体の70%以上を供給する国だ。イスラエルへの武器輸出国はドイツ(同24%、この二か国だけで全体の9割以上を担う)、続くのはイタリア、UK、カナダ。近年「セキュリティ」関連の企業を中心に取引を盛んにしつつある日本も決して他人事ではない。

さて、ここまででも十分長くなってしまったので、もう終わりにしたいところだが、常態化した占領のなかで、生き、殺される人々の日常をずっと追い続けているワタシとしては、いまだからこそ、一人ひとりの翻弄され、壊される人生と日常という「ちいさな」話に目を向けてもらいたいと願う。

そのため、西岸地区最北部のジェニン難民キャンプの家族とその周辺の人々について語ったスライドトーク映像『難民キャンプに生きる』(約50分。拙著『それでもパレスチナに木を植える』の内容とその後の追加取材をスライドトークにしたもの)を、制作者のご協力のもと、カンパへのお礼としてご覧いただくことに決めたので、ご希望の方はお名前(フルネーム)を添えてメールをください。詳細はメールにてお知らせします。
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どうか、空爆が終わったあとにこそ、引き続きパレスチナに目を向け、関心を向け、すべての不法行為に対して、空爆や停戦と同じ熱意をもって反対してもらえますように。

(写真はジェニンの学校に描かれていた壁画。多くの少年たちが日々殺され、「殉教者」として描かれている)
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2019年、フェアトレードでパレスチナからオリーブオイルやザアタル、石鹸、刺繍製品を輸入販売するパレスチナ・オリーブ代表の皆川万葉さんと共著『パレスチナのちいさないとなみ』(かもがわ出版)を出版しました。パレスチナの「おしごと」をテーマにした一冊です。お近くの書店でお取り寄せが可能です。

パレスチナ・オリーブのサイト
http://paleoli.org/

読後のご感想もお寄せいただければ幸いです。
ネット上でのご投稿やご感想、レビューなどには #パレスチナのちいさないとなみ をつけてご投稿ください。

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ネットでは、下記のリンク先などでご購入いただけます。

★『パレスチナのちいさないとなみ』
版元のかもがわ出版のページ
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上記の書籍、およびクルドのおかあさんのオヤのネックレスなどを、引き続き二月末まで写真展を開催してくださった古書ほうろうさんにてお取り扱いいただいております。同店のオンラインストアでも購入可能です。
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