
朝、とりたてて子ヤギの出産が珍しいシーンでもなんでもない妹たちは、手伝うそぶりはもとより、ベッドから起きだす気すらないらしく、毛布をアタマまでかぶって寝ていた。昼ごろまで寝ていることが多い妹たちに、ときどきママが「あんたたちいい加減に起きて家事をしなさい!」と怒るものの、知らんぷりを決め込んで寝たふりをしている。「兄貴が夜中に帰って来て腹が減ったって言うから、夜中にわざわざご飯を作ったのよ。もうちょっと眠らせてよ。ああ疲れた」と不貞寝している。
確かに、長男のハミースや三男のヘルミーは、夜遊び(と言っても村の友達と水煙草ふかしてお茶飲んでるだけ)をして帰って来て「腹が減った!」と妹たちを叩き起こしている。不機嫌な顔して返事もせずにキッチンに向かうのが彼女たちの精一杯の反抗。冷蔵庫から自分の食いたいもん探して勝手に食えばいいのになあ…と日本的文化に染まったワタシは寝ぼけマナコで思う。
話が逸れた。階下の家畜小屋に降りてみると、小屋の一角に敷物を敷いて、ゆっくりお茶を飲みながら静かに子ヤギを取り上げるタイミングを待っているパパとママの姿があった。
小屋の向こう側から差し込む光がとてもキレイで、軽々しく話しかけちゃいけないような厳粛な空気を感じて、黙ってシャッターを切った。
生れてくる命に静かに向き合うパパとママ。これがあんたたちの言う「テロリスト」かよ?とイスラエル軍のお偉いさんに、この光景を突き付けたくなった。そんなワタシの怒りや、悲しみや、やりきれなさをよそに「さあ、そろそろかな」とパパがお茶の入ったカップを置いて立ち上がった。
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