世界の笑顔に出会いたい

写真家・高橋美香のブログ。 公園にいたノラ猫のシロと暮らす。 カメラを片手に世界を歩き、人びとの「いとなみ」を撮影。 著作に『パレスチナ・そこにある日常』『それでもパレスチナに木を植える』(未來社)『パレスチナのちいさないとなみ』(共著)『パレスチナに生きるふたり ママとマハ』(かもがわ出版) 写真集に『Bokra 明日、パレスチナで』(ビーナイス)

カテゴリ: 沖縄と金城実さん

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うっかりしているとあっという間に日々が過ぎゆく。ブログの更新も一か月ぶりとなってしまった。日々、書きたいことはヤマのようにある。パレスチナのこと、沖縄のこと、アフガニスタンのこと、日々思うこと…でも、どれも言葉にすることなく、急き立てられるようにまた次の日がやってくる。

この一週間ほど、ずっと沖縄の金城実さんから電話をいただいていた。

参院選で現職の大臣を破り、伊波洋一さんを議員として選ぶことで「民意」を示した沖縄。しかし、その腹いせ、報復かのように高江での「沖縄の基地負担軽減」の名のもとの基地移設、新設工事が始まった。

実さんからの電話に出られず、タイミングよく折り返せず、高江のことでイライラ、キリキリしているワタシは、思いをハガキにしたためて実さんに送った。

三月、大阪のお寺でお話をされる実さんに会いに行こうと、手元不如意なワタシはANAのマイルを使った特典航空券で大阪に旅立つことを予定していた。実さんと奥さんのハツコさんからは「じゃあ、一緒に昼飯を食おう」とお誘いをいただき、その日を心待ちにしていた。昨年九月にアトリエをおたずねしたとき以来の再会となるはずだった。

しかし、システム障害で飛行機は飛ばなかった。マイルを返還してもらって新幹線で行こうにも、その新幹線代もなく、しかも新幹線ではもう間に合わなかった。再会はかなわなかった。

ワタシは、ことあるごとに実さんのことを考える。悩んだとき、迷ったとき、心が折れそうなとき、実さんの言葉を思い出す。電話がかかってきたのも、ちょうどそんなときでもあった。

知花昌一さんと一緒に向かった高江でのことを、電話口で改めて聞かせてくれる実さん。悔しさでキリキリして、現地に向かうことが出来ていないことに焦るばかりのワタシ。生活が苦しいことをいつも気遣い、心配してくださり、ポーク缶を送ってくださったり、「写真展開催のお祝いに」とお金を包んでくださったり、そしてなにより、ご自分の経験を語り「あきらめるな」と励まし続けてくださる実さん。「焦るな。生活を犠牲にするな。おまえはおまえの場所でできることをやったらいい」と、ワタシに言葉をかけてくださる。

けれど、「生活を犠牲にした闘い」を強いられている、また「生活そのものが闘い」にされてしまっている、沖縄を含めた世界中の人々のことを思うと、その不条理さが悔しくて、やりきれなくなる。

ちょうど同じころ、ビリン村の分離壁反対運動に携わる友人(というか悪友)のアシュラフがまた逮捕された。もう何度目なのかは数えきれない。彼の行動をずっとみつめつづけてきたワタシには断言できる。彼は石すらも投げないし、なにひとつ暴力的な行為なども犯さない。しかし村人たちの土地に勝手に入り込んできて「軍事閉鎖区域」に指定し、そこでの一切の行動の自由を奪い、口頭で抗議することだけでも「軍の任務の遂行を妨害した」として逮捕される現実の前で、ワタシは口を開く気力すら失くしそうになり、言葉を紡ぐことをあきらめそうになり、虚しさに負けてしまいそうになるときがある。

欧州某国に「難民」として逃れ、収容され、無一文で過ごしているアフガン人の友のことを思う。カーブルで「電力へのアクセスを求めた」ハザラ人主体のデモが自爆攻撃され、多くの方々がテロの犠牲となった。悲しすぎる。パリやニースやミュンヘンの人々に「祈りをささげる」ひとのうち、いったいどれほどのひとがカーブルで殺されたひとを思い、”pray for kabul”を表明するのだろう。それはアレッポと変えても、バグダッドと変えても、イエメンとしてもいいのだが。。。

そんなことを思い、感情がグチャグチャになっていると、軍に連行され、兵士に取り囲まれているアシュラフが笑顔でパレスチナの旗を掲げてピースサインを掲げている写真が送られてきた。

アシュラフはどれだけ逮捕、収監されても変わらない。兄姉を殺され、自身も兵士に拘束されて目隠しをされて座らされたその場で至近距離から脚を撃ち抜かれたこともある。明らかなリンチ。まさかそのような場面が近隣の家の窓から隠し撮りされているとも知らず、兵士は非道な不法行為を堂々と犯した。撮影者は自身に降りかかる弾圧を予期しながらも、その映像を公開した。

国を相手に「負けると分かっていた」裁判を闘い、裁判の過程でその欺瞞を明らかにしようと試みた実さんも、アシュラフも、ここにその名を挙げることは出来ないけれど、それぞれの現場で闘いつづけている多くの人々も不屈だと感じる。その不屈さゆえに弾圧される。ビリンでも、徹底的に弾圧され続けているのは、アシュラフやアブダッラーのように、徹底的に非暴力で抵抗する「不屈のひと」。それを一番恐れている。

そんなことを考えていると、少しだけ元気が出てくる。自分には「不屈」の強さはないけれど、そうありたいと努力を重ねることくらいは出来そうだ。そう思うと「おまえはおまえの場所で」という実さんの言葉が、心にしみこんでくる。

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まだまだ先の話ですが、9月24日(土)久しぶりに西東京市芝久保公民館の講座ででパレスチナ、アフガニスタンのお話をします。

市内在住、在勤者優先ですが、空きがあれば市外の方も申し込み可能。

お申し込み方法や詳細はコチラ
http://www.city.nishitokyo.lg.jp/enjoy/kouminkan/heiwawokanngaerukouza.html

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丸木美術館、日本教育会館、ギャラリー古藤と続いてきた金城実彫刻展「なまぬるい奴は鬼でも喰わない」巡回は、いよいよ後半戦に突入しました。もう、まさに「戦」。真剣勝負。

この週末は実さんも再び上京され、昨日は国会包囲行動に参加したあと、ギャラリー古藤でのトーク、交流会を終えて、我が家にお連れしました。そして我が家で一泊、今日羽田空港で一緒にラーメンを食べて(ごちそうさまでした)帰途に就かれました。

もう、このあいだの二日間のこと、それより前の丸木美術館期間中の日々のこと、ヤマのように実さんと過ごした宝物のひとときのエピソードがあるのですが、とてもそれをアップする余裕がないことが残念でなりません。

ただひとつ、昨夜、我が家にお連れする前にスーパーに寄って酒を買おうとしたところ、全部の清算が終わって、ふと実さんが売り場へ戻っていかれました。「実さん、なに?買い忘れ?」とたずねると、コメの袋が積んであるコーナーで、しばらくその一角を見渡したあと、おもむろに5圓諒涜泙鮹瓦、レジへと進む実さん。「え?なに?お土産だったらいらないよ」と言うと「うるさいわ、ゴチャゴチャ言うな。これがわしの流儀や」と、なんと我が家への差し入れ。しかも、その一角にあるなかで一番高い米。普段だったら買えない米。

家に着き、うちのパートナーが起きだしてきたので、しばらく三人で語らい、おもむろにうちのパートナーに話しかけながら彼の絵を描く実さん。

翌朝、「なあミカちゃん、わしがなんでおまえのところに泊まりたかったか分かるか?金城実やパレスチナや世界を撮るために走り回るカメラマンであるおまえを支えておるおまえの旦那が気になるし、もっとゆっくり話したかったからや。わしもおまえも同じや。わしを支えてくれた母ちゃん(奥様の初子さん)にわしは感謝しとる。おまえを支える旦那にも感謝しとる。だからもう一回ゆっくり会いたかったんや」と話してくれる。

その愛情の深さに、ワタシはまた心のなかで泣く。嬉しくてね。

そんな人間としての愛情にあふれた実さんがつくりだす作品もまた、生きとし生けるものへの愛情がこめられています。

是非とも足をお運びください。

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【八王子】

5月27日(水)~5月31日(日) 
アミダステーション
開場時間:13:00~19:00 入場無料
※土日は11:00から開場します。

住所:〒192-0082東京都八王子市東町3-4

★5月29日(金)
18:30開場 19:00映画会
「ゆんたんざ沖縄」西山正啓監督作品・110分)
参加費1000円
※アフタートークあり

★30日(土)
13:30開場 
14:00Milkライブ 
15:00映画会「獅子たちの抵抗」西山正啓監督作品
(89分) 
17:00kyatライブ 
18:00終了
参加費:通しのみ2000円(+カンパ)
※アフタートークあり。

★31日(日)
14:00~16:00
高橋美香ギャラリートーク「パレスチナに生きる人々」+映画「ナイントゥファイブ」17分
※分離壁をよじ登って越えてイスラエル領内に働きに行くパレスチナ人労働者の姿を追ったドキュメンタリー。
ダニエル・ガル監督(イスラエル人)
参加費:1000円

【交通】
JR八王子駅・京王八王子駅下車徒歩5分

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本日で金城実彫刻展「なまぬるい奴は鬼でも喰わない」の丸木美術館での展示は終了しますが、来週の日本教育会館での展示を経て、江古田のギャラリー古藤、八王子のアミダステーションと巡回はつづきます。

江古田と八王子では、実さんを三十年以上も撮り続けてきた西山正啓監督の映画の上映、沖縄をテーマに表現するユニットKyatとMilkのライブ、ワタシのパレスチナのスライドトークとイベントも色々なテーマでやります。24日は、金城実ギャラリートークです。

金城実 世界を彫る
東日本巡回彫刻展
【同時開催】高橋美香写真展「写真でみる金城実さんの世界」

【江古田】

5月20日(水)~5月24日(日) ギャラリー古藤
開場時間:11:00~19:00 入場無料
住所:〒176-0006 東京都練馬区栄町9-16

★5月22日
18:30開場 19:00映画会
「チビチリガマから日本国を問う!」西山正啓監督作品・88分
入場料金:1000円
※西山監督が来られる場合は映画終了後アフタートーク

★5月23日(土)
14:00~16:00
高橋美香ギャラリートーク「パレスチナに生きる人々」+映画「車イスのジョディ」30分
※分離壁がつくられ、非暴力で反対運動をしているビリン村の話。ハイサム・アルカィーブ監督(パレスチナ人)
入場料金:1000円

★5月24日(日)
18:00~19:30 
金城 実ギャラリートーク 
ゲスト:永田浩三さん(武蔵大学教授)
19:40~21:30交流会(軽食・飲み物つき)※泡盛持ち込み
入場料金:トークのみ1000円 交流会のみ2000円 トーク+交流会3000円

※イベント時のみ写真集・ポストカードなどの物販を行います。

【交通】
西武池袋線江古田駅下車徒歩5分
都営地下鉄大江戸線新江古田駅A2出口徒歩7分
西武有楽町線新桜台駅2番出口徒歩6分

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【八王子】

5月27日(水)~5月31日(日) 
アミダステーション
開場時間:13:00~19:00 入場無料
※土日は11:00から開場します。

住所:〒192-0082東京都八王子市東町3-4

★5月29日(金)
18:30開場 19:00映画会
「ゆんたんざ沖縄」西山正啓監督作品・110分)
参加費1000円
※アフタートークあり

★30日(土)
13:30開場 
14:00Milkライブ 
15:00映画会「獅子たちの抵抗」西山正啓監督作品
(89分) 
17:00kyatライブ 
18:00終了
参加費:通しのみ2000円(+カンパ)
※アフタートークあり。

★31日(日)
14:00~16:00
高橋美香ギャラリートーク「パレスチナに生きる人々」+映画「ナイントゥファイブ」17分
※分離壁をよじ登って越えてイスラエル領内に働きに行くパレスチナ人労働者の姿を追ったドキュメンタリー。
ダニエル・ガル監督(イスラエル人)
参加費:1000円

【交通】
JR八王子駅・京王八王子駅下車徒歩5分

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現在、東日本を巡回中の金城実さん彫刻展の福島県須賀川市「銀河のほとり」
での開催の詳細が決まりました。

ワタシも会場でパレスチナのスライドトークをします。

★銀河のほとりでつなぐ沖縄・水俣・福島
(1)金城実・彫刻展「生ぬるい奴は鬼でも喰わぬ」
(2)高橋美香写真展「写真で見る金城実の世界」
         「パレスチナに生きる人々」スライドトーク
(3)映画で考える沖縄・水俣・福島の現実
(4)音楽が伝える沖縄、水俣、福島~Milk・Kyatライブ「海は命の宝物」

★6月5日(金)
午前10時30分~有馬克子(銀河のほとり)挨拶
        映画「沖縄・福島~女たちのレジスタンス」上映
午後13時30分~映画「のさり~杉本栄子の遺言」上映&トーク
午後15時~「水俣と福島をつなぐ銀河の輪」交流&紅茶カフェ
      トーク/鎌田千瑛美(田村市・蓮笑庵くらしの学校)
          菅野瑞穂(二本松・きぼうのたねカンパニー)
     終了後、主催&参加者オープニングパーティー(会費制)

★6月6日(土)
午前10時30分~映画「沖縄・福島~女たちのレジスタンス」上映
午後13時30分~映画「獅子たちの抵抗~国策の強制に抗う人々」上映
午後15時30分~写真家・高橋美香スライドトーク「パレスチナに生きる人々」
終了後、「パレスチナ・沖縄・福島をつなぐ」参加者交流トーク&銀河カフェ
午後17時30分~Milk(沖縄八重山民謡を唄う)投げ銭ライブ

★6月7日(日)
午前10時30分~映画「獅子たちの抵抗~国策の強制に抗う人々」上映
午後13時30分~映画「沖縄・福島~女たちのレジスタンス」上映
午後15時~カフェ&トーク「銀河のほとりでつなぐ沖縄・水俣・福島」
午後17時~Kyat クロージングライブ「銀河がつなぐ、銀河でつながる人々」

是非ともお越しください。

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昨年、関西の巡回で大好評を博した、読谷村在住の彫刻家、金城実さんの「なまぬるい奴は鬼でも喰わない」東日本巡回展が本日、丸木美術館を皮切りにスタートしました。

丸木美術館での展示は5月9日(土)まで。
入館料900円で実さんの作品はもちろんのこと、丸木位里、俊さんの「原爆の図」シリーズなどの常設展もご覧になれます。

なんと5月5日(火・祝)には、実さんご本人によるギャラリートークが予定されております。

これまで実さんの作品をご覧になったことのない方も、久しぶりにご覧になる方も、是非とも足をお運びください。

丸木美術館は決して交通の便のいい場所とは言えませんが、ゆったりとした里山のなかにある広々とした空間で、ゆったりと一日自然に触れることもできます。

丸木美術館
http://www.aya.or.jp/~marukimsn/

東日本周辺で、こんな機会はなかなかありません。実さんは大阪で永年暮らしていらっしゃったため関西での展示や講演などは多いものの、関東ではあまりそのような機会も多くありません。

「戦争だけは絶対にしてはならん。子や孫を戦場に行かせてはならん」沖縄戦を体験したおじいの、魂の言葉、彫刻に、是非とも会いに来てください。ワタシからの切なるお願いです。

転載、シェア、拡散、大歓迎です。

言い忘れていました。ワタシの写真「写真でみる金城実さんの世界」も展示中です。、

以下、巡回展はつづきます・・・(予定※日時やイベントの内容などは変更の場合があります※)
彫刻展の入場料は無料です。
各イベント参加費やイベントの追加情報などについては追ってブログ等にてお知らせします。

★5月13日(水)~17(日)日本教育会館(千代田区)
10時から18時

★5月20日(水)~24日(日)ギャラリー古藤(練馬区)
11時から19時
・23日(土)14時からスライドトーク「パレスチナに生きる人々」高橋美香
・24日(日)18時から金城実ギャラリートーク

★5月27日(水)~31日(日)アミダステーション 延立寺別院(八王子市)
13時から19時
・30日(土)14時からMilkKyatライブ
・31日(日)14時からスライドトーク「パレスチナに生きる人々」高橋美香

★6月5日(金)~7日(日)カフェ・レストラン 銀河のほとり(福島県須賀川市)
銀河のほとりがつなぐ沖縄・水俣・福島
金城実・彫刻展を中心に、日替わりイベント
・6月5日(金)
午後~オープニングイベント
映画「のさり~杉本栄子の遺言」上映&トーク
上映&トークは水俣に通い交流をつづけているグループが企画を担当予定
終了後、主催・参加者希望者オープニングパーティー(会費制)

・6月6日(土)
午後~映画「沖縄・福島~女たちのレジスタンス」上映
写真家・高橋美香スライドトーク「パレスチナそこにある日常」
トークは「原発いらない福島の女たち」の活動報告と参加者との意見交換

・6月7日(日)
午後~映画「獅子たちの抵抗~国策の強制に抗う人々」上映
トークは「原発いらない福島の女たち」を中心に
Milk・Kyat(沖縄八重山民謡を唄い、水俣にもつながる女性グループ)によるライブ(要請中)


★6月12日(金)~14日(日)喜多見M.A.P.(狛江市)

主催:金城実東日本巡回展実行委員会
問い合わせ:info★hattori-ryoichi.com
メールを送る際は★を@に変えてください。

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