世界の笑顔に出会いたい

写真家・高橋美香のブログ。 公園にいたノラ猫のシロと暮らす。 カメラを片手に世界を歩き、人びとの「いとなみ」を撮影。 著作に『パレスチナ・そこにある日常』『それでもパレスチナに木を植える』(未來社)『パレスチナのちいさないとなみ』(共著)『パレスチナに生きるふたり ママとマハ』(かもがわ出版) 写真集に『Bokra 明日、パレスチナで』(ビーナイス)

カテゴリ: ビリン村のこと

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先週10周年を迎えたビリン村の闘いを描いた「壊された5つのカメラ」のDVDがついに発売開始。

この映画は、友達が撮ったからとか、懐かしい村人がみんな出てるからとかそういうことではなくて、西岸地区が置かれている被占領状態とそのなかでの暮らしが丁寧に描かれているという意味で必見の一本です。

DVDのお求めや、上映会の相談などはコチラの公式HPをご覧ください。
http://www.urayasu-doc.com/5cameras/

ちなみに、上映会などを計画される方、ワタシでよければ、いつでも村の闘いのことを話しに行きます。あまりに遠方である場合はお断りすることもあるかもしれませんが、どうぞご一報ください。

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今年のオリーブ平和映画祭では、アカデミー賞長編ドキュメンタリー賞にもノミネートされた「壊された5つのカメラ」が上映されます。

分離壁と闘う、映画の舞台ビリン村や村人たちについて、上映後にワタシがスライドトークをつとめます。

日時:5月18日(土)1回目10:30 2回目16:30 (二回上映されます)

場所:在日本韓国YMCAスペースY(地下)
   千代田区猿楽町2-5-5
   JR水道橋駅徒歩5分

http://www.ymcajapan.org/ayc/

問い合わせ:03-3233-0633

入場料:一般1000円・学生500円

当日はロビーで写真の展示も予定しています。

是非とも足をお運びください。

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映画「壊された5つのカメラ」をみていると、スクリーンに「兄弟」たちや「家族」やごく親しい友人たちがいるのが不思議な気持ちになるときがある。たくさん印象深い場面も、胸が詰まる場面もあるが、一番好きな場面は、アディーブとハムディが壁の向こうにみんなでつくった小屋のなかで寝そべって壁について話している場面。その場面でカメラが右から順番にそこに座るみんなを映していく。その最後に何も言わずに寝そべって煙草を吸っているパパがじーっとこっち(カメラ)をみる場面。そのパパの顔が最高なのだ。

ビリン村で、好きな友達はたくさんいる。ハムディとハイサムは特別にしても、他にも大切な友達がたくさんいる。でも、とびきり特別で他の誰よりも信頼しているのは、このパパ、ファトヒ・アブーラハマだ。パパとママ(バスマ)は本当に特別なひと。本当の娘のように、いつも大切にしてくれる。

ここ数年、ビリンを去る日はいつも去りがたく、最後にパパが淹れてくれたお茶を飲み、出かけるのが常だった。今年は、いつもどおりパパが淹れてくれたお茶を飲んだ後、大きなバックパックを背負ってパパとママに別れを告げようとすると、パパがひとこと「荷物をこっちへ。送っていくよ」と。

パパは普段口数の多い人じゃない。それどころか、必要のない言葉は何も発しない。パパの実の娘である妹たちは「パパとじっくり話をすることなんてほとんどない。いつもひとことふたこと用事を言いつけられるだけで、パパに笑いかけられることもない。なのに、パパはミカにはたくさん話しかけるし、ミカとは楽しそうに笑うわよね」とあきれる。

「パパ、最後にハイサムの家に挨拶に寄っていくからここでいいよ」と言うが、「じゃあ、ハイサムの家まで送る」とパパは荷物を背中に背負う。ハイサムの家まで、特に何かを話すわけでもなく、トボトボと歩いていく。

ハイサムの家に到着して、玄関が開くと、ハイサムがパパの姿をみつけて驚く。「アブーハミース(パパの通称)どうなさったんですか?まあ、お入りになってお茶でも飲んで行って下さい」「いや、ここまでミカの荷物を持ってきただけだから」と固辞するパパに、「まあ、お茶飲んで行こうよ」とパパを誘い、三人でお茶を飲む。

パパは、ハイサムの家のサロン(居間)に家具らしい家具もないことに驚く。ハイサムの家には初めて入ったそうだ。カルミーの治療のために、ハイサムは家の内装の仕上げも家具も整えられないままだ。しばらく三人でお茶を飲んで、いよいよ出発の時間になった。

バス停に向かうためにハイサムの家を出ようとすると、ハイサムがパパに向かって「荷物も重いので俺が荷物を持って送っていきます」というと「いや、大丈夫。ミカを見送るのが親の務めだから」と重いバックパックを背負う。「じゃあ、よろしくお願いします」と折れるハイサム。ハイサムとハグをして別れた。

そして、バス停でいよいよバスがやってきた。パパは煙草を吸いながら「また帰ってこい」とひとこと。うなずいてバスに乗った。どんどん遠ざかるパパの姿。悲しくてさみしくてたまらないけれど、同時に、このビリン村に帰る場所を用意してくれている「家族」の温かさを思い、その幸運に感謝する。

それから約一年近くが経とうとしている。「壊された5つのカメラ」の上映でパパが出てくるシーンを観るたびに、パパに会いたくて、ママに会いたくてギューっと胸がしめつけられる。あの家に帰りたい。一緒にたき火にあたりながら、他愛もない話をしながら過ごす夜が恋しい。

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このブログでも何度も取り上げてきた、ビリン村の分離壁との闘いを描いた映画「壊された5つのカメラ」の上映会が下記の通り、千葉でおこなわれます。

「壊された5つのカメラ」千葉上映会

日 時:2012年12月22日(土)13:30~(13:00開場)

会 場:千葉市生涯学習センター ホール(千葉市中央区弁天3‐7‐7)

料 金:一般当日1,000円(前売800円) 高校生以下無料

主 催:マルハバ!パレスチナ http://marupale.blog134.fc2.com/

問合せ: 090-5301-8171(岡) E-mail maruhaba.palestine@ac.auone-net.jp

後 援:千葉市教育委員会


13時半から、上映の前に、ビリン村について映画の背景を30分ほどスライドをまじえて話します。

是非とも会場に足をお運びください。

また、下記は大阪での上映のお知らせ
大阪・第七藝術劇場
12月22日(土)〜28日(金) 10:00~
12月29日(土)〜1月4日(金)  12:45~
1月5日(土)〜11日(金) 16:45~
※1月1日(火祝)は休館
★ゲストトーク
 12/23(日)上映後 岡真理さん(京都大学大学院教授)
 12/24(月祝)上映後 役重善洋さん(パレスチナの平和を考える会事務局長)

ワタシのパレスチナの「弟」、ビリン村在住のハムディがいままで撮りためた作品を出版することを計画しています。そのためのカンパをペイパル(ネット上の募金システム)で募っています。以下、本人からのメッセージを貼り付けます。ご協力いただける方は、どうぞよろしくお願いいたします。


Dear SISTER MIKA . I finished my photography collective book, "Roots Run Deep." It is a project portraying life in Occupied Palestine. I am seeking support to publish this book. If you can lend your support, please follow the link to learn more and make a monetary donation. Please share this page with your friends.

http://lifeinwesbank.blogspot.co.il/2012/12/roots-run-deep_5.html

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