世界の笑顔に出会いたい

写真家・高橋美香のブログ。 公園にいたノラ猫のシロと暮らす。 カメラを片手に世界を歩き、人びとの「いとなみ」を撮影。 著作に『パレスチナ・そこにある日常』『それでもパレスチナに木を植える』(未來社)『パレスチナのちいさないとなみ』(共著)『パレスチナに生きるふたり ママとマハ』(かもがわ出版) 写真集に『Bokra 明日、パレスチナで』(ビーナイス)

タグ:中東情勢

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昨日、追記したトップページの記事でもお知らせしましたように、『パレスチナのちいさないとなみ』出版に合わせたトークイベントを、開催することになりました。

以下、FBイベントページより転載(一部加筆)

★★★★

高橋美香出版記念イベント
“パレスチナのちいさないとなみ”かもがわ出版(皆川万葉氏と共著)

日時:6月21日(金)19時・22日(土)14時 (開場は各回30分前)
場所:M.A.P.
狛江市岩戸北4-10-7-2階
小田急線喜多見駅徒歩五分
料金:3,000円
(ご希望の方には高橋美香サイン入り)書籍代1,800円+税を含む
※すでに購入済みの方及びご家族でお越しの二人目から1,200円
※高校生以下 500円(+書籍の場合2,300円)
ご予約・お問合せ:03-3489-2246(M.A.P.)

FBイベント参加ボタンでの申し込みの場合は、一言メッセージをお願いします。
https://www.facebook.com/events/277705859806281/


【プログラム】
~虻臓織僖譽好船米?膵嶌詑荵庵董聞盪垣擬兊甘?
高橋美香スライドトークショー
 仕事からみるパレスチナ“働いている、生きている”
※22日の土曜日のゲストとして、共著者の皆川万葉さんがいらしてくださることになりました。

【皆川万葉さんの御紹介】
パレスチナ・オリーブ代表
現地を継続的に訪問・交流しながら、1998年から仙台で数人のスタッフと活動。主に「ガリラヤのシンディアナ」からフェアトレードでオリーブオイルやオリーブ石けんを輸入・販売。生産者の背景やパレスチナの状況を伝える『ぜいとぅーん』を発行。
http://paleoli.org/

【高橋美香プロフィール】
写真家。広島生まれ。
世界の国々を歩き、人びとの「いとなみ」をテーマとして撮影、作品を発表。
アフガニスタン山の学校支援の会運営委員。
著書『パレスチナ・そこにある日常』『それでもパレスチナに木を植える』(未來社)、写真集『ボクラ(Bokra)・明日、パレスチナで』(ビーナイス)。
http://blogs.yahoo.co.jp/mikairvmest/

★★★★

みなさまのお越しをお待ちしております。

また、シェア、転載など、ご周知いただければ幸いです。

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二か月もブログの更新が滞ってしまった。いや、ブログの更新に限らない。「発信」という事柄から遠ざかっていた。この二か月のあいだの気持ちを一言であらわすのは難しい。でも、ただでさえ自分のやっていることの意味を頻繁に見失いがちで、自分自身との闘いに負けそうになるワタシに追い打ちをかけるような事柄が相次いだ年末年始だった。

プツンと糸が切れてしまったようだった。パレスチナと関係のないことならいくらでも向き合う気力が湧くというのに、パレスチナと向き合う事柄となると、途端にしんどくてたまらなくて、逃げ出したい気持ちになった。原稿を書こうとしても、資料をあたろうとしても、発信しようとしても、フリーズしてしまう自分がいた。

そんなさなか、先輩の古居みずえさんから、「イスラーム映画祭の『乳牛たちのインティファーダ上映でトークをしない?」と声をかけていただいた。こんな状態の自分でいいのだろうか?いまの自分にひとさまの面前で話せることなどあるのだろうか?断った方がいいんじゃないか?そう思いながらも、とりあえず古居さんとお会いして、話をしてみた。先輩に「もう疲れたから縁側で猫と座ってお茶を飲んでいたい」と心情を吐露しつつも、心は久しぶりにパレスチナへと飛んでいた。話したいこと、伝えたいこと、本当はたくさんある。とりあえず、「自分にできることがあるのなら」と、お引き受けしてみた。

そして、イスラーム映画祭の藤本さんから『乳牛たちのインティファーダ』をみせていただいた。実は以前にテレビで放映された版を実家で録画してもらっていたのだが、なかなか全部を観ることができないままだった。

「イスラエルから牛乳を買わされるなんてもうたくさんだ。自分たちで乳牛を飼って牛乳を生産しよう」と考えた第一次インティファーダ期のベイトサフールの住民たちの物語。「教育水準が高い、クリスチャンの村」は非暴力抵抗運動を村ぐるみで始める。牛乳生産はその一環。

物語はシニカルで、当時の映像でまかないきれない部分は再現映像としてアニメが用いられている。それが余計にこの映画のクスッと笑えるおかしさを増幅させているように思える。占領当局が18頭の乳牛たちを「お尋ね者」にして捜索するその「おかしさ」は、現在もなにも変わらないなあと思う。非暴力抵抗運動を「引き継いだ」ともいえるビリン村では、占領軍が村に撃ち込んだ催涙弾のキャニスターを集めて作った「抵抗のアート」が「安全保障上の理由」から捜索、没収されたことがあった。

「この賢さ、強さがパレスチナだよなあ」と感心しながら画面をみつめ続ける。胸が熱くなるような気持になる。「どれだけ弾圧を受けても、次のひとが、後に続く世代が立ち上がる」と聞かされた、そんな言葉も思い出す。

とはいえ、その強さの裏で払わされた犠牲の大きさ、悲しみの大きさも描かれる。一昨日から繰り返し流れてくるエルサレム旧市街のアラブ系住民(パレスチナ人)アブアサブ家の悲劇(三世代にわたって旧市街に住み続けている一家が、家を奪われ追い出され、そのあとに入植者が入居した。裁判所によると1948年以前この家は『ユダヤ系住民のものであった』として、アブアサブ家に立ち退きを命じた。拒否した一家の主と息子は逮捕、連行され、連行される際の家主の男性の涙が、たまらない気持ちにさせる。一家は元の家を追われてここ旧市街にたどり着き、三世代が過ぎたが、一方で西エルサレムやイスラエル領内で暮らしていた難民や避難民が1948年以前の自分たちの家の所有権を主張したり、認められたりするケースはない。入植者には許されても。。。)が心に重くのしかかったまま、エンディングを迎える。

かつて若かりし頃のワタシは、本を読みまくり、映画を観まくっていた。知らない世界を少しでも知るための一歩が映画や本だと思って。久しぶりに、そんな気持ちを思い出した。

インティファーダの意味、人びとがなにを目指して、なんのために大きな犠牲を払って闘うのか、そんなことを教えてくれる映画だった。

3月21日(木・祝)18時50分から上映される『乳牛たちのインティファーダ』上映後に、そんな人びとの「闘い」のことを古居さんとお話します。

イスラーム映画祭
http://islamicff.com/

写真は映画の舞台、ベイトサフールから眺めた虹。忘れもしない某年12月24日、25日のクリスマスをベツレヘム、ベイトサフールで過ごしたのだった。クリスマスの朝、窓の外を眺めると虹がかかっていた。この虹の下に、映画に出てきたみんなが暮らしていて、同じ朝を迎えていたんだなあと思うと、なにやらこの写真がまた違ったものにみえてくる。

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「パレスチナねこ歩き!」、こんなどーでもいートピックを選べるのも、とりあえずガザへの空爆が止み「停戦」となったからこそだ。一昨日の晩は気が気じゃなくて眠れなかった。「おまえが寝ようが寝まいが、俺がどれだけ気にしようがしまいが、そんなこととはまったく無関係にやられるときはやられるし、停まるときはときは停まる」と自嘲気味に西岸の友がワタシに言う。本当にそのとおりだ。やりきれなさと、どうにもできない苛立ちは、「同じパレスチナ人」である彼の方が何百倍、何千倍も大きいだろう。

思いつくことをランダムに書きなぐることをお許しいただきたい。

昨晩「停戦」と聞いたとき、ほっとした気持ちが一番先に来たが、でも「オオカミ少年」の話を連想して冷ややかな気持ちになったことも確かだ。「停戦」を破ったのは誰か?戦争をしたいのは誰か?イスラエル軍の空爆とハマースのロケットをまるで「対称」のように扱い、報道されるのはなぜか?ガーディアン紙が報じたように、ガザに潜入したイスラエル軍の特殊部隊員の将校は「殺された(killed)」とされ、その作戦遂行を援護するための空爆か交戦で殺されたとみられるハマースの戦闘員は「死亡した(died)」と表現されるのはなぜ?

さもハマースの飛ばすロケット弾に「報復」のために空爆をしたようなニュアンスの報道が続いたが、その「非対称性」とともに、封鎖を続け、占領にも最低限の法の順守が必要なことすらないがしろにしたまま、破り続けているのは誰か?ガザの漁師さんたちはなぜ海に漁に出ているだけで殺されなければならないのか?非人道的な封鎖が続いているのはなぜ?そんなことがアタマをグルグルまわる。

以前、難民キャンプのかーちゃんが「イスラエル軍も政府首脳も言うまでもなくクソだけど、若者たちの命を使い捨てにする『武装組織』の幹部たちもクソだ」と言ったその言葉が忘れられない。そして、その母親の言葉に反発する息子の「ハマースのような抵抗組織こそが唯一残された希望」という言葉も、彼の幼なじみたちの死も。死ぬとわかっていて「武装組織」の戦闘員として死んでいったハムザのことはことさらに。

難民キャンプの若者たちの「希望のなさ」については、拙著にも綴った。冗談ばかり言って笑っていたハムザが、その裏ではどれだけ苦しんでいたのか、収監されている「弟」も、「武装組織」の戦闘員としてお尋ね者になり長く収監されている「弟」の親友もしかり。

やっぱり、やりきれないね。

でも、この「やりきれなさ」を綴り続けるしかないのだろうと思う。あまりに希望が見えなくて、正直に言えば「もうなにもかも忘れたい」「違う世界(?そんなものどこにある?)に行きたい」とも思う。その繰り返しばかりだ。

そんなことを考えながら、やっぱり彼らの苦しみに思いをはせながら、あえて能天気なパレスチナのネコの写真を選び出してみる。ワタシのアタマのなかも、この文章と写真のギャップも、グチャグチャだ。でもそれが偽らざる姿なのだから仕方ない。

「停戦」したからって、彼の地の苦境はなにも変わらない。必要なのは封鎖の解除、占領の終了。それが言いたいこと。

写真はすべて2013年の写真。いま、次の本の出版を目指して、パレスチナで撮った写真のすべてを見返している。本の詳細は、もう少しハッキリした段階でお知らせします。お楽しみに。

ねこと言えば、うちのシロは今日も元気です。

追記
現地の報道では、今回のそもそものコトの始まり、ガザに潜入して(殺されたハマースのコマンダーを拉致する計画だったとも)作戦遂行中に殺されたイ軍特殊部隊のコマンダーも怪我を負った隊員もドルーズの兵士とのこと。何重にも複雑な思いがする。

言うまでもなくアラビア語を母語とするドルーズには兵役があり、しばしば最前線でパレスチナ人と対峙させられる。兵役拒否すれば自分が投獄される。

なかには「ユダヤ系ではない」という視線、部隊内での差別を跳ね返すため、進んで先頭に立ちパレスチナ人弾圧を担う人もいるし、ドルーズに限らずベドウィンやクリスチャンの志願兵やボーダーポリス含め職業軍人になる人もいる。彼らはその弾圧の現場の先頭で、「同じアラブ系じゃないのか?」「裏切り者」と罵倒、憎悪を一身に浴びている、そんな様子も目にしたことがある。それを指して「近親憎悪」とある人は言った。

分断を強いている者は高笑い。複雑な思いが増す。

空爆だけが犠牲をもたらすのではない。社会、人びとの分断もまた深刻な「犠牲」。

再追記
やりきれなさが増すのは、ハマースの飛ばしたロケット弾で亡くなったひとりは、ヘブロン出身のパレスチナ人「出稼ぎ」労働者の男性とのこと。

たいていイスラエル南部には迎撃システムやシェルターが完備されていて、犠牲者は多くは出ない。報道によると、亡くなった男性が入れるシェルターがなかったよう。

まるで「使い捨て」のような「出稼ぎ」労働者のこの犠牲。本当にやりきれなさが増す。

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昼間、PCの前に座り込み「さあこれから某原稿を整えよう、そのあとは府中のお話会の準備をしよう」と思いながら、なにげなくツイッターを見ていたら、いつもお世話になっている(どれだけお世話になっているかを書いたら、それだけで、ひとつの記事ができあがる)ビタミンティーの店主さんこと石塚さん(@Tee_vitamin)のつぶやきが強烈に目に飛び込んでくる。

「やってもやらなくても誰も文句を言わない。この落とし穴が一番コワい」と。

雷に打たれたような気持ちになり、しばらくなにも手につかなくなった。

「まったく同感、激しく同意。誰も文句を言わないし、誰も困らない。毎日この落とし穴にハマる。毎日一度は『もうこんなことやめて違う生き方しよう』と惑う。それでも同じところへ戻る。この繰り返しとの闘い。苦笑。」と引用RT。

本当に、日々この落とし穴との闘いだ。自分自身との闘いでもある。忍耐力のテストのようでもある。一日に一度は「もうこんな生き方はやめよう。もっと『まっとうな』生き方をしよう」と思ったりもする。そんなとき、必ず思い出すのがパレスチナの友達のお母さんのこと。

彼女には、長い長い説教をくらったことがある。「ミカがパレスチナに通い、費やすお金をミカの身の回りのひと、家族や友人のために使ってあげなさい。そのお金で家を買いなさい。家族を大切にしなさい。もっと堅実に日本で生きていきなさい。もうパレスチナには来ない方がいい。そのお金でできることが日本でたくさんあるはずよ」と。要点をまとめると、そういうこと。

正論だろうと思う。ごもっともだと思う。いろんな意味で「忍耐」を繰り返してくれている家族のことを思うと、否定しきれない言葉でもある。「これがワタシの仕事だ」とデカイ顔をしようとしたところで、「その『仕事』ではまともに食ってもいけない」という現実がある。自分のライフワークと決めた仕事、金を稼ぐための仕事のあいだで揺れる。では、パレスチナ通いも「趣味」と割り切るか?趣味ならこの「割に合わなさ」も納得できるのだろうか。

でも、やはりライフワークは自分の人生、生き方そのものだと思う。この生き方は変えられそうもない。「堅実に生き」る「まっとうな」「分別のある」ワタシだったら、出会えなかったことがヤマのようにある。パレスチナとも、エジプトとも、アフガニスタンとも、沖縄とも、宮古とも、またそこで生きるワタシの大切な人々とも、決して出会えなかっただろう。そして公園のノラ猫だった愛猫シロとも。

まわりまわって、ようやくまた肯定感が芽生えてくる。

前出の友達のお母さんは、16歳で10歳以上年の離れた親戚の男性と結婚。結婚して子どもを産んで育てるとともに夫(友達のお父さん)の家業であった結婚披露宴会場の設営(昔は屋外のテントが多かった)の手伝いの一環で、花嫁のためのサロンを経営、ヘアメイクと着付けや飾りなどの仕事に携わってきた。やがて結婚披露宴会場の設営は受注が減り、夫は家業を廃業。友達のお母さんは人気店であったサロンを維持し続けた。

友達を国外の大学に留学させるため、お母さんはサロンを人手に渡し、そのお金を長男であるワタシの友達の将来に託した。その友達ラーエドのことや彼と過ごした「エジプト革命」後の日々のことは、拙著『それでもパレスチナに木を植える』に書いた。東エルサレムで生きる一家やその周辺の人々の苦悩を垣間見た日々だった。

この四年間、ことあるごとに彼女の長い長いお説教を思い出す。今日の写真は、お説教を受けながら、ラーエドがお説教を受けるワタシに忍び笑いの視線を送りながら、一緒に食べた朝食の写真。

「よく来たね」と言われることはヤマほどあっても「もう来るな。パレスチナより自分の人生を考えろ」と言われたのは初めてだった。生き方は変えられないけれど、この言葉を忘れようとは思わない。戒めの言葉として、忘れないでいたい。



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広島県府中市で「パレスチナのいま」と題されたスライドトークをおこないます。

日時:10月9日(火) 10時から11時半

場所:府中市文化センター3階会議室
   府中市府川町70番地

参加費:千円(飲み物、お菓子付き)
ワタシもアラビックコーヒーを持ち帰るように努めますね!ご来場のみなさまにもお召し上がりいただけるように努めます。もし実現しなかったらお許しください。

ご参加のお申し込みは、こちらのページからも可能です
フェイスブックのイベントページ
https://www.facebook.com/events/244782982893460/

お申し込み・お問い合わせ
miho_bluemoon★yahoo.co.jp(★を@に変えて)
杉原さん

みなさまのお越しをお待ちしております。

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『それでもパレスチナに木を植える』(未來社)
店頭にない場合は、書店でご注文いただければ幸いです。
http://www.miraisha.co.jp/np/isbn/9784624411022

アマゾンからも購入できます。
http://amzn.asia/bUm0U7i



また、引き続き、下記の二冊の本のご注文もお待ちしております。

『パレスチナ・そこにある日常』(未来社) 重版が決定しました。
版元の未來社のページ
http://www.miraisha.co.jp/np/isbn/9784624410919

アマゾン
http://www.amazon.co.jp/s/ref=nb_sb_noss?__mk_ja_JP=%83J%83%5E%83J%83i&url=search-alias%3Dstripbooks&field-keywords=%83p%83%8C%83X%83%60%83i%81E%82%BB%82%B1%82%C9%82%A0%82%E9%93%FA%8F%ED&x=10&y=21

写真集『ボクラ・明日、パレスチナで』(ビーナイス)
http://www.amazon.co.jp/ボクラ(Bokra)%E3%80%80明日、パレスチナで-ビーナイスのアートブックシリーズ-高橋-美香/dp/4905389275/ref=sr_1_2?ie=UTF8&qid=1421878540&sr=8-2&keywords=ボクラ%E3%80%80明日

版元ビーナイスのページ
http://benice.co.jp/index.html

最寄りの書店でも、お取り寄せ可能です。

著者のサイン入りをご希望の方は、
mikairv★gmail.com(★を@に)までご一報ください。
ただし、この場合恐れ入りますが、本代と送料実費を頂戴します。

写真集『ボクラ・明日、パレスチナで』に収められた写真のカード、Tシャツ、トートバッグをこちらからお求めになれます。
ビタミンTeeのページ
http://www.vitamin-tee.jp/?mode=cate&cbid=985137&csid=1

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Eid Mubarak!現地は犠牲祭を迎えた。エジプト、パレスチナ、アフガニスタンの友人から「おめでとう」の挨拶をもらう。

もう四年も前のことになるが、2014年に14年ぶりに現地で犠牲祭の日々を迎えた。ジェニン難民キャンプや、エルサレムの友人宅やあちこちの家から「犠牲祭はうちで過ごしな」とお誘いをいただいていたが、一番強靭に「イード(祭り)の日くらいうちにいなさい」というママの言葉を振り切れなかったので、犠牲祭はビリン村で過ごすことになった。

子どもたちは、新しい服を買ってもらい、おもちゃを買ってもらい、ごちそうが食べられることにはしゃぎまわっている。大人たちは、短い祝日のあいだにどう効率よく親戚へのあいさつ回りをこなしていくか、頭を悩ませている。

散髪を済ませ、きれいな服に身を包み、親戚へあいさつに行く。子どもたちにはイーディーヤというお年玉のようなお小遣いや小さな子にはお菓子が配られる。ワタシもすっかり増えた「甥や姪」に配るため、服を買ってあげるため、けっこうなお金を使ってしまった。

訪問した家では、この日のために用意されたクッキーやナッツがコーヒーとともにふるまわれる。これを欠かしてはならないと、イードの前には菓子屋に行列ができる。お菓子作りが得意なひとなら自分で焼く。

肉屋では、小屋につながれた羊を選び、それを購入した人が見守るなか、肉屋さんが羊を屠る。頸動脈を切り、血をできるだけ出し切った後、足からつるしてナイフで皮をはいでいく。そのあとは部位ごとに切り分けていく。余裕のある人は、自分の家族が食べる部分をのぞいて、親戚、近所、また地域の自治会のようなものやモスクを通じて恵まれない人に肉を配る。みんながみんな肉を買えるわけではないので、こうやって配られたお肉が「年に一度か二度のごちそう」という家庭もある。

ビリン村にも何軒か肉屋がある。必ずしもショーケースに肉を入れた店舗として構えているわけではなく、要望があればその場で屠って切り分けるという肉屋もある。マハムードの肉屋もそんな一軒で、大忙しの叔父を手伝うために二ダールが手伝っていたのを撮影に行ったのがこの写真。頸動脈が切れた血まみれの羊の写真もたくさんあるが、ここではやめておきましょうか。

このビリン村が舞台の、分離壁との闘いを描いた映画『壊された5つのカメラ』のなかで、逮捕、拘束されて、軟禁されて、何度も撃たれて怪我を負って、それでも毎週のように分離壁反対デモにカメラを片手に向かおうとする監督のイマードに向かって、奥さんのソライヤが「今日は行かないで、イードなのに」という場面がある。このひとことが、ものすごく印象に残っている。

どんなにおめでたい、お祝いの日でも、そこに抑圧と占領があり、それに抗うために命を懸けて出向く村人の姿。そして、逆に、どんなにひどい抑圧や占領の日常があろうとも、人びとはイードを祝い、日常を続けていく姿。そのどちらもが、パレスチナの人々の姿。

なにはともあれ、ムスリムの友みんなが心穏やかなイードを過ごせますように。

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8月29日、30日に川崎市とどろきアリーナで予定されている「軍事見本市」開催に反対します。

オリンピック開催に向けて「安全対策」の名のもとに、パレスチナの人々を監視し、人権を侵害し、抑圧、暴力をともない、傷つけ、殺しながら開発されている「安全保障関連の品々」を出品する見本市。

29日には、開催される場合は、会場となるとどろきアリーナ入り口前レンガ広場において11時半より「イスラエル軍事見本市をやめろ!大抗議行動」(主催:川崎でのイスラエル軍事エキスポに反対する会)が予定されています。

関連記事
神奈川新聞
http://www.kanaloco.jp/article/354048

東京新聞
http://www.tokyo-np.co.jp/article/kanagawa/list/201808/CK2018081702000164.html



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さいたま市大古里公民館で開催される「第30回平和のための三室戦争展」にてパレスチナのお話をします。
8月26日(日)14時半からスライドトーク(約70分間)

☆交通機関
路線バス (浦31系統)JR京浜東北線北浦和駅東口からさいたま市立病院行き「北宿」下車徒歩5分(東武バス)
JR京浜東北線浦和駅西口から市立病院行き「北宿」下車徒歩5分(東武バス)
(浦和08系統)JR京浜東北線浦和駅西口から南台行「三室」下車徒歩5分(国際興業バス)

☆所在地
住   所 〒336-0911 さいたま市緑区三室2614-2
電話番号 048-810-4155
FAX 番号 048-810-4156
駐車場 有り・15台(但し公民館施設利用者が多い場合は満車になり駐車できないことがあります)


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『それでもパレスチナに木を植える』(未來社)
店頭にない場合は、書店でご注文いただければ幸いです。
http://www.miraisha.co.jp/np/isbn/9784624411022

アマゾンからも購入できます。
http://amzn.asia/bUm0U7i



また、引き続き、下記の二冊の本のご注文もお待ちしております。

『パレスチナ・そこにある日常』(未来社) 重版が決定しました。
版元の未來社のページ
http://www.miraisha.co.jp/np/isbn/9784624410919

アマゾン
http://www.amazon.co.jp/s/ref=nb_sb_noss?__mk_ja_JP=%83J%83%5E%83J%83i&url=search-alias%3Dstripbooks&field-keywords=%83p%83%8C%83X%83%60%83i%81E%82%BB%82%B1%82%C9%82%A0%82%E9%93%FA%8F%ED&x=10&y=21

写真集『ボクラ・明日、パレスチナで』(ビーナイス)
http://www.amazon.co.jp/ボクラ(Bokra)%E3%80%80明日、パレスチナで-ビーナイスのアートブックシリーズ-高橋-美香/dp/4905389275/ref=sr_1_2?ie=UTF8&qid=1421878540&sr=8-2&keywords=ボクラ%E3%80%80明日

版元ビーナイスのページ
http://benice.co.jp/index.html

最寄りの書店でも、お取り寄せ可能です。

著者のサイン入りをご希望の方は、
mikairv★gmail.com(★を@に)までご一報ください。
ただし、この場合恐れ入りますが、本代と送料実費を頂戴します。

写真集『ボクラ・明日、パレスチナで』に収められた写真のカード、Tシャツ、トートバッグをこちらからお求めになれます。
ビタミンTeeのページ
http://www.vitamin-tee.jp/?mode=cate&cbid=985137&csid=1

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