世界の笑顔に出会いたい

写真家・高橋美香のブログ。 公園にいたノラ猫のシロと暮らす。 カメラを片手に世界を歩き、人びとの「いとなみ」を撮影。 著作に『パレスチナ・そこにある日常』『それでもパレスチナに木を植える』(未來社)『パレスチナのちいさないとなみ』(共著)『パレスチナに生きるふたり ママとマハ』(かもがわ出版) 写真集に『Bokra 明日、パレスチナで』(ビーナイス)

カテゴリ: それでもパレスチナに木を植える

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11月に仙台と石巻で写真展とトークが開催されることになりました。仙台の二か所の会場と石巻の会場の三か所とも展示される作品が違います。ぐるっと三か所を巡ってお楽しみいただければ幸いです。

また、仙台と石巻のそれぞれのトークの内容や進め方も異なります。仙台ではスライドトーク、石巻ではギャラリートークとなります。ぜひ、足をお運びください。

また、会場のひとつである「book cafe火星の庭」では、昨年以降ずっとプリントの販売とお店での『パレスチナのちいさないとなみ』写真展を続けてくださっています。もちろん、長年パレスチナ・オリーブのオリーブオイルや石けんなどのお取り扱いもなさっています。

このたび、写真展開催にあわせて、フォトブック『パレスチナの猫』『シロくんの日々』と、クルドのおかあさんのオヤ(ネックレス、ピアス、ブックマーク)を置いてくださることになりました。こちらもお楽しみに。
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火星の庭での展示写真は、すべて新作、昨年末から今年撮影した作品です。『パレスチナのちいさないとなみ』のその後としてコーヒー屋台のアブーアラア(『いとなみ』では息子のアラアのことを書いた)やヘブロンのクフィーヤ工場の職人さんのお姿も。完全初お目見えのものもあり、20枚すべてこの展示のために新たに刷ったものです(このたびの展示を企画してくださった仙台・石巻の皆様のお陰でもありますし、プリンター購入支援をくださった皆様のお陰でもあります)。どうぞお楽しみに。

(超個人的な話ですが、仙台のトークと写真展会場である日本基督教団東北教区センターといえば、東日本大震災以降ずっと長年ボランティアで通い続けて、長年お世話になっていたのが日本基督教団宮古教会の牧師先生と教会員の方々で、よく日曜日の礼拝のあと「このあと教区の集まりで仙台へ」という話を聞いていたので、「ああ、その場所なんだよな」という、妙な感慨があります。本当にお世話になりました。そして、コロナ以降すっかり足が遠ざかってしまった宮古の皆様、すっかりご無沙汰をして失礼いたしております。。。という、胸の痛みも)

余談が長くなりましたが、みなさまのお越しをお待ちしております。


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開催概要は下記のとおり、パレスチナ・オリーブのHPより転載
11月高橋美香さん写真展&トークイベント(仙台・石巻) - パレスチナ・オリーブ (paleoli.org)

いまさら言うまでもないことですが、パレスチナ・オリーブは『パレスチナのちいさないとなみ』共著者の皆川万葉さんが代表を務める会社です。


高橋美香 写真展&トークイベント(仙台・石巻)
「それでもパレスチナに木を植える」
ー絶望とわずかな希望のはざまでー

 写真家・高橋美香さんはパレスチナに20年以上通い、近年は難民キャンプにある親しい家族の家で居候をして暮らしをともにしながら、そこにある一人一人の日常をこまやかに伝えてこられました。

 この度の写真展では『パレスチナのちいさないとなみ――働いている、生きている』、『パレスチナに生きるふたり ママとマハ』、2023年12月から2024年2月までパレスチナ(ヨルダン川西岸地区)に滞在した際の作品を中心に三会場で展示いたします。それぞれ別内容の展示で、高橋さんが撮影したパレスチナの写真を一挙にご覧いただく機会になります。

 合わせて仙台、石巻でのトークもおこないます。この機会にぜひパレスチナで生きる人たちに会いにいらしてください。

 

主催:「それでもパレスチナに木を植える」実行委員会

共催:パレスチナ・オリーブ、book caafe 火星の庭、エッサイの木、石巻まちの本棚

協力:東北教区センター エマオ

写真展 11月2日(土)〜24日(日)
仙台会場 
book cafe 火星の庭 11:00〜18:00 /火・水定休 
仙台市青葉区本町1-14-30-1F 022-716-5335
エマオ+エッサイの木 10:00〜17:00
エマオ/日・祝定休、エッサイの木/水・日・祝定休 
仙台市青葉区錦町1-13-6 エマオビル1階 022-223-2736 
<トークイベント>
パレスチナの暮らしを知っていますか? vol.6
高橋美香スライドトーク「それでもパレスチナに木を植える」
日時:11月2日(土) 14:00~16:00(13:30開場)
会場:東北教区センターエマオ 3F大会議室
参加費:1,200円 定員:80名
申し込み:フォームからお申し込みください。(要予約)
*エレベーター、バリアフリートイレあり。

石巻会場
石巻 まちの本棚 11:00〜18:00/土日月営業
宮城県石巻市中央2丁目3-16
<トークイベント>
高橋美香ギャラリートーク
日時:11月4日(日) 14:00~16:00(13:30開場)
会場:石巻 まちの本棚
参加費:1,200円(オリーブオイル試食付き)
*聞き手:皆川万葉(パレスチナ・オリーブ)
定員:15名
申し込み:フォームからお申し込みください(要予約)

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なお、引き続き次の取材・撮影の資金作りのためにプリントの販売もいたしております。
詳細は下記のブログ記事をご覧ください↓
プリントセール2024 : 世界の笑顔に出会いたい (livedoor.blog)

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二か月もブログの更新が滞ってしまった。いや、ブログの更新に限らない。「発信」という事柄から遠ざかっていた。この二か月のあいだの気持ちを一言であらわすのは難しい。でも、ただでさえ自分のやっていることの意味を頻繁に見失いがちで、自分自身との闘いに負けそうになるワタシに追い打ちをかけるような事柄が相次いだ年末年始だった。

プツンと糸が切れてしまったようだった。パレスチナと関係のないことならいくらでも向き合う気力が湧くというのに、パレスチナと向き合う事柄となると、途端にしんどくてたまらなくて、逃げ出したい気持ちになった。原稿を書こうとしても、資料をあたろうとしても、発信しようとしても、フリーズしてしまう自分がいた。

そんなさなか、先輩の古居みずえさんから、「イスラーム映画祭の『乳牛たちのインティファーダ上映でトークをしない?」と声をかけていただいた。こんな状態の自分でいいのだろうか?いまの自分にひとさまの面前で話せることなどあるのだろうか?断った方がいいんじゃないか?そう思いながらも、とりあえず古居さんとお会いして、話をしてみた。先輩に「もう疲れたから縁側で猫と座ってお茶を飲んでいたい」と心情を吐露しつつも、心は久しぶりにパレスチナへと飛んでいた。話したいこと、伝えたいこと、本当はたくさんある。とりあえず、「自分にできることがあるのなら」と、お引き受けしてみた。

そして、イスラーム映画祭の藤本さんから『乳牛たちのインティファーダ』をみせていただいた。実は以前にテレビで放映された版を実家で録画してもらっていたのだが、なかなか全部を観ることができないままだった。

「イスラエルから牛乳を買わされるなんてもうたくさんだ。自分たちで乳牛を飼って牛乳を生産しよう」と考えた第一次インティファーダ期のベイトサフールの住民たちの物語。「教育水準が高い、クリスチャンの村」は非暴力抵抗運動を村ぐるみで始める。牛乳生産はその一環。

物語はシニカルで、当時の映像でまかないきれない部分は再現映像としてアニメが用いられている。それが余計にこの映画のクスッと笑えるおかしさを増幅させているように思える。占領当局が18頭の乳牛たちを「お尋ね者」にして捜索するその「おかしさ」は、現在もなにも変わらないなあと思う。非暴力抵抗運動を「引き継いだ」ともいえるビリン村では、占領軍が村に撃ち込んだ催涙弾のキャニスターを集めて作った「抵抗のアート」が「安全保障上の理由」から捜索、没収されたことがあった。

「この賢さ、強さがパレスチナだよなあ」と感心しながら画面をみつめ続ける。胸が熱くなるような気持になる。「どれだけ弾圧を受けても、次のひとが、後に続く世代が立ち上がる」と聞かされた、そんな言葉も思い出す。

とはいえ、その強さの裏で払わされた犠牲の大きさ、悲しみの大きさも描かれる。一昨日から繰り返し流れてくるエルサレム旧市街のアラブ系住民(パレスチナ人)アブアサブ家の悲劇(三世代にわたって旧市街に住み続けている一家が、家を奪われ追い出され、そのあとに入植者が入居した。裁判所によると1948年以前この家は『ユダヤ系住民のものであった』として、アブアサブ家に立ち退きを命じた。拒否した一家の主と息子は逮捕、連行され、連行される際の家主の男性の涙が、たまらない気持ちにさせる。一家は元の家を追われてここ旧市街にたどり着き、三世代が過ぎたが、一方で西エルサレムやイスラエル領内で暮らしていた難民や避難民が1948年以前の自分たちの家の所有権を主張したり、認められたりするケースはない。入植者には許されても。。。)が心に重くのしかかったまま、エンディングを迎える。

かつて若かりし頃のワタシは、本を読みまくり、映画を観まくっていた。知らない世界を少しでも知るための一歩が映画や本だと思って。久しぶりに、そんな気持ちを思い出した。

インティファーダの意味、人びとがなにを目指して、なんのために大きな犠牲を払って闘うのか、そんなことを教えてくれる映画だった。

3月21日(木・祝)18時50分から上映される『乳牛たちのインティファーダ』上映後に、そんな人びとの「闘い」のことを古居さんとお話します。

イスラーム映画祭
http://islamicff.com/

写真は映画の舞台、ベイトサフールから眺めた虹。忘れもしない某年12月24日、25日のクリスマスをベツレヘム、ベイトサフールで過ごしたのだった。クリスマスの朝、窓の外を眺めると虹がかかっていた。この虹の下に、映画に出てきたみんなが暮らしていて、同じ朝を迎えていたんだなあと思うと、なにやらこの写真がまた違ったものにみえてくる。

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12月15日土曜日、国立の「カフェ・れら」(国立市東1-16-7)において、取材と支援活動でそれぞれ出会ったパレスチナとアフガニスタンのあるふたりの女性(難民キャンプの女性と山あいの小さな学校「山の学校」の卒業後母校の教師をしながら大学に通う卒業生)とその家族の暮らしからみえてくるものについてスライドを用いてお話します。

なお、当日販売予定のアフガニスタンのクラフトは「山の学校」の現地での協力なサポーター、アフガニスタン在住の安井浩美さんの主宰される会社シルクロードバーミヤンハンディクラフトの商品です。これらの品を買うことで同社で働く女性たちの工賃や賃金として生活を支える一助となっています。パレスチナのハンディクラフトはビリン村の女性たちが作ったものが主になります。

以下、お店からのご案内を転載します。

写真は一例です。必ずしも当日同じものがあるとは限りません。

<高橋美香さんのお話&スライド>
〜戦禍に生きるパレスチナとアフガニスタンの人びとの日々の暮らしを見つめて
12月15日(土曜)pm6時〜 1時間位を予定しています。
\1000

*高橋美香
写真家。著作に「それでもパレスチナに木を植える」「パレスチナ・そこにある日常」など。アフガニスタン山の学校支援の会運営委員。

<手織り 手刺繍のクラフト展>
12月15日〜25日 11:45〜20:00
*高橋美香さんが取材や支援活動の中で出会ったパレスチナ、アフガニスタンの女性たちの作品です。
生活 自立支援のための販売、是非見にいらしてください!

カフェ・れら

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昼間、PCの前に座り込み「さあこれから某原稿を整えよう、そのあとは府中のお話会の準備をしよう」と思いながら、なにげなくツイッターを見ていたら、いつもお世話になっている(どれだけお世話になっているかを書いたら、それだけで、ひとつの記事ができあがる)ビタミンティーの店主さんこと石塚さん(@Tee_vitamin)のつぶやきが強烈に目に飛び込んでくる。

「やってもやらなくても誰も文句を言わない。この落とし穴が一番コワい」と。

雷に打たれたような気持ちになり、しばらくなにも手につかなくなった。

「まったく同感、激しく同意。誰も文句を言わないし、誰も困らない。毎日この落とし穴にハマる。毎日一度は『もうこんなことやめて違う生き方しよう』と惑う。それでも同じところへ戻る。この繰り返しとの闘い。苦笑。」と引用RT。

本当に、日々この落とし穴との闘いだ。自分自身との闘いでもある。忍耐力のテストのようでもある。一日に一度は「もうこんな生き方はやめよう。もっと『まっとうな』生き方をしよう」と思ったりもする。そんなとき、必ず思い出すのがパレスチナの友達のお母さんのこと。

彼女には、長い長い説教をくらったことがある。「ミカがパレスチナに通い、費やすお金をミカの身の回りのひと、家族や友人のために使ってあげなさい。そのお金で家を買いなさい。家族を大切にしなさい。もっと堅実に日本で生きていきなさい。もうパレスチナには来ない方がいい。そのお金でできることが日本でたくさんあるはずよ」と。要点をまとめると、そういうこと。

正論だろうと思う。ごもっともだと思う。いろんな意味で「忍耐」を繰り返してくれている家族のことを思うと、否定しきれない言葉でもある。「これがワタシの仕事だ」とデカイ顔をしようとしたところで、「その『仕事』ではまともに食ってもいけない」という現実がある。自分のライフワークと決めた仕事、金を稼ぐための仕事のあいだで揺れる。では、パレスチナ通いも「趣味」と割り切るか?趣味ならこの「割に合わなさ」も納得できるのだろうか。

でも、やはりライフワークは自分の人生、生き方そのものだと思う。この生き方は変えられそうもない。「堅実に生き」る「まっとうな」「分別のある」ワタシだったら、出会えなかったことがヤマのようにある。パレスチナとも、エジプトとも、アフガニスタンとも、沖縄とも、宮古とも、またそこで生きるワタシの大切な人々とも、決して出会えなかっただろう。そして公園のノラ猫だった愛猫シロとも。

まわりまわって、ようやくまた肯定感が芽生えてくる。

前出の友達のお母さんは、16歳で10歳以上年の離れた親戚の男性と結婚。結婚して子どもを産んで育てるとともに夫(友達のお父さん)の家業であった結婚披露宴会場の設営(昔は屋外のテントが多かった)の手伝いの一環で、花嫁のためのサロンを経営、ヘアメイクと着付けや飾りなどの仕事に携わってきた。やがて結婚披露宴会場の設営は受注が減り、夫は家業を廃業。友達のお母さんは人気店であったサロンを維持し続けた。

友達を国外の大学に留学させるため、お母さんはサロンを人手に渡し、そのお金を長男であるワタシの友達の将来に託した。その友達ラーエドのことや彼と過ごした「エジプト革命」後の日々のことは、拙著『それでもパレスチナに木を植える』に書いた。東エルサレムで生きる一家やその周辺の人々の苦悩を垣間見た日々だった。

この四年間、ことあるごとに彼女の長い長いお説教を思い出す。今日の写真は、お説教を受けながら、ラーエドがお説教を受けるワタシに忍び笑いの視線を送りながら、一緒に食べた朝食の写真。

「よく来たね」と言われることはヤマほどあっても「もう来るな。パレスチナより自分の人生を考えろ」と言われたのは初めてだった。生き方は変えられないけれど、この言葉を忘れようとは思わない。戒めの言葉として、忘れないでいたい。



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広島県府中市で「パレスチナのいま」と題されたスライドトークをおこないます。

日時:10月9日(火) 10時から11時半

場所:府中市文化センター3階会議室
   府中市府川町70番地

参加費:千円(飲み物、お菓子付き)
ワタシもアラビックコーヒーを持ち帰るように努めますね!ご来場のみなさまにもお召し上がりいただけるように努めます。もし実現しなかったらお許しください。

ご参加のお申し込みは、こちらのページからも可能です
フェイスブックのイベントページ
https://www.facebook.com/events/244782982893460/

お申し込み・お問い合わせ
miho_bluemoon★yahoo.co.jp(★を@に変えて)
杉原さん

みなさまのお越しをお待ちしております。

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『それでもパレスチナに木を植える』(未來社)
店頭にない場合は、書店でご注文いただければ幸いです。
http://www.miraisha.co.jp/np/isbn/9784624411022

アマゾンからも購入できます。
http://amzn.asia/bUm0U7i



また、引き続き、下記の二冊の本のご注文もお待ちしております。

『パレスチナ・そこにある日常』(未来社) 重版が決定しました。
版元の未來社のページ
http://www.miraisha.co.jp/np/isbn/9784624410919

アマゾン
http://www.amazon.co.jp/s/ref=nb_sb_noss?__mk_ja_JP=%83J%83%5E%83J%83i&url=search-alias%3Dstripbooks&field-keywords=%83p%83%8C%83X%83%60%83i%81E%82%BB%82%B1%82%C9%82%A0%82%E9%93%FA%8F%ED&x=10&y=21

写真集『ボクラ・明日、パレスチナで』(ビーナイス)
http://www.amazon.co.jp/ボクラ(Bokra)%E3%80%80明日、パレスチナで-ビーナイスのアートブックシリーズ-高橋-美香/dp/4905389275/ref=sr_1_2?ie=UTF8&qid=1421878540&sr=8-2&keywords=ボクラ%E3%80%80明日

版元ビーナイスのページ
http://benice.co.jp/index.html

最寄りの書店でも、お取り寄せ可能です。

著者のサイン入りをご希望の方は、
mikairv★gmail.com(★を@に)までご一報ください。
ただし、この場合恐れ入りますが、本代と送料実費を頂戴します。

写真集『ボクラ・明日、パレスチナで』に収められた写真のカード、Tシャツ、トートバッグをこちらからお求めになれます。
ビタミンTeeのページ
http://www.vitamin-tee.jp/?mode=cate&cbid=985137&csid=1

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呼びかけに応じてカンパにご協力くださいましたみなさま、本当にありがとうございます。「自分の代わりにオリーブの苗木を植えてきて」「オリーブじゃなくてレモンの木でも構いません」「木を植えるよりも必要とされているところがあればそちらにまわして」「あなたの判断でどのように使ってもらっても構わない」「収監されているカマールの支援に」「○○家のために」…などなど、様々なリクエストとともにお預かりしました。できるだけ意に沿えるように努めます。

パレスチナ行きの楽しみのなかで、一番大きいのは、やはりみんなとの再会。でも、今回は逮捕、収監されているビリン村のアシュラフ、ジェニン難民キャンプの居候先の長男カマールには会えないだろう。とくにカマールとはたくさん話したいこともあったし、去年チャットをしているときには「ミカ、日本からのお土産はヒヨコがいいな!育ててこちらの鶏と掛け合わせてみたい」と楽しそうに語っていたことを思うと、胸がしめつけられる。

そのカマールを、彼が気乗りしないまま無理やり苗木を買うために農場に行くのにつれて行って、「さあ、オリーブの木を買うよ。ワタシは本気だよ。植えよう」というと、ため息をついて「わかったよ。ミカにはかなわないよ。でも、俺はレモンの木がほしいな」と言わせた、それがあの一家の裏庭に木を植え、家畜小屋を作る最初の一歩だったことを思い出す。カマールがほしがったレモンの木。そのレモンの木は、いまもたくさんの実をつけてくれているのかな?

三年、そのあいだにカマールには次男のハムザが誕生し、その矢先に逮捕され、三男のジュジュは結婚し、と少しずつ変化があった。そんな一家を見守ってきた木々は順調に成長しているのかな?

土地や木に親しむ機会を奪われたまま、故郷から遠く隔てられ、カマールたちのように故郷を見たこともないまま狭い難民キャンプで育っている難民の三世や四世たち。「本当にこんな土地に根付くのかな、本当に枯らさずに育てられるのかな?」と不安をもらした兄弟たち。「枯れたらまた植えればいいよ。やってみようよ」とワタシは答えた。命ある木には申し訳ないけど。

殺されたマジドやハムザのことをよく思い出す。きっとアイツらも生きていたら、木を植えるのを手伝ってくれただろう。「うちにも植えたい」と言ってくれたかもしれない。でも、もう彼らはいない。

繰り返し言うように、木を植えたくらいで何かが変えられるわけじゃない。根本的に彼らの助けになれるわけでもない。マジドもハムザも、去年はバーセルもが死んでいったように、彼らの過酷な人生を変えられるわけじゃない。生きているあいだに、このまま何人の死と向き合わなきゃいけないのだろうと、耐えられなくなりそうな気持ちになるときもある。それが「弟」たちだったら、ワタシは自分の無力さ、無策を一生許せないだろう。

それでも、彼らを見守りたいと思う。どうでもいい冗談を投げかけ続けたいと思う。そのことと、自分が植えた木に会いに行くのは、きっと、同じことなのだろうと思う。


写真は植えたレモンの木と、カマールの妹エリヤ、カマールの長男イマード
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約三年ぶりにパレスチナへ行ってきます。

友人からのリクエストもあり、今回も必要とされる場所で、託されたお金を使って、託してくださる方の代わりにオリーブの苗木を購入して植えてきます。詳細は拙著『それでもパレスチナに木を植える』をご覧ください。

また三年前のように、急に計画を現場のニーズに合わせて変更することもあるかもしれません。いきなり家畜小屋を作り始めるかもしれません。木を育てたこともない難民の一家の豊かとはいえない瓦礫だらけの土壌に、育つかどうかわからないものを植えることになるかもしれません。それは、拙著に記したとおりです。また、ヨルダン渓谷などの状況が厳しい場所での畑や建造物再生プロジェクトへの参加、カンパにまわすかもしれません。「絶対にどこで、なにをします」と明確にはお伝えできずにお預かりすることになります。

もし、それでも構わなければ、ありがたくお預かりして、最善の使途を探って参ります。そして三月、ご報告いたします。

もしご協力いただける方は、mikairv★gmail.com(★を@に)へご連絡ください。出発の都合上、おおむね今月15日くらいまでにご連絡をお願いいたします。

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●『それでもパレスチナに木を植える』(未來社)
店頭にない場合は、書店でご注文いただければ幸いです。
http://www.miraisha.co.jp/np/isbn/9784624411022

アマゾンからも購入できます。
http://amzn.asia/bUm0U7i



また、引き続き、下記の二冊の本のご注文もお待ちしております。

●『パレスチナ・そこにある日常』(未来社) 
版元の未來社のページ
http://www.miraisha.co.jp/np/isbn/9784624410919

アマゾン
http://www.amazon.co.jp/s/ref=nb_sb_noss?__mk_ja_JP=%83J%83%5E%83J%83i&url=search-alias%3Dstripbooks&field-keywords=%83p%83%8C%83X%83%60%83i%81E%82%BB%82%B1%82%C9%82%A0%82%E9%93%FA%8F%ED&x=10&y=21

●写真集『ボクラ・明日、パレスチナで』(ビーナイス)
http://www.amazon.co.jp/ボクラ(Bokra)%E3%80%80明日、パレスチナで-ビーナイスのアートブックシリーズ-高橋-美香/dp/4905389275/ref=sr_1_2?ie=UTF8&qid=1421878540&sr=8-2&keywords=ボクラ%E3%80%80明日

版元ビーナイスのページ
http://benice.co.jp/index.html

最寄りの書店でも、お取り寄せ可能です。

著者のサイン入りをご希望の方は、
mikairv★gmail.com(★を@に)までご一報ください。
ただし、この場合恐れ入りますが、本代と送料実費を頂戴します。

●写真集『ボクラ・明日、パレスチナで』に収められた写真のカード、Tシャツ、トートバッグをこちらからお求めになれます。
ビタミンTeeのページ
http://www.vitamin-tee.jp/?mode=cate&cbid=985137&csid=1

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