ついに会社から去った。
もう一度だけ最後に言いたいことを、いや、言うべきことを言おうと決めていた。どんなに無駄でも関係ない。声を誰かがあげなければ永遠に変わる可能性すらない。表沙汰にならなければそれでいい、大きな組織の小さな膿は仕方がない、それでは永遠に誰かが泣き続けなければならない。嫌われても構わない、うとまれても仕方がない、そんなのはすべて引き受ける覚悟はとっくの昔に出来ている。
でも、職場のトップは逃げた。仕事が終わって面会を申し込んだら、本来外出のない日なのに(トップの動向は明記してあるので)居なくなっていた。仕方がない、ナンバーツーと話した。そして彼はそのすべての件について謝罪と調査と原因究明と再発の防止策とを口約束はしてくれた。まあ、きっと有耶無耶になるのだろうけど。もうそれ以上は仕方がない。ワタシにはある意味でもう関係のないことだから。
すべての話し合いが終わって、後輩のAちゃんの家に向かった。長倉さんのスライドトークで大好きなマンゴーの結婚祝いをくれたあのAちゃん夫妻。旦那さんのHさんが、私たちをご招待して下さり、前菜からフルコースで料理を振舞って下さった。美味しいワインに酔い、大笑いのトークで盛り上がり、美味しい料理に舌鼓を打ち、会社の話し合いで凝り固まっていた心がドンドン溶けて行った。
「正直、MESTさんの写真展に行って、被写体との向き合い方、距離間、瞬間にシャッターを押せるかどうかの勇気、あなたの写真を観て嫉妬した」
Hさんはそう仰った。以前写真のお仕事をご自身もなさっていたHさん。
「でも、人の人生に向き合って、踏み込んで、シャッターを押す勇気が無くなってしまった。写真があまりに好きだから、悩んで苦しんで、辞めてしまったんだ」
と仰った。
その経験が、ワタシにも無い訳ではない。エジプトに留学して最初の一か月が過ぎたころ、急に人に対してカメラを向けられなくなってしまった。向けられないのにカメラを持ち歩き、向けたい、いや向けられない…と逡巡を繰り返し、撮れたはずの名作ばかりが脳みその中で勝手に出来て行き、それをカタチにすることが出来ずにカメラを持って出るのを止めてしまった。それを克服出来たのは随分と荒っぽい治療のお陰だったのだけれど。だから、Hさんの仰ることがワタシには分かる。
「写真展で貰った写真にどうしてもサインを入れてほしかったんだ。だから奥さんに言って家に来ていただくことにしたんだけれど。本当にMESTさんの写真にはチカラがあると思う。これからも撮り続けてほしい」
と仰った。泣きそうになったよ。こんな自分にもそんな風に誰かの心に、大きなものを残せるなんて。
結局Aちゃんご夫妻のお宅に、もう一人の後輩のMちゃんと一緒に泊めていただき夜中まで語った。本当に温かな一夜だった。Aちゃん、Hさん、Mちゃんありがとう。
一つのことが終わった。決して満足のいく終わり方ではなかったけれど、自分なりに全力は尽くしたと胸は張れる。そして、新しい生活が始まった。しばらく心と体に休息を与えて、自分の信じた道を歩いて行きたい。
今日は、写真雑誌各種に、掲載をお願いしておいた告知が載った。「カメラマン」という雑誌には、作品の写真も含めて少し大きく掲載して頂けた。
明日から、撮影旅行のため、北海道に行ってくる。最近のいただいたコメントのすべてに、心の中ではたくさん返事を思いついているのに、なかなかそれを書く余裕が生まれない。帰ってきたら…。
もう一度だけ最後に言いたいことを、いや、言うべきことを言おうと決めていた。どんなに無駄でも関係ない。声を誰かがあげなければ永遠に変わる可能性すらない。表沙汰にならなければそれでいい、大きな組織の小さな膿は仕方がない、それでは永遠に誰かが泣き続けなければならない。嫌われても構わない、うとまれても仕方がない、そんなのはすべて引き受ける覚悟はとっくの昔に出来ている。
でも、職場のトップは逃げた。仕事が終わって面会を申し込んだら、本来外出のない日なのに(トップの動向は明記してあるので)居なくなっていた。仕方がない、ナンバーツーと話した。そして彼はそのすべての件について謝罪と調査と原因究明と再発の防止策とを口約束はしてくれた。まあ、きっと有耶無耶になるのだろうけど。もうそれ以上は仕方がない。ワタシにはある意味でもう関係のないことだから。
すべての話し合いが終わって、後輩のAちゃんの家に向かった。長倉さんのスライドトークで大好きなマンゴーの結婚祝いをくれたあのAちゃん夫妻。旦那さんのHさんが、私たちをご招待して下さり、前菜からフルコースで料理を振舞って下さった。美味しいワインに酔い、大笑いのトークで盛り上がり、美味しい料理に舌鼓を打ち、会社の話し合いで凝り固まっていた心がドンドン溶けて行った。
「正直、MESTさんの写真展に行って、被写体との向き合い方、距離間、瞬間にシャッターを押せるかどうかの勇気、あなたの写真を観て嫉妬した」
Hさんはそう仰った。以前写真のお仕事をご自身もなさっていたHさん。
「でも、人の人生に向き合って、踏み込んで、シャッターを押す勇気が無くなってしまった。写真があまりに好きだから、悩んで苦しんで、辞めてしまったんだ」
と仰った。
その経験が、ワタシにも無い訳ではない。エジプトに留学して最初の一か月が過ぎたころ、急に人に対してカメラを向けられなくなってしまった。向けられないのにカメラを持ち歩き、向けたい、いや向けられない…と逡巡を繰り返し、撮れたはずの名作ばかりが脳みその中で勝手に出来て行き、それをカタチにすることが出来ずにカメラを持って出るのを止めてしまった。それを克服出来たのは随分と荒っぽい治療のお陰だったのだけれど。だから、Hさんの仰ることがワタシには分かる。
「写真展で貰った写真にどうしてもサインを入れてほしかったんだ。だから奥さんに言って家に来ていただくことにしたんだけれど。本当にMESTさんの写真にはチカラがあると思う。これからも撮り続けてほしい」
と仰った。泣きそうになったよ。こんな自分にもそんな風に誰かの心に、大きなものを残せるなんて。
結局Aちゃんご夫妻のお宅に、もう一人の後輩のMちゃんと一緒に泊めていただき夜中まで語った。本当に温かな一夜だった。Aちゃん、Hさん、Mちゃんありがとう。
一つのことが終わった。決して満足のいく終わり方ではなかったけれど、自分なりに全力は尽くしたと胸は張れる。そして、新しい生活が始まった。しばらく心と体に休息を与えて、自分の信じた道を歩いて行きたい。
今日は、写真雑誌各種に、掲載をお願いしておいた告知が載った。「カメラマン」という雑誌には、作品の写真も含めて少し大きく掲載して頂けた。
明日から、撮影旅行のため、北海道に行ってくる。最近のいただいたコメントのすべてに、心の中ではたくさん返事を思いついているのに、なかなかそれを書く余裕が生まれない。帰ってきたら…。




