






以前住んでいた家は文化園にはチャリンコで行けたので、よく5キロの道のりをぶっ飛ばして行っていたものだ。
ところが、トラジロウがいなくなった。盛岡へも会いに行ったが、毎日のように暇さえあれば顔を出して、写真に撮って「またオマエかニャー」とプイッとされ、それでも気をひくためにいろんな方法を考えだし、心理合戦のようなことを繰り返し、騙されたトラちゃんはブーッツとした表情、瞳になり…と、それこそがワタシの最高のひとときだった…そんな「親密」さ?!は盛岡では持てなかった。
その傷はあまりにも深すぎた。あれから、ずーーっと買い続けていた井の頭自然文化園の年間パスポートを更新しなくなり、滅多に行かなくなり、挙句の果てには井の頭にチャリンコで通える距離に住むモチベーションもなくなり、遠くに引っ越し、ツシマヤマネコの展示のなくなった井の頭自然文化園には行かなくなった。トラジロウの不在を感じることは辛すぎた。
不覚だった。ツシマヤマネコの展示が再開されていたことを知らなかった。たまたま、静かに桜を眺められる場所、たまには動物たちに会いたくなって、なんとなく行ってみたに過ぎなかった。
トラジロウがいた場所にいたのはノリ。顔もたたずまいも行動も、トラジロウとは違った。最初はトラジロウとの違いばかりが目につき、改めてその不在を感じさせられて辛かった。それでも、数時間が過ぎるころには、ノリを愛しく思うようになっていた。帰るころには、自然と「また来ようっと」と心のなかでスキップしているような自分がいた。
そんなわけで、久々の井の頭自然文化園の写真。






