世界の笑顔に出会いたい

写真家・高橋美香のブログ。 公園にいたノラ猫のシロと暮らす。 カメラを片手に世界を歩き、人びとの「いとなみ」を撮影。 著作に『パレスチナ・そこにある日常』『それでもパレスチナに木を植える』(未來社)『パレスチナのちいさないとなみ』(共著)『パレスチナに生きるふたり ママとマハ』(かもがわ出版) 写真集に『Bokra 明日、パレスチナで』(ビーナイス)

カテゴリ: わくわく動物園

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宮古へ行く前に、一日だけ盛岡に滞在して、井の頭自然文化園から旅立っていったトラジロウとの再会を果たした。

行く前は、ドキドキしていた。その姿がなかなか見つからなくて、檻の奥の茂みのなかにその頭から背中にかけての縞模様をみつけて、ようやくその姿に出会えた。

でも、トラちゃんは何十分、何時間みつめていても、一向に顔をあげることもなく、茂みの奥で昏々と顔を伏せて寝ていた。ほんの一瞬顔をあげて、手足の身づくろいをして…という姿に心を躍らせたのも一瞬、また顔を伏せて眠り始めた。

井の頭のときのように、毎日のように顔をみに行くこともできず、カメラを取り出してトラちゃんのケージの前に張り付いてシャッターを切れば「またオマエかよ、毎日オマエも好きだにゃあ。プイ」という顔をされることもない。「ああ、トラちゃん、遠くへ行ってしまったんだな」と、すごく寂しい気持ちになった。

井の頭では、いかにしてトラちゃんの気をひき、フォトジェニックな顔をしてもらい、その姿を切り取るか、一方、トラちゃんは、ワタシが気をひこうとアレコレ画策して、うっかりそれに乗せられてしまい、そのことに気付くと必ず「シマッタ」という顔をした。歩いているとき滑ってこけそうになって、あたりを見回してワタシがみていたことに気付いたときもそんな顔をした。ワタシがトラちゃんの顔をじーっとみつめれば目をそらし、たまーに「駆け引き」でワタシが他の方向をみていて、バッとトラちゃんに視線を戻し、彼はワタシの方をみていて目があったときもよくそんな顔をした。そして必ずプイと顔をそらした。その顔が好きだった。そういうどーでもいー遊びが好きだった。でも、もう、そんな日は帰って来ない。

トラちゃんが盛岡へ行くことになったのは、日本全体でのツシマヤマネコの繁殖計画に基づく。盛岡にいたツシマルが繁殖のペアに選ばれ移転して、その穴埋めのためにトラちゃんが盛岡へ。繁殖は成功し、ツシマルには四頭の子どもができた。ワタシのただひたすらエゴイスティックな寂しさ、悲しさも、これで少しは報われたのだろう。分かっちゃいるけど、理屈じゃないのが「恋」というものだ。ワタシは出会ってからずーっと、トラちゃんに恋をし続けている。久しく忘れかけていた若かりし頃の思いのような、「決定的な失恋」みたいな気持ちを、盛岡で味わった。もう二度と、井の頭でのあの日々は帰って来ないのだと、改めて思い知らされた。

「さようなら、トラちゃん」顔を伏せて眠り続ける彼に別れを告げた。なんだか、すごく悲しかった。なんとなく、もう会えない気がした。こんなに辛い気持ちを味わってまで、また笑って会いに行ける気はしなかった。

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子どものころ以来、何十年振りかで福山市動物園に行った。近年一部施設をリニューアルしたとかで、出来たばかりの猛獣館などは、ライオン、トラ、ジャガー、ピューマ、カラカルがいて、とても見やすい展示になっている。

規模は大きくはないが、動物に親近感を抱く「距離感」のいい動物園。大人気なのはアジアゾウのふくちゃん。でも怪我でもしていたのか、機嫌が悪くて、来園者に鼻で砂をかけまくっていた…。

梅雨時期にもかかわらず、この日は天気が良かったこともあって、午後からはそこそこ来園者もあって、賑わっていた。地方の小動物園の果たす地域での役割は決して小さくない。だから頑張ってほしいなあと思う。

開園時、園長さんがわざわざゲートで入園者に「おはようございます」と声をかけていらっしゃった。地元民臭が消えていたのか「どちらからですか?」と聞かれたので「ここの出身ですけど、いまは東京に暮らしていて、数十年ぶりに来てみました」と答えると「それは、それは!昔の面影はあまりないでしょう?」と。あまりに昔過ぎて、なにも覚えていなかった…。

コンデジで撮ったので、ちょっと迫力不足ではあるが。

やっぱり動物園はいいなあ。

日本全国の動物園を、いつかすべてまわれるかなあ?

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脳味噌が溶けそうな暑さがやってきた。

この夏は、本当に忙しくなりそう。

実さんの個展とか、西山監督の「チビチリガマから日本国を問う」上映会とのコラボ写真展とか、カメの歩みのように進む那覇での写真展のこととか、秋に出版する目標の本作りとか。

そして、生計を立てるための仕事は、一回一回の仕事に、資料を読み込み、自分なりのイメージを創って臨まなくてはならないので、これはこれで事前の準備を考えるとなかなか忙しい。

慣れるまでの辛抱なのかもしれないけれど、フリーで仕事をなさっている皆さんは、どうやってオンとオフの切り替えをはかっていらっしゃるのだろう。

写真展の間、パレスチナに戻りたい気持ちがふつふつと湧きあがってきた。

やることに追われるのもいいけど、やるべきことを見失わないように気をつけなきゃ。

写真展会場での、ビリンのカルミー(白血病と闘うハイサムの次男)へのカンパをありがとうございました。今回のカンパは5,834円。カンパの積み立てに足してお預かりします。

その他、作品の売り上げも、近日中にかかった経費を差しい引いたものを計算し、積み立てにまわさせていただきます。ありがとう!!!

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パートナーと彼の実家に行ってきた。パレスチナに行く前にご挨拶に行って以来なので(汗が出るほど)久しぶり。カワイイ甥っ子と姪っ子の成長が著しい。一風変わった「嫁」であるワタシを、いつも少し戸惑いながらも、あたたかく見守って下さる。いつも嵐のように襲撃して(笑)嵐のように帰っていく。「今度はもっとゆっくりして行きなさい」といつも帰り際に声をかけられる。ありがたさと、申し訳なさと入り混じりながらも、あたたかい気持ちになる。

彼の実家の近くにシマリスのいる公園があるので、のんびりチャリンコを漕いで行ってきた。新しく買ったレンズの試し撮りを兼ねて。もう8年も前、まだ付き合ってもいなかったころ、彼の実家にお邪魔して、バーベキューをして、その公園にも行った。その頃はリスの違いも分からないし、多分園内を一周して終わりだったけれど、今回は様々な表情を見せるリスの姿に夢中になった。望遠レンズを持ってこなかったことを後悔しながらも、出来るだけそーっと近づいて撮影。

しかし、どうもパレスチナ、エジプトの旅の最後から気になっていたのが、画面左の上に現われる黒いドット。このカメラをどのレンズとあわせて使っても発生するので、きっと内部にゴミが付着してしまっているのだろう(T_T)キャノンに持っていかなきゃ。でも、パレスチナでじゃなくて良かった…。

さて、これから某誌の編集者の方とお目にかかって「世界のはたらく女性」についての何点かの写真を見ていただくことになっている。少し遠いけど、天気もいいのでメスト君でサイクリング。最近激太りも甚だしいので(笑)

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映画「この土地の2メートル」についてのラストを書き上げようかと思ったけれど、どうしてもその前にアハマドがなぜこのタイトルをつけたのか、本人に聞いてからにしたいので一回休み。

はっきり言って、日常に面白いことなんて何もない日々なので、心とか感性とか、死滅しかけてる気がする。脳細胞も、感じる心も、感性も、すべてが休眠状態みたいな気がしてくる。何をやってもあんまり楽しくないし、誰かと会っていても、よほど気を許している人が相手じゃないと、心から笑ってる気もしない。なんて贅沢な「退屈病」。

日本には、すべてがあるはずなのに、何もないような気がしてくる。あんなに好きだった買い物もどうでもよくなって、何処へ行っても心からドキドキしたり、ワクワクしたり、笑ったりすることが何もない。唯一世界の辺境の話を書いてあるノンフィクションとか紀行とかルポとかを読んでる時と、動物園でシャッター押してる時くらいかなあ…。

まあ、誰にでもそういう時期ってあるよ…って言われてしまうのがオチなんだけど、空っぽのまま、ただ生きてるだけみたいな自分に嫌気がさしてくる。実は、ここ2カ月くらいずっとそんな気分。

写真は先日行った横浜の金沢動物園。インドサイの赤ちゃんとコアラの赤ちゃんがお目当て。

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